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「A型事業所をすぐ辞めたい」と感じていませんか。通い始めてまだ日が浅いのに「合わないかも」「続けられない」と思うのは、珍しいことではありません。でも、勢いだけで退所を決めると後悔することもあります。この記事では、A型事業所をすぐ辞めるかどうか迷っているあなたに向けて、退所を決める前に立ち止まって確認してほしい5つのポイントをチェックリスト形式でまとめました。印刷やメモアプリへのコピーもOKです。自分のペースで使ってください。
※A型事業所の制度の基本(対象者・賃金の仕組みなど)は別記事で詳しく解説しています。ここでは「在籍中に辞めたくなった」場面に絞って話を進めます。
チェックリスト
以下のリストを読みながら、自分に当てはまるものに印をつけてみてください。チェックの数や内訳が、次のステップを考えるヒントになります。
① 「辞めたい」気持ちの原因を確認する
- 辞めたい理由が、「職場の環境(人間関係・作業内容)」にある
- 辞めたい理由が、「自分の体調・精神的な疲れ」にある
- 辞めたい理由が、「通所のルール・時間帯が合わない」にある
- 辞めたい理由が、「賃金・待遇への不満」にある
- 辞めたい理由が、「目標(一般就労)への焦り」にある
- 「なぜ辞めたいのか」を自分の言葉で1文書けるか確認した
② 支援者・担当者に相談したかを確認する
- 担当の支援員に「辞めたい」「つらい」と伝えたことがある
- 相談したが解決策が出なかった(それでも辞めたい、という状態)
- 相談せずにいる理由(言いにくい・どうせ変わらない等)を整理した
- 相談窓口として、事業所外の計画相談支援員(相談支援専門員)がいる
③ 退所後の見通しを確認する
- 退所後に次の行き先(一般就労・他の福祉サービス・自宅療養など)のイメージがある
- 就労継続支援A型で雇用契約を結んで働いている場合、退職時には労働契約上の手続きが必要です。期間の定めのない雇用契約では、民法上、退職の申入れから原則2週間を経過すると雇用契約が終了します。ただし、有期雇用契約では取扱いが異なるため、雇用契約書や就業規則を確認する必要がある
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件―退職、解雇、雇止めなど」 - 退所後の収入・生活費の見通しを立てた(または家族・支援者と確認した)
- 利用している障害福祉サービス受給者証の有効期限・切り替えを確認した
④ 「すぐ辞める」以外の選択肢を検討したかを確認する
- 作業内容・勤務日数・時間帯の変更を事業所に相談した(またはできそうか検討した)
- 体調不良を理由に一時的に休む(欠勤・休業)ことを選択肢として考えた
- 同じ法人の別事業所・他のA型事業所への移籍を選択肢として考えた
- B型事業所や就労移行支援など、別の福祉サービスへの移行を検討した
⑤ 感情ではなく状況で判断できているかを確認する
- 「辞めたい」と思い始めてから、少なくとも1週間以上その気持ちが続いている
- つらいと感じる出来事があった直後(1〜2日以内)ではない状態で考えている
- 主治医やカウンセラーなど医療サポートのある人は、主治医に現状を伝えた
- 「A型事業所をすぐ辞める」以外の言葉で自分の希望を表現できる(例:「もっと短時間で働ける場所が欲しい」「プレッシャーの少ない環境で働きたい」など)
記入例・言い換え例
支援員や相談支援専門員に退所の意向を伝えるとき、どんな言葉を使えばいいか迷う人も多いです。以下はあくまで「例」です。自分の状況に合わせてアレンジしてください。
| 伝える場面 | 言いにくい気持ち | 使いやすい言い換え例 |
|---|---|---|
| 支援員に相談するとき | 「もう辞めたい」と直接言いにくい | 「最近通うのがしんどくて、このまま続けられるか不安になっています。少し話を聞いてもらえますか」 |
| 退所の意思を伝えるとき | 「辞めます」だけでは伝わりにくい | 「○月末で退所したいと考えています。手続きについて教えてください」 |
| 相談支援専門員に連絡するとき | 何から話せばいいかわからない | 「今の事業所を辞めることを考えています。次のサービスに移るために相談したいのですが、時間をとってもらえますか」 |
| 家族に説明するとき | 「また辞めるの?」と思われそうで言えない | 「続けようとしたけど、今の環境では体がもたないと気づきました。次のステップについて一緒に考えてほしいです」 |
退所理由の整理メモ(記入例)
支援員や相談員に伝える前に、自分の気持ちを整理するためのメモ例です。
- 辞めたい一番の理由:例)「作業中に大きな音がずっとしていて、集中できずにパニックになりそうになる」
- いつ頃から辞めたいと思い始めたか:例)「通い始めて2週間後くらいから」
- 相談したことがあるか:例)「担当の支援員に一度話したが、『もう少し様子を見て』と言われた」
- 退所後にしたいこと・行きたい場所:例)「もう少し短時間で通えるB型か、自宅で休んでから就労移行に移りたい」
よくあるつまずき
「相談したら引き止められそうで言えない」
「辞めたいと言ったら引き止められる」「迷惑をかけそう」と感じて、誰にも言えないまま突然退所してしまうケースがあります。ただ、事業所側も「気づかなかった」「もっと早く言ってくれれば対応できた」と感じることが多いです。まず「続けるか迷っている」という段階での相談は、退所の意思決定とは別のことです。相談しても最終的に退所を選ぶことはできます。
「通い始めてすぐ辞めるのは甘えでは?」と思ってしまう
A型事業所をすぐ辞めることを「甘え」と捉える必要はありません。環境が合わないと感じるのは、あなたの努力不足ではなく、その事業所とあなたの特性・ニーズのミスマッチである場合がほとんどです。大切なのは「この事業所を続けられるか」ではなく、「自分に合った働き方・環境を見つけられるか」です。
「すぐ辞めると履歴書に書けない・次が不利になる」という不安
就労継続支援A型では原則として事業所と利用者が雇用契約を結んで働くため、A型事業所で働いた期間は職歴として履歴書などに記載できます。
出典:厚生労働省「障害福祉サービスの内容」
在籍期間が短かった場合、次の採用選考で退職理由を確認されることはありますが、短期間で辞めたことだけで次の就職が決まるわけではありません。「仕事内容が合わなかった」「体調に合わせて働き方を見直した」など、退職した理由と、その経験を踏まえて次の職場でどう働きたいかを整理して伝えることが大切です。また、A型を短期間で退職したことだけを理由に、他の障害福祉サービスが一律に利用できなくなるわけではありません。今後の働き方や利用する支援に迷った場合は、相談支援専門員や就労支援機関などに相談しましょう。
「退所手続きがわからない」
就労継続支援A型では、福祉サービスの利用終了に加えて、雇用契約上の退職手続きも確認する必要があります。期間の定めのない雇用契約の場合、民法第627条により、労働者が退職を申し入れてから原則2週間を経過すると雇用契約が終了します。一方、有期雇用契約の場合は取扱いが異なるため、雇用契約書や就業規則を確認することが大切です。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件-退職、解雇、雇止めなど」
また、A型の利用終了に伴い、障害福祉サービスの支給決定について市区町村への連絡や手続きが必要になる場合があります。障害福祉サービスの種類などを変更する場合には、市区町村へ支給決定の変更申請を行う仕組みがあります。
出典:障害者総合支援法 第24条
まずは事業所の担当者や相談支援専門員、市区町村の障害福祉担当窓口に確認しましょう。
現場からのひとこと
支援の現場にいると、「もっと早く言ってくれれば何か変えられたのに」と感じる退所のケースと、「早めに動いたことで次のステップにうまく繋がった」ケースの両方を目にします。A型事業所をすぐ辞めること自体が良い・悪いというより、「なぜ辞めたいのか」が整理されているかどうかが、その後の生活や就労に大きく影響します。
「つらいけど言えない」という状態が一番長引きやすいです。事業所内の支援員に話しにくければ、計画相談支援員(相談支援専門員)や、事業所外の就労・生活支援センターなど、第三者の窓口に連絡することも選択肢のひとつです。あなたの「辞めたい」という気持ちは、次の環境を探すためのサインかもしれません。その気持ちを誰かと一緒に整理することを、ぜひ試してみてください。
まとめ
A型事業所をすぐ辞めるかどうか、迷っているあなたへ。この記事でお伝えしたことを整理します。
- 「辞めたい」理由を具体的な言葉で整理することが、最初のステップ
- 退所を決める前に、支援員・相談支援専門員への相談や、勤務条件の変更交渉という選択肢がある
- A型事業所をすぐ辞めること自体を責める必要はない。大切なのは「次にどうするか」
- 退所には手続き(申し出の時期・受給者証の変更など)が伴うので、事前確認を忘れずに
- 感情が高ぶっている直後より、少し落ち着いた状態で判断するのが後悔を減らすコツ
「このチェックリストを見て、もう少し相談してみようと思えた」という人も、「やっぱり退所を進めようと気持ちが固まった」という人も、次の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。A型事業所や就労支援の選び方・移行の流れについては、関連記事もあわせて参考にしてください。
「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。
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この記事の監修者
監修:雨宮久美子
サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」
就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。


