難病がある人の働き方と使える制度まとめ|支援現場が解説

難病がある人の働き方と使える制度まとめ|支援現場が解説 障害者雇用の基礎知識

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「難病があっても働き続けたい」「どんな制度が使えるのか、まず知りたい」——そんな思いで検索してここにたどり着いたなら、この記事はあなたのために書いています。難病がある人の働き方と使える制度は、情報が複数の省庁や機関に分散していて、何から調べればいいか迷いやすい領域です。この記事では、難病を抱えながら仕事を続けるうえで知っておきたい制度の基本から、就労支援の活用方法まで、支援現場の視点を交えながらまとめています。

結論・要点まとめ

まず大事なポイントを3点でお伝えします。

  • 難病があっても、障害者手帳がなくても使える就労支援制度は複数あります。
  • 一部の難病では障害者雇用枠・障害福祉サービスが利用できる場合があります。
  • 職場への配慮申請、休職・復職支援など、「仕事との両立」に特化した仕組みも整備されています。

難病とは?まず「対象かどうか」を確認しよう

難病の働き方と制度を考えるうえで、最初に押さえたいのが「自分が対象になるか」という点です。

難病・指定難病の定義

「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」では、難病を「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」と定義しています。
出典:厚生労働省「難病の患者に対する医療等に関する法律」第1条

そのなかでも、国が医療費助成の対象として指定した疾患が「指定難病」です。2024年4月1日時点で、指定難病は341疾病が対象とされています。
パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などが指定難病に含まれています。

自分の疾患が指定難病に該当するかは、主治医や各都道府県の難病相談支援センターに確認するのが確実です。

障害者手帳がなくても制度は使えるの?

手帳がなくてもまず相談

難病がある人でも、障害者手帳(身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳のいずれか)を持っていないケースは少なくありません。「手帳がないと何も使えない」と思い込んでいる人もいますが、それは正確ではありません。難病の働き方を支える制度には、手帳の有無にかかわらず利用できるものがあります。次の章でくわしく見ていきましょう。

難病がある人が使える主な制度・支援

3つの支援を組み合わせる

難病の働き方と制度という観点から、代表的な仕組みをカテゴリ別に整理します。

① 医療費助成制度(指定難病)

働き続けるうえで、医療費の負担は大きな不安要素のひとつです。指定難病と診断され、一定の認定基準を満たした場合は、「特定医療費(指定難病)助成制度」を利用できます。医療費助成の対象となると、医療保険上の自己負担割合が3割の方は2割に軽減され、さらに所得などに応じた月額の自己負担上限額が設定されます。
出典:厚生労働省「難病対策」
なお、指定難病と診断されただけで必ず助成対象になるわけではなく、原則として疾病ごとの重症度基準を満たす必要があります。ただし、重症度基準を満たさない場合でも、一定額以上の医療費が継続している場合は「軽症高額」として対象になることがあります。医療費助成の相談・申請については、現在お住まいの都道府県・指定都市の相談窓口(保健所等)に確認しましょう。

② 障害者総合支援法にもとづく福祉サービス

2013年4月の障害者総合支援法の施行により、障害者の範囲に「難病等」が追加され、対象となる難病患者等も障害福祉サービスを利用できるようになりました。
出典:厚生労働省「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)」
障害者手帳を持っていない場合でも、障害者総合支援法の対象疾病に該当し、市区町村から必要性が認められれば、障害福祉サービス等を利用することができます。利用できるサービスや必要な手続きは本人の状態によって異なるため、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口などに確認しましょう。

  • 就労移行支援:一般就労を目指すためのトレーニングや求職活動のサポート
  • 就労継続支援A型・B型:一般就労が難しい段階でも働く場と収入を得られる仕組み
  • 就労定着支援:就職後の職場定着を支援するサービス
  • 居宅介護・移動支援など:生活面のサポートを通じて就労を間接的に支える

利用にあたっては、居住する市区町村の窓口で「支給決定」を受ける必要があります。主治医の意見書や認定調査が必要になるケースが多いので、早めに相談することをおすすめします。

③ 障害者雇用枠・合理的配慮

障害者雇用促進法にもとづく障害者雇用枠(特定求人)を利用するには、原則として障害者手帳が必要です。一方で、難病のある方は、ハローワークの障害者向け専門窓口などで、症状や就労上の困りごとに応じた職業相談・職業紹介などの支援を受けることができます。また、一部のハローワークには「難病患者就職サポーター」が配置され、難病相談支援センターと連携しながら、就職活動や職場定着、雇用継続などの支援を行っています。
出典:厚生労働省「難病患者の就労支援」

また、障害者手帳の取得が可能であれば、雇用枠の利用も選択肢に入ります。難病の症状や経過によっては身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の取得要件を満たす場合があるため、主治医に相談してみましょう。

さらに、障害者雇用促進法では、事業主に対して、障害のある求職者や労働者が仕事をするうえで支障となっている事情を改善するため、障害の特性に応じた合理的配慮を提供することが義務づけられています。ただし、事業主に過重な負担となる場合は除かれます。
出典:厚生労働省「雇用の分野における障害者への差別禁止・合理的配慮の提供義務」
難病がある場合も対象になりえます。通院のための時間調整、体調に応じた業務内容の変更、休憩スペースの確保などを職場に申し出る根拠になります。


合理的配慮の伝え方メーカー

④ 難病相談支援センター

難病相談支援センターは、難病のある方の療養生活上の相談や就労支援、地域交流などを行う拠点として各都道府県に設置されています。難病患者やその家族からの相談は、原則として無料で受けることができます(一部事業を除く)。
出典:厚生労働省「難病患者の就労支援」
センターによっては、難病患者等としての経験を活かして相談に応じるピアサポーターが配置されている場合もあります。療養生活や仕事、利用できる制度について「どこに相談すればよいか分からない」というときの相談先のひとつです。

⑤ 産業医・両立支援コーディネーターの活用

すでに在職中の場合は、職場の産業医や、治療と仕事の両立支援に関わる「両立支援コーディネーター」に相談する方法もあります。両立支援コーディネーターは、治療を受けながら働く方に寄り添い、本人の同意を前提として、企業や医療機関など関係者間の情報の橋渡しや調整、継続的な相談支援を行います。
出典:厚生労働省「治療と仕事の両立支援ナビ」
主治医の意見や本人の希望、仕事内容などを踏まえながら、必要な配慮の整理や、両立支援プラン・職場復帰支援プランの検討につなげることができます。両立支援コーディネーターは、医療機関、企業、産業保健総合支援センターなどで活動しているため、職場や通院先に相談窓口があるか確認してみましょう。

難病と仕事を両立するための実践的な考え方

制度を知ることと同じくらい大切なのが、日常の働き方の工夫です。難病の働き方を考えるとき、「今の状態でどう働くか」と「長く働き続けるためにどう環境を整えるか」の両方の視点が必要です。

体調の波を前提にした働き方を設計する

体調に合わせて働き方を調整

難病の多くは、症状が落ち着いている時期と悪化する時期(寛解・再燃)を繰り返したり、日によって体調が変動したりする特性があります。「体調が良いときにフルパワーで頑張る」という働き方は、長期的には消耗につながりやすいです。体調の波を前提にしたスケジュール管理、通院日の確保、フレックスタイム制やテレワークの活用などを、職場と相談しながら組み立てることが現実的な両立の鍵になります。

「開示・非開示」の選択は慎重に、でも一人で抱えすぎない

難病があることを職場に伝えるかどうかは、あなた自身が決めることです。開示することで合理的配慮を受けやすくなる反面、プライバシーや人間関係への影響を懸念する人も多くいます。就労移行支援や難病相談支援センターのスタッフと一緒に、開示の範囲・タイミング・伝え方を整理することで、準備を整えてから踏み出すことができます。一人で悩まずに、専門家を活用してください。

制度は「組み合わせて使う」が基本

医療費助成、障害福祉サービス、職場の合理的配慮——これらは別々に存在していますが、難病の働き方と制度を活用するうえでは「組み合わせ」が基本です。たとえば、就労移行支援を使いながら特定医療費の助成を受け、ハローワークの専門援助を経て就職し、就労定着支援で職場定着を図る、というルートは現実的な選択肢のひとつです。

現場からのひとこと

就労支援の現場でよく聞くのは、「難病と診断されてから、仕事のことを相談できる場所がわからなかった」という声です。医療機関では治療に集中し、職場には言い出せず、制度の情報は調べてもバラバラ——そういう状況で孤立しているケースが少なくありません。支援機関に相談に来るタイミングが早ければ早いほど、選択肢は広がります。「まだ働けているから大丈夫」という段階であっても、制度や環境整備を先手で準備することが、長く安定して働くことにつながります。

また、難病の症状や仕事への影響は疾患ごとに大きく異なるため、支援者も「難病だからこの支援」という画一的な対応はできません。あなた自身の体調のパターン、仕事でやりたいこと、生活のなかで大切にしていることを一緒に整理しながら、その人に合ったプランを考えていくのが支援の基本です。ぜひ、一度相談の扉を叩いてみてください。

よくある質問

Q1. 障害者手帳がなくても就労移行支援は使えますか?

難病等で障害者総合支援法の対象になっていると認められた場合、障害者手帳がなくても就労移行支援などの障害福祉サービスを利用できる可能性があります。市区町村の窓口または支援機関に相談し、支給決定を受ける手続きを確認してみましょう。

Q2. 今の職場に難病のことを伝えないといけませんか?

法律上、難病を職場に開示する義務はありません。ただし、合理的配慮を求めるためには、ある程度の状況を伝える必要が生じます。開示の範囲や方法については、就労支援のスタッフや難病相談支援センターと一緒に整理することをおすすめします。

Q3. 指定難病ではない難病でも制度は使えますか?

障害者総合支援法の対象疾患と、指定難病の対象疾患は一部異なります。自分の疾患が各制度の対象かどうかは、主治医や市区町村の窓口、都道府県の難病相談支援センターに確認するのが確実です。対象外であっても、ほかの制度や支援が使えるケースがあります。

Q4. 休職中でも就労移行支援は使えますか?

休職中の利用については、在籍企業との関係や雇用保険の扱いなど、個別の状況によって異なります。支給決定の可否も含め、市区町村の担当窓口や支援機関に事前に相談することをおすすめします。

Q5. ハローワーク以外に相談できる場所はありますか?

難病の働き方と制度について相談できる窓口は複数あります。都道府県の難病相談支援センター、地域障害者職業センター、就労移行支援事業所、医療機関の医療ソーシャルワーカー(MSW)などが代表的です。複数の窓口を組み合わせて使うことも有効です。

まとめ|次にやること

難病の働き方と制度は複雑に見えますが、整理すると大きく「医療費の負担を減らす」「福祉サービスで就労を支える」「職場での配慮を整える」という3つの方向性があります。どれか一つではなく、状況に合わせて組み合わせて活用することが大切です。

まず今日できることとして、以下を確認してみましょう。

  • 自分の疾患が指定難病・障害者総合支援法の対象かを主治医に確認する
  • 都道府県の難病相談支援センターに電話または来所で相談する
  • 近くの就労移行支援事業所に見学・相談を申し込む
  • ハローワークの専門援助窓口を訪問する

一人で全部調べようとしなくて大丈夫です。支援機関のスタッフは、あなたの状況を一緒に整理することを仕事にしています。まず相談してみることが、次の一歩につながります。

「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。

はたらく森(A型・就労移行)の見学で無料で相談できます。


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監修者

この記事の監修者

監修:雨宮久美子

サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」

就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。

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