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「障害者控除って年末調整でどう書けばいいの?」「特別障害者との違いがよくわからない」——障害者控除と年末調整についてこんな疑問を抱えたまま、毎年なんとなく提出していませんか?この記事では、控除の仕組みから年末調整の記入欄の具体的な書き方まで、働いているあなたが自分で手続きできるよう、実務レベルで解説します。確定申告が必要なケースや、家族の控除についても取り上げます。
結論・要点まとめ
まず3点だけ押さえてください。
- 障害者控除は、障害者手帳などを持っている人が所得税・住民税を減らせる制度で、年末調整か確定申告で申請します。
- 控除額は「一般障害者」か「特別障害者」かで異なり、申告しないと自動的には適用されません。
- 年末調整では「扶養控除等申告書」の所定の欄に記入するだけで手続きが完了します——難しい書類は不要です。
障害者控除の基本:いくら・誰が・どんな条件で使えるか
対象になる人
障害者控除の対象は、その年の12月31日時点で次のいずれかに該当する人です(扶養親族が対象の場合は扶養親族の年齢・状態で判定します)。
- 身体障害者手帳の交付を受け、身体上の障害がある人として記載されている人
- 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センターまたは精神保健指定医により、知的障害者と判定された人
- 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
- 精神または身体に障害のある65歳以上の人で、その障害の程度が一定の障害者に準ずるものとして、市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人
- 戦傷病者手帳の交付を受けている人
- 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律により、厚生労働大臣の認定を受けている人
- その年の12月31日時点で、引き続き6か月以上にわたり身体の障害によって寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人
障害者手帳を持っていなくても、知的障害について所定の機関から判定を受けている場合や、65歳以上で市町村長等から障害者控除対象者として認定を受けている場合など、障害者控除の対象になることがあります。また、身体障害者手帳等を申請中の場合にも、一定の条件を満たせば障害者として取り扱われる場合があります。ただし、医師の診断書があるだけで一律に障害者控除の対象になるわけではありません。具体的に対象になるか分からない場合は、税務署または市区町村の担当窓口に確認してください。
一般障害者と特別障害者の違い
障害者控除には「一般障害者」と「特別障害者」の2段階があります。控除額が異なるため、自分がどちらに該当するかを確認しておくことが大切です。
| 区分 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 | 主な該当例 |
|---|---|---|---|
| 一般障害者 | 27万円 | 26万円 | 身体障害者手帳3〜6級、療育手帳B、精神障害者保健福祉手帳2〜3級 など |
| 特別障害者 | 40万円 | 30万円 | 身体障害者手帳1〜2級、療育手帳A(重度)、精神障害者保健福祉手帳1級 など |
| 同居特別障害者 (扶養親族の場合) |
75万円 | 53万円 | 特別障害者に該当する扶養親族と同居している場合 |
※障害者控除は、税額そのものから差し引く「税額控除」ではなく、課税所得から差し引く「所得控除」です。そのため、控除額と同じ金額だけ税金が安くなるわけではありません。たとえば一般障害者の所得税の控除額27万円について、その27万円の全額に所得税率10%が適用されるケースでは、所得税はおおむね2万7,000円軽減されます。
出典:国税庁「所得税の税率とは」
実際の軽減額は課税所得や適用税率、他の控除などによって異なります。なお、住民税は別に計算されます。
住民税にも効く
所得税だけでなく、翌年の住民税にも障害者控除は適用されます。年末調整や確定申告で所得税の手続きをしておけば、住民税も自動的に反映されるのが一般的です。ただし、住民税の申告のみを自治体に行う場合は別途手続きが必要なことがあります。
年末調整での申請方法:記入欄の具体的な書き方
使う書類は「扶養控除等申告書」
会社員・パートタイム勤務などで年末調整を受けている場合、障害者控除の申請に使う書類は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です(毎年勤務先から配布されます)。確定申告は原則不要です。
記入の手順(例)
- 「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」欄を探す
用紙の中段あたりにある欄です。 - 「本人」欄の「障害者」に○をつける
特別障害者なら「特別障害者」に○。どちらか一方だけ選びます。 - 手帳の種類・等級・交付年月日を記入する
例:「精神障害者保健福祉手帳 2級 令和〇年〇月〇日交付」のように記入します。 - 扶養親族(家族)も対象になる場合は「扶養親族」の欄にも記入する
配偶者や子が障害者に該当する場合は、それぞれの欄に障害の区分・手帳情報を記入します。
書き終えたら勤務先の年末調整担当者に提出します。障害者控除を受ける際、税法上、障害者手帳のコピーを「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に添付することは必須とされていません。申告書には、手帳の種類・交付年月日・障害の程度(等級)など、障害者に該当する事実を記載します。
出典:国税庁「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
ただし、勤務先が申告内容の確認のため、障害者手帳の提示やコピーの提出を求める場合があります。その場合は勤務先の担当者に確認してください。
年の途中で手帳を取得・更新した場合
障害者控除の対象となるかどうかは、原則としてその年の12月31日の現況で判定されます。そのため、年の途中で障害者手帳を取得した場合でも、12月31日時点で障害者控除の対象要件を満たしていれば、その年分から控除を受けることができます。
出典:国税庁「障害者控除」
年末調整に障害者控除の申告が間に合わなかった場合でも、勤務先で年末調整を再計算してもらえる場合があります。また、勤務先で対応できない場合などは、確定申告(還付申告)によって控除を受けることができます。確定申告をする義務がない給与所得者が還付申告をする場合は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。
確定申告が必要なケースと手続きの流れ
確定申告が必要になる主なケース
- 年末調整を受けていない(フリーランス、複数の勤務先がある、年の途中で退職したなど)
- 年末調整で障害者控除の記入を忘れた・漏れがあった
- 医療費控除など他の控除と合わせて申告する
- 副業収入など年末調整以外の所得がある
確定申告書の書き方(障害者控除の欄)
確定申告書(第一表・第二表)の「障害者控除」欄に金額を記入します。
- 第二表の「特例適用条文等」または「障害に関する事項」欄に手帳の種類・等級を記入する
- 第一表の「障害者控除」欄に控除額(27万円・40万円・75万円のいずれか)を記入する
- e-Taxを使う場合は画面の案内に沿って入力するだけで金額が自動計算されます
医療費控除や自立支援医療の活用と合わせると節税効果が高まります。
過去の申告漏れは「更正の請求」で取り戻せる
「去年・一昨年も障害者控除の対象だったのに申告していなかった」という場合でも、一定期間内であれば過去の所得税について還付を受けられる可能性があります。すでにその年分の確定申告書を提出しており、障害者控除を入れ忘れていた場合は「更正の請求」を行います。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。
出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」
一方、年末調整では障害者控除を申告しておらず、その年分の確定申告もしていない給与所得者などは、「還付申告」によって控除を追加できる場合があります。還付申告は、原則として対象となる年の翌年1月1日から5年間提出できます。
出典:国税庁「No.2030 還付申告」
手続きは税務署で相談できるほか、国税庁の確定申告書等作成コーナー・e-Taxを利用できる場合があります。
働きながら使える節税:障害者控除と組み合わせたいポイント
「非課税限度額」が広がる効果にも注目
障害者控除によって課税所得が減るだけでなく、本人が障害者の場合には、個人住民税の非課税措置が適用されることがあります。納税者本人が障害者で、前年の合計所得金額が135万円以下の場合は、個人住民税の均等割・所得割が非課税となります。給与所得のみの場合は、給与収入がおおむね204万4,000円未満が目安です。
出典:国税庁「障害者と税」
一方、配偶者や扶養親族が障害者である場合は、そのことだけで本人にこの非課税措置が適用されるわけではありません。ただし、障害者控除を適用することで課税所得が減り、住民税の所得割が軽減されたり、結果として税額が0円になる場合があります。実際の課税・非課税の判定は所得や扶養状況などによって異なるため、お住まいの市区町村に確認してください。
他の控除との組み合わせ
- 医療費控除:通院費・薬代が年間一定額を超えた場合に使える(障害者控除と併用可)
- 社会保険料控除:支払った健康保険料・年金保険料は全額控除対象
- 生命保険料控除・地震保険料控除:加入している保険の種類に応じて控除
- 障害者雇用で受けとった給与の給与所得控除:給与収入には一定の控除が自動的に適用される
これらを組み合わせることで、実際の税負担をさらに軽くできます。確定申告書の作成に不安がある場合は、税務署の無料相談(確定申告期間中は混雑するため早めに)や、地域の税理士会が実施する無料相談を活用してみてください。
家族(扶養親族)の控除を親族が申請する場合
あなた自身が障害者手帳を持っていて、かつ親族の扶養に入っている場合、その親族の年末調整・確定申告でも障害者控除を申請できます(二重申請は不可。本人と扶養者のどちらかが申請します)。扶養者の税負担が減るため、家計全体での節税になります。
現場からのひとこと
就労支援の現場でよく聞くのが「手帳を取得して何年も経つのに、ずっと障害者控除を申請していなかった」というケースです。年末調整の書類をなんとなく「変更なし」で提出し続けていたり、「障害者と書くのが気になって…」と記入をためらってしまったりする方も少なくありません。控除の申請はあなたの権利であり、手続きそのものは数行の記入で完了します。
また、就労継続支援A型など福祉的就労の場合も給与として収入が発生するため、年末調整の対象になります。事業所のスタッフに「年末調整の書き方を一緒に確認してほしい」と相談するのも一つの方法です。過去の申告漏れが気になる方は、税務署の窓口で相談すると丁寧に案内してもらえます。
よくある質問
Q1. 障害者手帳はないが、主治医から「障害者」と言われている。控除は受けられる?
主治医から障害があると診断されているだけで、自動的に障害者控除の対象になるわけではありません。障害者控除の対象となる人は所得税法上定められており、精神障害の場合は精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人、知的障害の場合は児童相談所・知的障害者更生相談所・精神保健福祉センター・精神保健指定医によって知的障害者と判定された人などが対象となります。また、65歳以上で一定の障害状態にある人については、市町村長等から障害者に準ずるものとして認定を受けることで対象となる場合があります。
出典:国税庁「No.1160 障害者控除」
なお、身体障害者手帳等を申請中で、年末時点で明らかに手帳の交付対象となる程度の障害があるなど、一定の要件を満たす場合には、手帳交付前でも障害者控除の対象として取り扱われることがあります。手帳を持っていない場合に対象となるか分からないときは、税務署または市区町村の担当窓口に確認してください。
Q2. 年末調整で申請し忘れた場合、どうすればよい?
年末調整で障害者控除を申告し忘れても、あとから手続きできる場合があります。その年分の確定申告をまだしていない給与所得者などは、還付申告によって障害者控除を追加できます。還付申告は、原則として対象となる年の翌年1月1日から5年間提出できます。
出典:国税庁「No.2030 還付申告」
すでにその年分の確定申告を済ませており、障害者控除を入れ忘れていた場合は、「更正の請求」によって訂正できる場合があります。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。
出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」
Q3. パートやアルバイトでも障害者控除を受けられる?
はい、給与収入がある方であれば雇用形態を問わず対象です。年末調整を受けている場合は勤務先に申告書を提出し、受けていない場合は自分で確定申告を行います。
Q4. 障害者控除を受けると、会社に障害のことが知られてしまう?
年末調整の申告書を勤務先に提出するため、担当の経理・総務スタッフには内容が伝わります。ただし、それ以上に社内で広く共有される義務はありません。オープン就労かクローズ就労かによって、どこまで開示するかを事前に検討しておくと安心です。開示・非開示の判断については「オープン・クローズ就労の選び方」も参考にしてください。
Q5. 精神障害者保健福祉手帳2級は「一般」と「特別」のどちら?
精神障害者保健福祉手帳では、障害等級1級の人が税法上の「特別障害者」に該当し、2級・3級の人は「一般障害者」に該当します。
出典:国税庁「令和8年分 源泉徴収のあらまし」
したがって、精神障害者保健福祉手帳2級の方は、障害者控除では「一般障害者」として扱われます。なお、身体障害者手帳では1級・2級が特別障害者に該当するなど、手帳の種類によって税法上の区分が異なります。療育手帳についても、重度の知的障害者と判定された場合は特別障害者となるため、それぞれの判定基準を確認してください。
まとめ|次にやること
障害者控除と年末調整についての要点を整理します。
- 自分の手帳の種類・等級を確認する→ 一般障害者か特別障害者かを把握する
- 年末調整の書類(扶養控除等申告書)の「障害者」欄に記入する→ 勤務先に提出するだけで手続き完了
- 申告漏れがある場合は更正の請求を検討する→ 過去5年以内なら還付を受けられる可能性がある
- 医療費控除など他の控除との組み合わせを検討する→ 確定申告期間中に税務署の無料相談を活用する
「書き方がよくわからない」「自分が特別障害者に当たるか確認したい」という場合は、税務署の窓口や就労支援スタッフ、社会保険労務士・税理士への相談をおすすめします。控除を申請することはあなたの権利です。ぜひ活用してください。
「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。
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この記事の監修者
監修:雨宮久美子
サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」
就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。


