障害者雇用の事務職、実際の仕事内容・1日の流れ・向き不向きを現場が解説

障害者雇用の事務職、実際の仕事内容・1日の流れ・向き不向きを現場が解説 仕事図鑑

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「障害者雇用で事務の仕事に就きたいけど、実際にどんな仕事をするの?」「求人票に”事務補助”と書いてあるけど、具体的に何をするのかわからない」——そんな疑問を持っていませんか?

同左は、一般的な事務職と重なる部分も多いですが、配慮や業務の切り出し方に独自の特徴があります。この記事では、就労継続支援A型・就労移行支援の現場スタッフの視点から、障害者雇用の事務の仕事内容の全体像・1日のスケジュール・向き不向き・求人票の読み方まで、具体的にお伝えします。

どんな仕事?

ひとくちに「事務」といっても、業種や会社の規模によって業務の幅は大きく異なります。同左としてよく登場するのは、以下のような業務です。

  • データ入力・入力確認:ExcelやAccessなどへの数値・文字入力、入力済みデータのチェック。障害者雇用のデータ入力の仕事として求人数が多いカテゴリです。
  • 書類整理・ファイリング:紙の書類をスキャンしてPDF化、フォルダへの仕分け・保管。
  • 郵便物・社内文書の仕分け・配布:受け取った封書や社内便を部署・担当者ごとに振り分ける。
  • 伝票・帳票の確認・転記:注文書・請求書などの数値を所定のフォームに転記する。
  • 備品管理・発注補助:消耗品の在庫を数えて、担当者へ発注依頼をあげる。
  • 電話・来客の一次対応:内線や来訪者への取り次ぎ(担当者に電話・内線をつなぐ)。
  • コピー・製本・資料準備:会議用資料の印刷・製本、配付物のセット。
  • 名刺・情報管理への入力補助:顧客データベースへの名刺情報入力など。

障害者枠の事務職では、上記の中から「一部の業務に特化したポジション」として切り出されることが多いのが特徴です。たとえば「データ入力と書類整理が主業務」「郵便物の仕分けと簡単な伝票チェック」など、仕事の範囲をあらかじめ明確にしている企業が増えています。

1日の流れ(例)

以下は、一般企業の障害者雇用の事務ポジションにおける1日の流れの一例です。実際のスケジュールは職場・業種によって大きく異なります。あくまで参考としてご覧ください。

時刻 業務の例
9:00 出勤・メールチェック、当日の作業リストを確認
9:15 朝礼(短時間。チーム全体の業務共有)
9:30 データ入力・前日分の入力チェック
11:00 郵便物・社内便の仕分け・配布
11:30 書類のスキャン・PDF化・フォルダ整理
12:00 昼休憩(1時間)
13:00 午後分のデータ入力・伝票チェック
14:30 休憩(10〜15分)
14:45 備品在庫の確認・補充依頼、会議資料の準備
16:00 作業の進捗を上長に報告・翌日タスクの確認
17:00 退勤

短時間勤務や時差出勤を活用している場合は、開始・終了時刻が異なります。また、在宅ワーク(テレワーク)が認められているポジションでは、自宅から同様の業務をこなすこともあります。

向いている人・負担になりやすい点

障害者雇用に限らず、事務職全般に共通しますが、向き不向きは「障害の種別」ではなく「特性・好み・環境との相性」で考えることが大切です。

こんな特性・好みの人に向いていることが多い

  • ルーティン作業をコツコツ続けるのが苦にならない人
  • 細かい数字や文字のミスに気づきやすい、確認作業が好きな人
  • 静かな環境や決まった手順で進める仕事が安心できる人
  • Excelの基本操作(セルへの入力・簡単な表の作成など)に抵抗がない人
  • 急な仕事の変化より、先が見えるスケジュールで動くのが合っている人
  • 人と深く関わるより、個人作業メインで集中できる環境が好きな人

負担になりやすいと感じる場面

  • 複数タスクを同時に振られる状況:「データ入力の途中で電話対応、そのままコピーも」といったマルチタスクが生じやすい職場は、集中が途切れやすい人には負担になることがあります。
  • ミスへの心理的プレッシャーが強い職場:数値や名前の入力は正確さが求められます。職場のミスへの許容度や、フォロー体制を事前に確認するのがおすすめです。
  • 長時間のPC操作:眼精疲労や姿勢の負担が出やすい人は、休憩のタイミングや画面の見やすさについて配慮を相談するとよいでしょう。
  • 電話・来客対応が多い職場:「事務」の求人でも、電話一次対応や受付が含まれる場合があります。求人票で割合を確認しておくことが大切です。

「自分にこの仕事が合うかどうか」を確かめたい場合は、就労移行支援での職場体験・実習を活用したり、就労継続支援A型で支援を受けながら実際に働き、仕事への適性や働き方を確認したりする方法があります。
出典:厚生労働省「障害福祉サービスの内容」

職場でよくある配慮・工夫

障害者雇用の事務の仕事内容に関連して、実際の職場で行われている配慮・工夫の例をご紹介します。合理的配慮の制度については別記事で詳しく解説していますが、ここでは事務職特有の場面を取り上げます。

仕事の進め方に関する工夫

  • 作業マニュアルの整備:手順をフローチャートや写真入りの手順書にまとめ、迷ったときに自分で確認できるようにする。
  • チェックリストの活用:入力ミス防止のために、作業後に自分でチェックする項目を一覧化しておく。
  • タスク管理ツールの導入:付箋・ホワイトボード・デジタルツールなどで「今日やること」を視覚化する。
  • 仕事の量・優先順位を事前に共有:朝の短いミーティングで当日の業務量と優先順位を確認し、急な差し込みを減らす。

環境・体調に関する工夫

  • 座席の工夫:人の往来が少ない席・仕切りパーテーションで集中しやすい環境をつくる。
  • 定期的な休憩の確保:タイマーで一定時間ごとに小休憩を入れ、疲れがたまる前にリセットする。
  • フォントサイズ・画面の輝度調整:見えやすい設定にカスタマイズする。
  • 体調の波に合わせた業務量の調整:繁忙期の業務量を上長と事前に確認し、無理のない範囲で調整をお願いする。

この仕事に就くには

求人の探し方と求人票の読み方

障害者雇用の事務の仕事内容の求人を探す際は、ハローワークの障害者専門窓口、障害者向け求人サービスのほか、大手企業の特例子会社の採用情報が参考になります。求人票を読むときに特に確認したい項目は次の通りです。

  • 「主な業務内容」の具体的な記載(データ入力の件数目安、電話対応の有無など)
  • 「必要なPCスキル」の範囲(Excelの操作レベルが「基本的な入力」なのか「関数・マクロ」なのか)
  • 「短時間勤務・在宅勤務の可否」の記載
  • 「配慮事項の申告方法」(面接時か、入社後かなど)

求人票だけでは判断しにくい場合は、面接前に「業務体験実習」を設けている企業もあります。支援機関を通じてアレンジできることがあるので、担当の支援員に相談してみましょう。

役立つスキル・経験・訓練の場

  • Excelの基本操作:セルへの入力・コピー・簡単なSUM関数程度が使えると多くの求人に対応できます。無料の講習(ハローワーク・就労移行支援・自治体の講座)で学べます。
  • タッチタイピング(ブラインドタッチ):入力速度よりも正確性が重視されますが、基本的なキーボード操作に慣れておくと仕事がスムーズです。
  • 就労移行支援・就労継続支援A型での実習:事務補助作業を訓練メニューとして取り入れている事業所も多く、「自分に事務の仕事が合うか」を実際に確かめる機会になります。
  • 実際の職場実習:就労移行支援事業所やハローワーク・労働局などの就労支援機関を通じて、企業で職場実習・職場体験を行える場合があります。実際の職場で仕事内容や職場環境を体験することで、自分の適性や必要な配慮を確認し、就職先とのマッチングに役立てることができます。
    出典:厚生労働省「就労移行支援事業の役割と基本プロセス」

資格は必須?

障害者雇用の事務職では、必ずしも資格が必要とは限らず、資格不問の求人もあります。一方で、求人によってはPCスキルや特定の資格を「必須」「あれば尚可」としている場合もあるため、応募先の条件を確認することが大切です。日商PC検定やMOS(Microsoft Office Specialist)などは、文書作成や表計算、Microsoft Office製品の操作など、事務職で活用されるPCスキルを客観的に示す資格として活用できます。
出典:日本商工会議所「日商PC」
出典:MOS公式サイト「MOSとは/取得のメリット」
資格取得を目指す場合は、応募したい求人で求められるスキルを確認したうえで、体調や生活リズムに無理のない範囲で進めましょう。

現場からのひとこと

就労支援の現場でよく聞くのが、「事務なら自分にもできそう」という声と、「事務って実際何をするのかイメージしにくい」という声が同時に出るケースです。障害者雇用の事務の仕事内容は求人によって内容の幅が広いため、「事務」という言葉だけで応募を決めてしまうと、入社後に「思っていた仕事と違う」と感じるミスマッチが起きやすくなります。

支援現場では、求人票の「主な業務内容」欄を支援員と一緒に読み込み、「自分がやりやすい業務が何割を占めているか」「負担になりそうな業務はどう対処できるか」を事前に整理することをおすすめしています。また、データ入力を中心にした事務補助から始めて、業務範囲を少しずつ広げていくステップアップも、長く安定して働き続けるうえで有効なアプローチです。

よくある質問

Q. 障害者雇用の事務職は、一般の事務職より業務レベルが低いのですか?

業務の難易度は職場によって異なります。「一部の業務に特化する」形で切り出されることが多いため、担当範囲が絞られているケースはありますが、それはあくまで役割分担の違いです。同じ事務職の中でも、経験やスキルに応じてステップアップできる企業も多くあります。

Q. パソコンが得意でないと事務職は難しいですか?

求人によって必要なPCスキルのレベルは様々です。「マウス操作とキーボード入力ができれば可」という職場もあれば、「Excel関数が使える方歓迎」という職場もあります。求人票のスキル欄を確認し、不安な点は応募前に問い合わせるか、支援員に相談するのがおすすめです。就労移行支援ではPCスキルの訓練を受けられる場合があります。

Q. 在宅ワーク(テレワーク)の事務職はありますか?

はい、障害者雇用でも在宅勤務・テレワークに対応した事務職の求人があります。実際にハローワークでは、データ入力・データチェック・メール対応・経理補助などを行う在宅勤務の障害者向け求人が掲載されています。在宅勤務の実施方法や条件は求人によって異なり、完全在宅勤務のほか、週や月に一定回数の出社が必要な求人もあります。また、自宅のインターネット環境や業務スペース、PCスキルなどが応募条件として設定される場合があります。求人票の「就業場所」「仕事内容」「必要な経験・スキル」などを確認し、面接時には在宅勤務の日数や出社頻度、通信環境、使用するPCなどについて確認しておきましょう。

Q. 障害者雇用の事務職の給与水準はどのくらいですか?

給与は、正社員・契約社員・パートなどの雇用形態、勤務地、業種、仕事内容、勤務時間などによって大きく異なります。厚生労働省の障害者雇用実態調査では障害種別ごとの平均賃金は公表されていますが、「障害者雇用の事務職」に限定した全国一律の平均月収・平均時給は示されていません。
出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」
実際の給与水準を知りたい場合は、ハローワークなどで、自分が希望する地域・勤務時間・雇用形態に近い事務職の求人を複数比較する方法が参考になります。基本給だけでなく、賞与・通勤手当・勤務時間・社会保険の加入条件などもあわせて確認しましょう。

「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。

はたらく森(A型・就労移行)の見学で無料で相談できます。


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監修者

この記事の監修者

監修:雨宮久美子

サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」

就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。

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