通院しながら仕事を続ける「休みの取り方」ステップ別実務ガイド

通院しながら仕事を続ける「休みの取り方」ステップ別実務ガイド 働き続ける・職場の悩み

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「通院のたびに休みをどう申請すればいいか迷う」「上司に何と伝えたら角が立たないか」——そんな悩みを抱えながら、今日も仕事と通院を両立しようとしているあなたへ。この記事では、通院を理由にした休みの取り方を「申請前→当日→申請後」のステップに分け、有給休暇・特別休暇の使い分け、上司への伝え方、通院頻度が高い場合の交渉術まで、実務フローに沿って整理します。

全体の流れ

通院のための休みを安心して取れるようになるまでの流れは、大きく5つのステップで考えると整理しやすくなります。

  1. ステップ1:自分の通院パターンと必要な休みを把握する(初回のみ1〜2週間)
  2. ステップ2:使える休暇の種類を確認する(30分〜1時間)
  3. ステップ3:申請前に上司・担当者に伝える(通院日の数日前まで)
  4. ステップ4:当日の連絡・対応をスムーズにする(当日)
  5. ステップ5:通院頻度が多い場合は職場と交渉・調整する(必要に応じて随時)

ステップ1:自分の通院パターンと必要な休みを把握する

やること

まず「自分はどのくらいの頻度で、どれくらいの時間が必要か」を具体的に整理することが、仕事と通院を両立するための出発点です。主治医に確認しながら、以下の3点をメモしておきましょう。

  • 通院頻度:週1回・月2回・月1回など
  • 所要時間:往復の移動+待ち時間+診察時間の合計(例:自宅から病院まで片道30分、待ち時間60分、診察15分=合計2時間15分)
  • 曜日・時間帯の固定度:毎週固定か、変動するか

つまずきやすい点

「だいたいこのくらい」と曖昧にしておくと、実際に申請するときに説明しにくくなります。初回だけでも実際の所要時間を計測しておくと、職場への説明がスムーズになります。また、待ち時間は病院・クリニックによって大きく異なるため、「予約制か否か」も把握しておくと便利です。

ステップ2:使える休暇の種類を確認する

やること

通院のための仕事の休み方には、いくつかの選択肢があります。自社の就業規則を確認しながら、使えるものを把握しておきましょう。

通院時に活用できる主な休暇の種類と特徴
休暇の種類 概要 向いているケース
年次有給休暇(年休) 労働基準法で定められた有給の休暇。入社から6か月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合、一般の労働者には10日の年次有給休暇が付与され、その後は勤続年数に応じて最大20日まで増加します。なお、所定労働日数が少ないパート・アルバイトなどは、勤務日数に応じて比例付与される場合があります。
出典:厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール-年次有給休暇」
通院が月1〜2回程度で休みをまとめて取りやすい場合
時間単位の年休 労使協定を締結している会社では、年次有給休暇のうち年5日分を上限として、時間単位で取得できます。取得単位は1時間または労使協定で定めた時間数となります。
出典:厚生労働省「時間単位・半日単位の年次有給休暇制度」
午前中の2〜3時間だけ通院して午後から出勤するケース
特別(病気)休暇 法定外休暇として会社が独自に設ける休暇。有給・無給は会社による 就業規則に「通院」「治療」が対象として明記されている場合
フレックスタイム制・時差出勤 出退勤時間を調整して通院時間を確保する 制度が整備されており、通院後も仕事に支障がない場合
合理的配慮としての調整 障害を理由にした配慮申請として、通院スケジュールに合わせたシフト変更などを依頼する 障害者雇用枠で働いており、すでに配慮の取り決めがある場合

有給と特別休暇はどちらを使う?

一般的な目安として、「特別休暇が無給の場合は有給を優先」「有給残日数が少なくなってきたら特別休暇に切り替える」という順番で考えると無難です。ただし会社によって細かい規定が異なるため、人事担当や上司に事前確認しておきましょう。

つまずきやすい点

「有給を通院に使うのは申し訳ない」と感じる人もいるかもしれませんが、年次有給休暇は労働基準法で定められた休暇で、原則として利用目的を問わず取得できます。そのため、通院のために年次有給休暇を利用することも可能であり、取得理由を会社に申告することは法律上の取得要件ではありません。
出典:厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール-年次有給休暇」
ただし、会社の就業規則などで年休の申請方法や申請期限が定められている場合は、その手続きに従いましょう。また、希望した日に年休を取得すると事業の正常な運営を妨げる場合には、会社が別の時季への変更を求める「時季変更権」を行使できる場合があります。

ステップ3:申請前に上司・担当者に伝える

やること

「いつ・どのくらい・どんな形で休むか」を、できるだけ通院日の数日前までに伝えることが基本です。突発的な体調変化を除けば、事前の連絡ひとつで職場の受け取り方が大きく変わります。

上司への伝え方:言葉選びの例

プライバシーに配慮しながら、要件だけを端的に伝えるのがポイントです。病名や詳細な症状を話す義務はありません。以下はあくまで例です。実際の状況に合わせて言葉を変えてください。

  • 「定期的に通院しているため、〇日(〇曜日)の午前中を半休でいただきたいのですが、よろしいでしょうか」
  • 「月に1〜2回、通院のための休みを取らせていただく必要があります。業務への影響を最小限にしたいので、スケジュールの調整方法についてご相談させてください」
  • 「今後も定期的な通院が続く見込みです。毎月〇曜日を午後半休にすることは可能でしょうか」

障害者雇用で働いている場合、合理的配慮の申請として通院スケジュールへの配慮を求めることもできます。配慮の伝え方について詳しくは「配慮事項の伝え方【例文15選】」を参照してください。

つまずきやすい点

「通院していることを知られたくない」という気持ちは自然なことです。ただし、理由を何も言わずに休みが増えると、かえって「勤怠が不安定な人」と映ってしまうリスクがあります。「定期通院がある」という事実だけを最低限共有し、詳細はあなたが判断して開示するかどうかを決めましょう。

ステップ4:当日の連絡・対応をスムーズにする

やること

事前申請が済んでいる場合は、当日は簡単な一言で問題ありません。例:「本日は通院のため午後から出勤します。よろしくお願いいたします」——これで十分です。

一方、体調悪化などで急きょ休む場合は、以下の3点を連絡に含めると職場に安心感を与えられます。

  1. 現在の状況(通院・体調不良など)
  2. 業務への影響と引き継ぎの有無
  3. 復帰の見込み(わかる範囲で)

急な欠勤の連絡文例については「体調不良で欠勤するときの職場への伝え方チェックリスト」が参考になります。

つまずきやすい点

通院後に疲労や副作用が出る場合、午後の業務に支障が出ることもあります。「通院後は半日出勤にしたい」という希望があれば、ステップ3のうちに合わせて伝えておくと、当日の判断がしやすくなります。

ステップ5:通院頻度が多い場合の職場との交渉・調整

やること

週1回以上の通院が必要な時期や、入院・検査などで長期休暇が必要になる場合は、単発の有給申請ではなく継続的な仕組みづくりが必要です。

交渉のポイント3つ

  • ①定期パターンを提案する:「毎月第2水曜の午後を通院に充てたい」のように、固定パターンを職場に提案すると、業務スケジュールを立てやすくなり双方の負担が減ります。
  • ②担当業務の「穴埋めプラン」を一緒に示す:「この日の担当業務は前日までに完了する」「急ぎは〇〇さんに引き継ぐ」など具体的な代替案を持参すると、上司が承認しやすくなります。
  • ③就労支援員・ジョブコーチに同席を依頼する:障害者雇用の場合、就労定着支援の支援員やジョブコーチが職場との橋渡し役として同席できるケースがあります。一人での交渉が不安なときは活用を検討しましょう。

自立支援医療制度との組み合わせも検討を

精神科・心療内科への通院が継続的に必要な場合は、自立支援医療(精神通院医療)の利用を検討することもできます。自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患があり継続的な通院精神医療を必要とする方を対象に、指定自立支援医療機関で受ける対象医療の自己負担を原則1割に軽減する制度です。さらに、所得などに応じて月額の自己負担上限額が設定されます。
出典:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」
通院が続く場合の医療費負担を軽減できる可能性があるため、対象になるか市区町村の窓口などで確認してみましょう。

つまずきやすい点

「通院が多いと職場に迷惑をかけている」と感じて、必要な受診を後回しにしてしまう人は少なくありません。ただし通院を減らして体調が悪化すれば、結果的に長期休職につながるリスクが高まります。短期的な通院の休みは、長期的な就労継続への投資と捉えるように、支援者と一緒に職場へ丁寧に説明することが大切です。

準備するもの・相談先

  • 自社の就業規則(休暇のページ):特別休暇・時間単位有給の有無を確認する
  • 通院スケジュールのメモ:頻度・所要時間・曜日の固定度
  • 有給残日数の確認:給与明細や社内システムで確認
  • 主治医の意見:「通院頻度の変更が可能か」「診断書や意見書が必要か」は主治医に相談する
  • 就労定着支援・ジョブコーチ:職場との調整が難しい場合の相談窓口
  • ハローワーク・地域障害者職業センター:雇用継続に関する公的相談窓口
  • 産業医・人事・EAP(従業員支援プログラム):社内の相談窓口がある場合は活用を

現場からのひとこと

就労支援の現場では、「通院の休み取り方を職場にどう伝えるか」という相談は非常に多くあります。多くの場合、問題になるのは「通院すること」自体ではなく、事前の連絡なく突然休むという対応パターンです。職場側も、見通しが持てれば対応しやすくなるため、「通院のスケジュールが月2回程度ある」という事実だけでも事前に共有しておくだけで、関係性がずいぶん変わるケースを多く見てきました。

また、「有給を通院に使っていいのか」と後ろめたさを感じる方も多いのですが、有給休暇は何に使っても構わない権利です。通院のために仕事を休むことは、あなたが働き続けるための大切な行動です。一人で抱え込まず、支援員や主治医と一緒に職場との調整を進めていきましょう。

まとめ|今日からできる最初の一歩

通院しながら仕事を続けるうえで、休みの取り方のポイントを整理しました。

  • まず「通院の頻度・所要時間・曜日」を具体的に把握する
  • 有給・時間単位有給・特別休暇のうち使えるものを就業規則で確認する
  • 上司への伝え方は「詳細ではなく事実ベースで、事前に」が基本
  • 通院頻度が多い場合は固定パターンの提案と代替プランをセットで
  • 難しいと感じたら就労支援員・ジョブコーチに相談する

通院と仕事の両立に悩んでいるなら、今日できる最初の一歩は自社の就業規則の休暇ページを開くことです。知らずに損している制度が、意外と身近にあるかもしれません。

「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。

はたらく森(A型・就労移行)の見学で無料で相談できます。


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監修者

この記事の監修者

監修:雨宮久美子

サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」

就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。

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