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「就労移行支援は2年が過ぎたら、もう使えないの?」「2年たっても就職が決まらなかったらどうすればいい?」──利用を始めた当初は先が長く感じていたのに、気づいたら2年という利用期間の終わりが近づいていた、という声はとても多く聞かれます。
この記事では、就労移行支援の2年が過ぎたあとに選べる4つのルート(延長申請・再利用・就労継続支援A型・B型への切り替え・一般就労)を比較しながら、「自分はどのルートが合っているか」を判断する材料をわかりやすく整理します。制度の基本的な仕組みについては「就労移行支援とは」の記事でご確認ください。
結論・要点まとめ
まず3点だけ先にお伝えします。
- 就労移行支援の標準利用期間は2年間で、標準利用期間を超えてさらに利用する必要がある場合は、市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められれば、最大1年間の支給決定期間の更新が可能です(原則1回)。
出典:厚生労働省「介護給付費等の支給決定等について」 - 2年を過ぎても就職が決まっていない場合、延長のほか「再利用」「A型・B型への切り替え」という選択肢がある。
- どのルートが合っているかは、就労準備状況・体調・本人の希望・市区町村の判断など複数の要素で決まるため、期間終了の3〜6か月前から担当の支援員と相談を始めることが大切。
就労移行支援の「2年」とは?まず押さえておきたい基本
就労移行支援は、一般就労を目指す障害のある方に対して、就労に必要な知識や能力を身につけるための訓練、職場体験、求職活動、職場探し、就職後の定着に向けた支援などを行う障害福祉サービスです。就労移行支援の標準利用期間は2年間です。標準利用期間を超えてさらに利用する必要がある場合には、市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められれば、最大1年間の更新が可能です(原則1回)。
出典:厚生労働省「介護給付費等の支給決定等について」
この「2年」はあくまで支給決定期間の上限であり、毎年(または半年ごと)の更新手続きが必要です。支給決定の残り期間と「2年の上限まであと何か月か」は別の話なので、担当の支援員や相談支援専門員に現在の残り期間を確認しておきましょう。
2年が過ぎたら選べる4つのルート
就労移行支援の2年が過ぎたらどうなるか、選択肢ごとに整理します。自分に当てはまるかどうかのポイントもあわせて確認してください。
ルート① 期間延長を申請する
就労移行支援の標準利用期間である2年間を超えて、さらにサービスを利用する必要がある場合には、市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められれば、最大1年間の支給決定期間の更新が可能です(原則1回)。
出典:厚生労働省「介護給付費等の支給決定等について」
延長が認められるかどうかは、以下のような事情を市区町村が総合的に判断します。
- 就労の見込みがあり、もう少し支援期間があれば就職につながる可能性が高い
- 病気の悪化・入院など、本人の責によらない事情で訓練が十分に進まなかった
- 就職内定後の職場定着支援を継続する必要がある
延長申請の手続きは事業所だけでは完結しません。相談支援専門員・市区町村の担当窓口と連携し、期間満了の2〜3か月前を目安に動き始めることをおすすめします。申請が遅れると支給決定が間に合わないケースもあります。
こんな方に向いている:就職活動が具体的に進んでいる、内定後の定着支援が必要、途中で体調が崩れて訓練期間が短くなってしまった、など。
ルート② 一度終了して「再利用」する
就労移行支援は、一度利用を終了したら二度と利用できない制度ではありません。厚生労働省は、就労移行支援について複数回の利用が可能としており、例えば就労移行支援を利用して就職した後に離職し、再び一般就労に向けた支援が必要になった場合などには、再利用が認められることがあります。
出典:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」
ただし、再利用できるかどうかや利用できる期間は一律ではなく、市区町村がこれまでの利用状況や現在の就労状況、支援の必要性などを個別に勘案して支給決定を行います。そのため、再利用を希望する場合は、市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援専門員に相談しましょう。
再利用の場合、通算の利用期間のカウント方法や、同じ事業所を使えるかどうかは市区町村・事業所の状況によって異なります。「一度就職したが合わなかった」「離職してしまった」という方は、まずハローワーク・相談支援専門員・自治体窓口に相談してみましょう。
こんな方に向いている:就職後に離職し、改めて就職活動の準備が必要になった方。
ルート③ 就労継続支援A型・B型に切り替える
2年が過ぎたあと、就労継続支援に移行するというルートも現実的な選択肢の一つです。A型・B型それぞれの特徴を簡単に整理します。
| 項目 | A型 | B型 |
|---|---|---|
| 雇用契約 | あり(雇用契約を締結した利用者には、労働基準法をはじめとする労働関係法令が適用) | なし |
| 賃金・工賃 | 原則として最低賃金以上の賃金 | 工賃(令和6年度の全国平均工賃月額は24,141円) |
| 想定する状態 | 一般就労は難しいが雇用契約のもとで働ける | 体調・状態に波があり、マイペースで働きたい |
| 年齢要件 | 原則65歳未満(一定の要件を満たす場合は65歳以上も継続利用可能) | 原則18歳以上(年齢の上限なし(利用には対象要件あり)) |
A型・B型のどちらに進むかは、体調の安定度・働ける時間・収入の必要性・将来的に一般就労を目指すかどうかなど、さまざまな要素が絡み合います。どちらの事業所でも利用前に見学・体験ができることがほとんどなので、複数の事業所を比べてみることをおすすめします。
こんな方に向いている(A型):一定の体力・集中力はあるが一般就労の競争倍率・ペースが今の自分には合わないと感じる方。
こんな方に向いている(B型):体調に波があり、休みながら自分のペースで作業したい方。収入より「働く場・日課」を優先したい方。
ルート④ そのまま一般就労・障害者雇用枠での就職
就労移行支援の本来のゴールは一般就労(企業・官公庁などへの就職)です。2年という期間の中で就職活動が実を結んだ場合、または期間終了とほぼ同時期に内定が出た場合は、このルートになります。
就労移行支援などを利用して就職した場合、就職後は就労移行支援事業所等による職場定着支援を受けることができます。さらに、一般就労後6か月を経過し、就労に伴う生活面・社会生活面の課題があるなどの要件を満たす場合には、別の障害福祉サービスである「就労定着支援」を利用でき、利用期間は最長3年間です。
出典:厚生労働省「就労定着支援」
「就職して終わり」ではなく、就職後も職場や生活上の課題について支援を受けられる仕組みが用意されています。
障害者雇用枠・オープン就労・クローズ就労のどれが自分に合うかは、就労移行支援を使いながら整理していくことが多いテーマです。悩んでいる方は支援員に相談してみましょう。
ルート選びの判断ポイント:「2年終わったら」をどう考えるか
2年が近づいたら何をすべきか、以下のチェックリストを参考にしてください。
今の体調・生活リズムは安定しているか
- 週4〜5日、決まった時間に通所・出勤できるペースが続いているか
- 体調の波や服薬管理が安定してきているか(詳細は主治医に確認を)
「一般就労」への準備はどこまで進んでいるか
- 職業訓練・スキルアップの目標をある程度達成できているか
- 履歴書・職務経歴書の準備、模擬面接を繰り返しているか
- 就職活動を実際に始めているか(応募・面接の実績があるか)
収入・生活費の見通しはあるか
- 就職まで障害年金・生活保護・家族のサポートなどで生活費を賄えるか
- A型・B型の賃金・工賃水準で生活設計が成り立つか
これらの問いに対する答えが、ルート選びの出発点になります。「全部の答えが出てから決める」より、支援員・相談支援専門員と一緒に整理することで、一人で抱え込まずに前に進めることが多いです。
現場からのひとこと
支援の現場でよく感じるのは、「2年が過ぎたらどうなるんだろう」という不安を、一人でずっと抱えていたというケースの多さです。利用開始から1年半を過ぎたあたりで、「残り期間が気になってプレッシャーになってきた」と打ち明けてくれる利用者の方は少なくありません。
期間の終わりは「締め切り」ではなく「次のステージへの切り替え時」です。延長・切り替え・就職、どのルートであっても、決めるまでのプロセスで支援員や相談支援専門員は一緒に動けます。「もう時間がない」と感じ始めたら、それが相談のタイミングです。早めに声をかけてください。
よくある質問
Q1. 2年が過ぎたら、その日からサービスが止まってしまうのですか?
支給決定の有効期間が切れると、その翌日からサービスを受けることはできません。ただし延長申請が間に合っていれば継続できます。手続きには時間がかかるため、期間満了の2〜3か月前を目安に動き始めることをおすすめします。不安な方は事業所の担当支援員に「今の残り期間を教えてほしい」と聞いてみましょう。
Q2. 延長申請は誰でも認められますか?
いいえ、全員に自動的に認められるわけではありません。就労移行支援の標準利用期間である2年間を超えてさらに利用する必要がある場合は、市町村審査会の個別審査を経て、その必要性が認められた場合に限り、最大1年間の支給決定期間の更新が可能です(原則1回)。
出典:厚生労働省「介護給付費等の支給決定等について」
更新の可否は、これまでの支援状況や一般就労に向けた進捗、引き続き就労移行支援を利用する必要性などを踏まえて個別に判断されます。利用期間の終了が近づいたら、事業所や相談支援専門員、市区町村の障害福祉担当窓口と早めに相談しましょう。
Q3. A型に切り替えたあと、また就労移行支援に戻ることはできますか?
はい、状況によっては再び就労移行支援を利用できる場合があります。厚生労働省は、就労移行支援について複数回の利用が可能としており、過去に就労移行支援を利用したことがある場合でも、市町村が本人の現在の状況や一般就労に向けた支援の必要性などを個別に勘案し、支給決定を行います。
出典:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」
そのため、以前に標準利用期間の2年間を利用していたからといって、一律に再利用できなくなるわけではありません。ただし、再利用の可否や利用できる期間が自動的に決まるわけではないため、A型から就労移行支援への変更を検討する場合は、相談支援専門員や市区町村の障害福祉担当窓口と相談しましょう。
Q4. 就労移行支援の2年が過ぎたら、障害年金はどうなりますか?
就労移行支援の利用期間終了と障害年金の受給資格は直接連動していません。ただし、就職して収入が増えた場合は年金額の見直し(所得制限)が生じる場合があります。年金の詳細は年金事務所や社会保険労務士に確認してください。
Q5. 家族として、本人の「2年後」にどう関わればよいですか?
本人が期間終了をプレッシャーに感じていることは珍しくありません。「早く決めなさい」より「一緒に支援員に相談しよう」と伝える方が、本人の心理的な負担を減らせることが多いです。家族も担当の支援員・相談支援専門員に相談の場を設けてもらうことができるので、遠慮なく連絡してみましょう。
まとめ|次にやること
就労移行支援の2年が過ぎたらどうなるか、4つのルートをまとめます。
- 延長申請:就職の見込みがある・やむを得ない事情がある場合。期間満了2〜3か月前から動く。
- 再利用:就職後に離職し、改めて準備が必要な場合。市区町村・相談支援専門員に確認。
- A型・B型への切り替え:一般就労のペースが今は合わない場合。見学・体験から始める。
- 一般就労・障害者雇用枠への就職:就職後も定着支援を活用して職場に慣れる。
どのルートが合うかは、あなたの体調・スキル・生活状況・希望によって変わります。「2年が近づいてきた」と感じたら、まず事業所の支援員か相談支援専門員に話しかけることが、最初の一歩です。一人で答えを出そうとしなくて大丈夫です。
「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。
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この記事の監修者
監修:雨宮久美子
サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」
就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。


