失業保険、障害者だと給付日数が伸びる?就職困難者認定の条件と手続き【ハローワーク版】

失業保険、障害者だと給付日数が伸びる?就職困難者認定の条件と手続き【ハローワーク版】 お金と暮らし

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失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取るとき、障害者の就職困難者認定を受けると給付日数が大きく伸びる可能性があります。しかし「自分が対象かわからない」「手続きをどこでどうすればいいか不安」という声は就労支援の現場でも非常に多く聞かれます。この記事では、就職困難者として認定されるための条件、一般の受給者との給付日数の違い、ハローワークでの手続きの流れを、実務情報として一ステップずつ整理します。退職や転職活動中で生活費・医療費の見通しを立てたいあなた、そして家族のために確認したい方にも役立てていただける内容です。

全体の流れ

  1. 離職票・必要書類を準備する(退職後すぐ〜1週間程度)
  2. ハローワークで求職申込みをする(退職後なるべく早く)
  3. 就職困難者として認定を申請する(求職申込みと同日が原則)
  4. 雇用保険説明会・受給資格の決定(申込みから約1〜2週間後)
  5. 待機期間・給付制限期間を確認する(認定後7日間の待機など)
  6. 認定日ごとに来所して給付を受ける(給付終了まで継続)

全体の所要期間の目安:ハローワークで受給手続きをしてから最初の給付を受けるまでの期間は、離職理由によって異なります。給付制限がない場合はおおむね1か月程度が目安ですが、自己都合退職の場合は、7日間の待期に加えて原則1か月の給付制限があるため、さらに時間がかかります

ステップ1:まず「就職困難者」の対象かどうかを確認する

やること

雇用保険制度では、就職が特に困難と認められる人を「就職困難者」と区分し、一般の受給者より有利な条件で失業保険(基本手当)を受けられる仕組みがあります。障害者として就職困難者に該当するのは、主に以下の障害者手帳や判定書を持っている人です。

  • 障害者雇用促進法に定める身体障害者
  • 知的障害者(療育手帳の所持者や、児童相談所・知的障害者更生相談所・精神保健福祉センター・精神保健指定医・地域障害者職業センターなどで知的障害があると判定された人)
  • 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
  • 手帳を持っていなくても、統合失調症、そううつ病(双極性障害・うつ病を含む)またはてんかんがあり、症状が安定して就労可能な状態にある人
  • 更生保護法の一定の対象者で、職業のあっせんについて保護観察所長からハローワーク所長に連絡があった人
  • そのほか、社会的事情により就職が著しく阻害されていると認められる人

なお、難病や高次脳機能障害のある方が対象に含まれるかどうかは状況によって異なります。詳細は必ずハローワークの窓口で確認してください。

つまずきやすい点

「手帳を申請中」「診断はあるが手帳がない」という場合は、認定できるかどうかがケースバイケースです。主治医の診断書で対応できることもあるため、「手帳がないから無理」と判断せずにハローワークへ相談しましょう。

ステップ2:給付日数の違いを確認する(一般受給者との比較)

やること

就職困難者と認定されると、一般の離職者より給付日数が大幅に長くなることが最大のメリットです。以下の表で年齢・被保険者期間ごとに比較してみましょう。

基本手当の所定給付日数の比較(例)
区分 被保険者期間1年以上 被保険者期間5年以上 被保険者期間10年以上
一般離職者(全年齢) 90日 120日 150日
就職困難者(45歳未満) 300日 300日 300日
就職困難者(45歳以上65歳未満) 360日 360日 360日

出典:厚生労働省「離職理由による基本手当の給付制限期間・被保険者期間・所定給付日数の比較」

このように、就職困難者として認定され、雇用保険の被保険者期間が1年以上ある場合は、45歳未満で300日、45歳以上65歳未満で360日の所定給付日数となります。なお、被保険者期間が1年未満の場合は150日です。一般の離職者の所定給付日数が90〜150日であることと比べると、条件によっては約2〜4倍の差があります。

なお、就職困難者であっても、給付制限の有無は離職理由によって決まります。正当な理由なく自己都合で退職した場合は、2025年4月1日以降の離職について原則1か月の給付制限があります。一方、正当な理由のある自己都合退職など、離職理由によっては給付制限がない場合があります。
出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)」
最終的な離職理由の判定はハローワークが行うため、個別に確認しましょう。

つまずきやすい点

「給付日数が長い=受け取り総額が多い」とは限りません。1日あたりの基本手当日額は、直近6か月の賃金をもとに算出されます。総額の見積もりはハローワークの窓口または公式の計算ツールで確認しましょう。

ステップ3:離職票と必要書類を揃える

やること

ハローワークへ行く前に以下の書類を準備します。

  • 離職票(1・2):退職後、会社が雇用保険被保険者資格喪失届・離職証明書をハローワークに提出し、ハローワークが離職票を発行します。会社の提出期限は、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内です。
    出典:厚生労働省「雇用保険 手続き一覧表」
    離職票の交付を希望しているにもかかわらず、離職日の翌々日から10日を過ぎても届かない場合は、まず会社に手続き状況を確認しましょう。会社が手続きをしていない場合や、確認しても届かない場合は、住居所を管轄するハローワークに相談してください。
  • 雇用保険被保険者証:会社が保管していることが多いので返却してもらいます。
  • マイナンバーカード(または通知カード+身元確認書類)
  • 写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
  • 本人名義の銀行口座通帳またはキャッシュカード
  • 障害者手帳または診断書等(就職困難者認定に必要)

つまずきやすい点

離職票が届く前でも、ハローワークへの求職申込みは可能です。離職票が遅れていても先に窓口へ相談しに行くことができます。また、障害者手帳の申請中の場合は診断書等で代替できることがあるので、書類が揃っていなくても「相談だけ先にする」という使い方も有効です。

ステップ4:ハローワークで求職申込み・就職困難者認定を受ける

やること

ハローワークへ行ったら、まず求職申込み(求職者登録)を行います。そのうえで、窓口担当者に「就職困難者として認定を希望する」と伝え、障害者手帳または診断書等を提示します。

就職困難者に該当するかどうかは、雇用保険の受給資格決定時の状態をもとに判断されます。受給資格決定時に就職困難者であることが確認できていなかった場合でも、後日、受給資格決定時点ですでに該当していたことが確認できれば、就職困難者として取り扱われ、必要に応じて所定給付日数が変更されることがあります。
出典:厚生労働省「雇用保険法その他関係法令の施行について」
障害者手帳など就職困難者に該当することを確認できる書類がある場合は、雇用保険の受給手続きをする際にハローワークへ提示し、早めに相談しておくと手続きがスムーズです。すでに受給資格決定を受けた後で該当する可能性に気づいた場合も、ハローワークに確認しましょう。

なお、障害者雇用枠での求職活動を希望するかどうかは別途確認されます。就職困難者認定と障害者雇用枠での求職登録は連動していますが、あなたの希望や状況によってオープン・クローズ就労をどうするかを担当者と話し合うことができます。

つまずきやすい点

「障害者雇用枠でしか仕事を紹介してもらえなくなるのでは?」と心配する方もいますが、そうではありません。求職活動の幅は担当者と相談しながら決められます。自分の意向をしっかり伝えることが大切です。

ステップ5:待機期間・給付制限期間を確認する

やること

受給資格が決定されると、まず失業している日が通算7日間に達するまでの「待期」があります。
出典:厚生労働省「雇用保険法」第21条
待期中にアルバイト等で就労した場合、その就労日は原則として待期の7日間に算入されないため、待期満了がその分後ろにずれることがあります。就労した場合は必ずハローワークへ申告しましょう。
また、正当な理由のない自己都合退職の場合、2025年4月1日以降の離職では、7日間の待期満了後に原則1か月の給付制限があります。離職日から遡って5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合退職によって受給資格決定を受けている場合などは、給付制限が3か月となります。
出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)」
なお、就職困難者として認定されたこと自体を理由に、自己都合退職の給付制限が免除・短縮されるわけではありません。給付制限の有無は離職理由によって判断され、正当な理由のある自己都合退職など「特定理由離職者」に該当する場合には、給付制限がないことがあります。最終的な離職理由の判定はハローワークが行うため、離職理由に事情がある場合は受給手続きの際に相談しましょう。

つまずきやすい点

待機期間中・給付制限中でも「求職活動」は続けておく必要があります。認定日ごとに求職活動の実績を報告しますので、何もしなかった期間があると給付が受けられないことがあります。通院や体調管理との兼ね合いで活動が難しい場合も、その事情を担当者に相談することをおすすめします。

ステップ6:認定日ごとに来所し、給付を受け続ける

やること

ハローワークから指定された認定日ごとに来所し、前回の認定日から今回の認定日までの失業状態と求職活動実績を申告します。認定されると指定の口座へ基本手当が振り込まれます。

体調の問題で認定日に来所できない場合は、事前にハローワークへ連絡を。傷病手当(雇用保険の傷病手当)の申請に切り替えられるケースもあります。

つまずきやすい点

就職が決まった場合は速やかにハローワークへ報告が必要です。就職後も一定の要件を満たせば「就業促進手当(再就職手当)」が受給できる可能性があります。受給しながら転職活動をしているあなたには、この制度も確認しておく価値があります。

準備するもの・相談先

持参するもの(ハローワーク初回来所時)

  • 離職票(1・2)
  • 雇用保険被保険者証
  • マイナンバーカード(または通知カード+身元確認書類)
  • 写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
  • 本人名義の銀行口座通帳またはキャッシュカード
  • 障害者手帳 / 診断書 / 療育手帳(いずれか該当するもの)

主な相談先

  • ハローワーク(公共職業安定所):雇用保険・求職申込み・就職困難者認定の窓口。まずここへ。
  • 就労移行支援事業所・就労定着支援:退職〜転職活動中の支援全般を相談できます。失業保険の手続き同行支援を行っている事業所もあります。
  • 社会保険労務士(社労士):雇用保険の受給条件や給付額の計算など、個別の状況を詳しく相談したい場合に。
  • 市区町村の障害福祉窓口:手帳の取得支援や生活保護・各種手当など、生活全体の支援について相談できます。

現場からのひとこと

就労支援の現場では、「退職したあとにハローワークへ行ったけれど、就職困難者として申請できると知らなかった」という声をよく聞きます。一度受給資格が決定されてしまうと、後から就職困難者として認定をやり直すことが難しいケースもあるため、最初の来所時に必ず手帳や診断書を持参して申し出ることが重要です。

また、給付日数が長いからといって活動をのんびりすればいいというわけではありません。認定日ごとの求職活動実績の報告が必要なため、体調に合わせた活動計画を立てておくことが大切です。就労移行支援や就労定着支援を利用中・利用予定の方は、担当の支援員と一緒にスケジュールを組むと安心です。

まとめ|今日からできる最初の一歩

失業保険と障害者の就職困難者認定について、ポイントを整理します。

  • 障害者等で就職が困難な方は、雇用保険上の「就職困難者」に該当する場合があります。身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳などで確認されるほか、状況によっては医師の証明書などによって確認される場合もあります。
  • 就職困難者の所定給付日数は、算定基礎期間が1年以上の場合、45歳未満は300日、45歳以上65歳未満は360日です。算定基礎期間が1年未満の場合は150日です。
    出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」
  • 就職困難者であること自体を理由に、自己都合退職の給付制限が免除・短縮されるわけではありません。正当な理由のない自己都合退職の場合、2025年4月1日以降の離職では原則1か月の給付制限があります。
    出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)」
  • 就職困難者に該当するかどうかは、受給資格決定時の状態をもとに判断されます。受給資格決定時に確認できていなかった場合でも、後からその時点ですでに就職困難者に該当していたことが確認されれば、所定給付日数が変更される場合があります。そのため、障害者手帳など確認できる書類がある場合は、雇用保険の受給手続きの際にハローワークへ持参し、早めに相談するとよいでしょう。
  • 必要な書類や自分が対象になるか分からない場合は、まず住居所を管轄するハローワークに確認しましょう。就労支援機関や相談支援機関に、手続きについて相談することもできます。

「手帳がまだない」「退職したばかりで何から始めればいいか不安」という場合も、相談するだけなら費用も資格も不要です。今日できる最初の一歩は、お住まいのハローワークに電話して来所予約をすることです。あなたの状況に合った受け取り方をしっかり確認してから動けるよう、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。

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監修者

この記事の監修者

監修:雨宮久美子

サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」

就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。

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