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「配慮をお願いしたいけど、どう切り出せばいいかわからない」「また負担をかけると思われそうで、言い出せない」――障害者雇用で上司に相談する仕方に悩む人は、実はとても多いです。辞めることは考えていない。ただ、今の状況を少し変えたい。そう思いながら抱え込んでいるなら、この記事はあなたのためのものです。
この記事では、何を・いつ・どう伝えるかを3ステップで整理し、相談前の準備チェックと、そのまま使える切り出し例文をセットでお届けします。「うまく伝えられなかった」を減らすための実務ガイドです。
全体の流れ
上司への相談は、勢いで話し始めるより「準備→タイミング→伝え方」の順で整理すると、話がまとまりやすくなります。
- ステップ1:何を相談するかを整理する(所要時間:15〜30分)
- ステップ2:タイミングと場所を選ぶ(所要時間:数日〜1週間で機会を探す)
- ステップ3:言葉を選んで切り出す(所要時間:当日5〜10分)
各ステップに「やること」と「つまずきやすい点」をまとめています。
ステップ1:何を相談するかを整理する
やること
上司への相談でうまくいかない最大の理由は、「自分でも何が困っているかをはっきり言語化できていない」ことです。相談の前に、まず自分の中を整理しましょう。
次の3つの問いに、メモ帳やスマートフォンに箇条書きで答えてみてください。
- ①何が起きているか(事実):「午後になると集中力が落ちて、ミスが増える」「騒がしい環境では指示が聞き取れないことがある」など、具体的な場面で書く
- ②それで何が困っているか(影響):「納期に間に合わないことが月に2〜3回ある」「確認のやり直しで残業が増えている」など、業務への影響を書く
- ③こうしてもらえると助かる(希望の配慮):「指示をメモやチャットでもらえると助かる」「午前中に集中作業をまとめてほしい」など、具体的にできればなおよい
この3つが揃うと、相談が「愚痴」ではなく「業務改善の提案」になります。上司も動きやすくなります。
つまずきやすい点
「希望の配慮が思い浮かばない」場合は、無理に決めなくて構いません。「何が困っているかはわかるのですが、どんな方法が合うかは一緒に考えてもらえますか」という伝え方も十分有効です。
「自分のせいだと思うと書けない」という場合は、就労支援機関の担当者や職場の相談窓口(産業医・EAP)に先に話してみることをおすすめします。整理を手伝ってもらえます。
ステップ2:タイミングと場所を選ぶ
やること
障害者雇用で上司への相談を切り出す仕方として、「タイミングと場所」は内容と同じくらい重要です。いくら整理できていても、上司が追い詰められている瞬間に話しかければ、十分に聞いてもらえません。
◎ 相談しやすいタイミングの例
- 定期の1on1面談・月次面談など、もともと設定されている対話の場
- 上司が比較的落ち着いている時間帯(朝の業務開始直後・週明けの月曜午前中は避けやすい)
- 業務が一段落した直後(納期後・繁忙期が終わった直後など)
- あらかじめ「5〜10分だけ時間をいただけますか」とアポを取った場
◎ 相談しやすい場所の例
- 個室・会議室など、ほかの社員に聞こえない場所
- オンライン1on1(テキスト入力ができるチャットツール併用だと、言葉を探す時間が作れる)
アポを取るときの一言例:
「少しご相談したいことがあります。今週中に5〜10分だけお時間いただけますか。業務の進め方についてなのですが」
つまずきやすい点
「アポを取ること自体が緊張する」という場合は、メールやチャットで依頼する方法もあります。口頭でないぶん、落ち着いて文章を組み立てられます。
「定期面談がない職場」の場合は、「月に1度、業務の振り返りをする機会を設けてほしい」と先に提案することも、相談の入り口になります。
ステップ3:言葉を選んで切り出す
やること
いよいよ当日の伝え方です。障害者雇用で上司に相談する仕方として、「なぜ話すか・何が困っているか・どうしてほしいか」の順で話すと、相手が理解しやすくなります。
基本の構成(PDS構成)
- P(Purpose/目的):なぜ相談するかを最初に言う
- D(Detail/詳細):事実と影響を簡潔に伝える
- S(Solution/希望):してほしいことか、一緒に考えてほしい旨を伝える
切り出し例文①:配慮の追加を頼む場合
(例)「業務の進め方についてご相談があります。最近、口頭での指示をその場でメモしきれず、確認のやり直しが増えていることが気になっています。もし可能であれば、指示内容をチャットでも送っていただけると、見落としを減らせると思っています。ご検討いただけますか」
切り出し例文②:具体的な配慮が思い浮かばない場合
(例)「少し相談させてください。最近、〇〇(具体的な状況)があって、業務に影響が出ています。どう改善すればよいか、私自身まだ整理しきれていないのですが、一緒に考えていただけますか」
切り出し例文③:体調変化を伝える場合
(例)「最近、体調が少し変わってきていて、〇〇(具体的な場面)のときに難しさを感じています。業務に影響が出る前にお伝えしておいた方がよいと思い、相談しました。主治医とも相談しながら進めるつもりですが、職場でできることがあれば教えてください」
つまずきやすい点
「どこまで障害について話すべきか迷う」という声は、支援現場でもよく聞かれます。基本的には、障害名よりも「困っていること」と「してほしいこと」を中心に伝える方が、上司も対応しやすくなります。障害名の開示は義務ではなく、あなたの選択です。
「話している途中でうまく言葉が出なくなる」ときは、「少し紙を見ながらお話しさせてください」とあらかじめ断って、メモを見ながら話しても構いません。準備してきたことが伝わるので、むしろ誠実な印象を与えます。
「相談したのに変わらない」場合は、上司一人では判断できない案件だった可能性があります。人事・産業医・支援機関を経由して改めて相談するルートも検討してみてください。
準備するもの・相談先
相談前に準備するもの
| 確認項目 | ポイント |
|---|---|
| 困っていること(事実)のメモ | 具体的な場面・頻度を書く |
| 業務への影響 | 「月に何回」「何分の遅延」など数字があると伝わりやすい |
| 希望する配慮(あれば) | 「できれば〜」の形で。決まっていなければ「一緒に考えたい」でもOK |
| 主治医・支援機関への事前相談 | 配慮内容を主治医意見書で補強できる場合がある |
| 話す場所・時間のアポ | 個室・5〜10分の設定 |
相談に迷ったら頼れる窓口
- 就労支援機関の担当者:就労移行支援・就労定着支援を利用している場合は、相談内容の整理や職場への同席支援が受けられることがある
- 障害者就業・生活支援センター:地域ごとに設置されており、在職中の相談に対応。
出典:厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」 - 産業医・EAP(従業員支援プログラム):職場内や企業委託の相談窓口。匿名で相談できる場合もある
- 都道府県労働局・ハローワーク:職場環境の相談・紛争解決の援助制度あり
出典:厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律」
現場からのひとこと
支援現場でよく聞かれるのは、「相談したら職場に居づらくなるのでは」という不安です。ただ、実際には「もっと早く話してくれれば対応できたのに」と言う上司も少なくありません。問題が大きくなってから相談するより、小さいうちに伝える方が、上司も対処しやすく、あなた自身も消耗が少なくて済みます。
また、障害者雇用促進法では、事業主に対して、障害のある労働者が職務を円滑に遂行できるよう、その障害特性に応じた合理的配慮を提供することが義務付けられています。ただし、事業主に過重な負担を及ぼす場合は除かれます。
出典:厚生労働省「雇用の分野における障害者への差別禁止・合理的配慮の提供義務」
合理的配慮について相談することは、働き続けるために必要な職場環境や支援方法を事業主と話し合うための大切なコミュニケーションです。どのような配慮が必要かは、本人の意向を踏まえながら、仕事内容や職場の状況に応じて具体的に検討していきます。
まとめ|今日からできる最初の一歩
障害者雇用で上司に相談する仕方は、準備・タイミング・言葉の3つで整理できます。
- まず「事実・影響・希望の配慮」を自分でメモする
- 次に「個室・落ち着いた時間帯・アポあり」の場を設ける
- 当日は「目的→事実→希望」の順で、短くまとめて話す
一度でうまくいかなくても、それは相談の仕方が悪かったのではなく、「もう少し工夫できる余地がある」サインです。就労支援機関や相談窓口を使いながら、少しずつ伝え方を育てていくことができます。
今日できる最初の一歩は、「困っていること」をメモ帳に3行書いてみることです。それだけで、次のステップがぐっと近くなります。
「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。
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この記事の監修者
監修:雨宮久美子
サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」
就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。


