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「就労支援員はやめとけ」と検索したあなたは、おそらくこんな不安を抱えているのではないでしょうか。「体力的・精神的にきつそう」「給料が低いと聞いた」「やりがいはあるのに長続きしない人が多いって本当?」。就労支援員という仕事に興味を持ちながらも、ネット上のネガティブな声が気になって一歩踏み出せない——この記事は、そんな人のために書きました。
結論から言うと、「就労支援員はやめとけ」は半分正解、半分誤解です。向いていない人にとっては確かにきつい仕事ですが、向いている人にとっては長く続けられる、やりがいの大きい仕事でもあります。ネガティブな側面を隠さず、正直にお伝えします。
結論:「やめとけ」は向いていない人への正直なアドバイス。向いている人には別の話
就労支援員はやめとけ、という声の多くは「こういう人には合わない」という経験からきています。介護・保育と並んで「やりがい搾取」と表現されることもあるこの職種ですが、一方で10年・20年と続けている支援員も多く存在します。
大切なのは、誤解を取り除いたうえで「自分はどちら側か」を見極めることです。以下の6つの誤解を読んで、自分の状況と照らし合わせてみてください。
誤解1:「とにかく給料が低くて生活できない」
実際は:給与水準は事業所や職種によって差がある
就労支援員の給与は、勤務する事業所や地域、経験年数、役職などによって異なります。厚生労働省の「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」では、福祉・介護職員等処遇改善加算を届け出ている事業所に勤務する常勤の就労支援員の平均給与額は月318,750円でした(勤続1年未満を含む)。
出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」
ただし、この金額はすべての就労支援員に当てはまるものではなく、雇用形態や勤続年数、事業所の処遇改善加算の取得状況などによって給与水準は異なります。「生活できないほど低い」と一律に判断するのではなく、実際の求人の基本給・手当・賞与などを確認することが大切です。
ただし、「生活できない」は誇張されているケースが多いです。実態を整理すると次のようになります。
- 厚生労働省の令和6年度調査では、福祉・介護職員等処遇改善加算を取得している事業所に勤務する常勤の就労支援員の平均給与額は月318,750円でした。ただし、この金額には基本給のほか手当や一時金等が含まれており、実際の給与は地域・法人・経験年数・雇用形態などによって異なります。
出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」 - 障害福祉分野では、職員の賃金改善を目的とした「福祉・介護職員等処遇改善加算」が設けられています。2024年度に従来の複数の処遇改善加算が一本化され、2026年度には対象職種の拡大など、さらなる処遇改善策が実施されています。
出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」 - 法人によっては、資格取得支援、住宅手当、資格手当、賞与など独自の福利厚生・待遇を設けている場合があります。求人を比較する際は、基本給だけでなく各種手当や賞与、年間休日なども確認するとよいでしょう。
「給料だけで就労支援員はやめとけ」と判断する前に、複数の法人・事業所の労働条件を比較することが重要です。同じ就労支援の仕事でも、法人の運営方針や規模によって待遇はかなり異なります。
誤解2:「精神的に病んでしまう。燃え尽きる人だらけ」
実際は:燃え尽きるのは「支援のやり方」の問題であることが多い
就労支援員がやめとけと言われる理由の中で、最もよく聞かれるのが「感情労働による消耗」です。利用者の就職がうまくいかないとき、職場定着が続かないとき——成果が見えにくい中で気力を保つのは確かに難しい場面があります。
しかし、燃え尽きる人と長く続けられる人の違いを観察すると、燃え尽きる人の多くは「自分が何とかしなければ」という思い込みを持ちやすい傾向があります。支援は「その人の人生を代わりに生きる」ことではなく、「その人が自分の力で歩けるよう、環境を整える」仕事です。
適切なスーパービジョン(上司や先輩による振り返りの機会)や、チームで支援する文化がある職場では、燃え尽きのリスクは大きく下がります。就労支援員を続けている人たちが口をそろえて言うのは、「一人で抱え込まないこと」です。
誤解3:「就職させるノルマがきつくて、利用者のことを考える余裕がない」
実際は:数字の追い方は事業所によって大きく異なる
就労移行支援事業所では、利用者が一般就労した後、6か月以上職場に定着した割合(就労定着率)が基本報酬に反映される仕組みがあります。現在の報酬体系では、就労定着率が高い事業所ほど、基本報酬が高く設定されています。
出典:厚生労働省「就労移行支援サービス費」
そのため、就労移行支援事業所にとって、利用者の一般就労や就職後の職場定着は重要な実績の一つです。ただし、こうした報酬制度があることだけをもって、「事業所に就職ノルマがある」「利用者を無理に就職させている」と一律に判断することはできません。事業所を選ぶ際は、就職者数だけでなく、就職後の定着実績や本人の希望に沿った支援が行われているかも確認するとよいでしょう。
ただし、すべての事業所がそうではありません。利用者一人ひとりの「その人らしい働き方」を大切にしながら、長期定着を目標に置く事業所も多くあります。就職率の高さだけを追うのではなく、定着率や支援の丁寧さを重視する事業所を選ぶことで、この問題はかなり緩和できます。
就職活動の段階で「定着支援はどう行っていますか」「利用者の目標はどう設定しますか」と質問することで、事業所の方針を見極める材料になります。
誤解4:「資格がないと就労支援員にはなれない」
実際は:無資格・未経験でも就ける場合がある
就労支援員はやめとけ以前に「自分には資格がないから無理」と最初からあきらめている人も少なくありません。しかし実態はどうでしょうか。
就労移行支援事業所に配置される「就労支援員」や、就労継続支援A型・B型事業所に配置される「職業指導員」「生活支援員」については、国の人員配置基準上、社会福祉士など特定の国家資格が一律の必須要件とはされていません。
出典:厚生労働省「障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」
そのため、資格を持っていない人でも、事業所の採用条件を満たせば就労支援の仕事に就ける場合があります。一方、社会福祉士・精神保健福祉士・作業療法士などの資格や、福祉・医療・企業での経験が支援業務に活かされることもあります。なお、サービス管理責任者など、別途実務経験や研修等の要件が定められている職種もあります。
就労支援の現場では、IT・事務・製造業・接客などの実務経験が、利用者の就職相談において直接役立つことも多くあります。前職の経験を「弱み」ではなく「武器」として持ち込めるのが、この職種のユニークな点です。
誤解5:「キャリアアップの道がなく、ずっと同じ仕事のまま」
実際は:サービス管理責任者・管理者・法人内外でのキャリアパスがある
就労支援員の仕事はキャリアが行き詰まる、という声も「やめとけ」の理由に挙げられます。しかし、実際のキャリアパスを見ると選択肢はいくつかあります。
- サービス管理責任者(サビ管)へのキャリアアップ:サービス管理責任者は国家資格ではありませんが、一定の相談支援・直接支援などの実務経験を積み、所定の基礎研修やOJT、実践研修などの要件を満たすことで、障害福祉サービス事業所のサービス管理責任者として配置されることができます。
出典:厚生労働省「指定障害福祉サービスの提供に係るサービス管理を行う者として厚生労働大臣が定めるもの等」
サービス管理責任者は、個別支援計画の作成・評価や関係機関との調整、支援職員への助言など、サービス提供の中心的な役割を担います。 - 管理者・施設長へのキャリア:経験を積み、事業所の運営や職員管理などを担う管理者を目指す道もあります。なお、サービス種別によって管理者に求められる要件が定められている場合があります。
- 専門資格の取得:社会福祉士・精神保健福祉士などについて、受験資格を満たすための養成課程等を経て国家試験に合格し、専門性を高める方法もあります。
- 関連分野へのキャリア展開:就労支援で得た障害特性への理解や企業との調整経験などを活かし、障害者雇用に取り組む企業の担当者や、就労支援に関わる機関などへキャリアの幅を広げることも考えられます。
「ずっと同じ仕事のまま」は、キャリアを積み上げる意識と職場環境次第で変えられます。
誤解6:「就労支援員に向いている人なんて、特別な人だけ」
実際は:向いている特徴は意外と「普通の経験」の積み重ねにある
最後の誤解は「向いている人=特別な使命感がある人」というイメージです。もちろん福祉への思いは大切ですが、現場で長続きしている人の特徴を見ると、もう少し具体的な要素が見えてきます。
| 向いている傾向 | 向いていない傾向 |
|---|---|
| 「すぐに答えを出さず待てる」忍耐力がある | 短期間で目に見える成果を求めたい |
| 人の話を聴くことが苦にならない | 自分のペースで黙々と作業したい |
| 「正解は一つじゃない」と思える柔軟さがある | マニュアル通りにすべてを進めたい |
| チームで動くことに慣れている、または慣れる意欲がある | 一人で完結したい・報連相が苦手 |
| 自分自身の経験(苦労・失敗含む)を仕事に活かしたいと思っている | 感情的に完全フラットでいることが難しく、切り替えが苦手 |
「向いている傾向」をすべて持っている必要はありません。また、「向いていない傾向」に当てはまっても、職場環境や仕事の仕方を工夫することで乗り越えられる場合もあります。あくまで傾向の目安として参考にしてください。
誤解が生まれる理由
「就労支援員はやめとけ」という声がネット上に広がりやすい背景には、いくつかの構造的な理由があります。
- 辞めた人のほうが声を上げやすい:仕事が合わなくて辞めた人は「やめとけ」と書き込みやすいですが、長く続けている人は日々の仕事に集中していてあまり発信しません。ネット上の声はどうしても「やめた人の声」に偏ります。
- 事業所間の格差が大きい:法人の理念・規模・運営方針によって働く環境が大きく異なります。ある事業所での経験がすべての事業所に当てはまるわけではありません。
- 福祉職全体へのイメージが混在している:介護職・保育職・障害福祉職は「大変・給料が低い」というイメージでひとまとめにされることが多く、就労支援員固有の話と区別されにくいのが現状です。
- やりがいを言語化しにくい:「利用者が就職できた瞬間の喜び」は数値化・言語化しにくく、外から見えにくいため、「割に合わない」印象が先行しがちです。
つまり「やめとけ」という情報は嘘ではないが、全体の一部を切り取った声である可能性が高いのです。
現場からのひとこと
就労支援の現場で実際に感じることは、「就労支援員はやめとけ」という言葉を自分自身に向けて使ってしまうスタッフが、入職して半年〜1年の間に増えやすい、ということです。理由のほとんどは「利用者の状況が思うように進まない」ことへの自己嫌悪や焦りです。でも少し立ち止まって考えてみると、就職するかどうか・どんなペースで進むかは、最終的にその人本人が決めることです。支援員の仕事は「その選択肢を広げる」ことであって、「代わりに結果を出す」ことではありません。
この仕事の本当のきつさは「感情労働の量」よりも、「自分の役割の境界線を引くことの難しさ」にある、というのが正直な感覚です。逆に言えば、この境界線をうまく引けるようになると、長く・楽しく続けられる仕事になります。入職したばかりの方には、ぜひ早いうちに「自分が担えること・担えないこと」を先輩スタッフに相談しながら言語化してほしいと思います。
まとめ
「就労支援員はやめとけ」という言葉は、完全な嘘でも、完全な真実でもありません。この記事でお伝えした6つの誤解を振り返ってみましょう。
- 給料は低めだが「生活できない」は誇張されている場合が多い
- 燃え尽きは「抱え込みすぎ」に原因があることが多く、防げる
- ノルマの厳しさは事業所によって大きく異なる
- 資格がなくても就労支援員になれるケースがある
- サビ管・管理者・民間転用など、キャリアパスは複数ある
- 向いている人の特徴は「特別な使命感」ではなく、具体的な行動傾向にある
就労支援員はやめとけと感じるかどうかは、どんな事業所で・どんなチームで・どんな働き方ができるかに大きく左右されます。求人を探す際には、給与だけでなく「スーパービジョンの仕組みがあるか」「チームで支援する文化か」「定着支援まで手厚く関われるか」を確認することをおすすめします。
就労支援員としての仕事内容や、就労移行支援・就労継続支援A型の仕組みについてもっと詳しく知りたい方は、関連記事もあわせてご覧ください。
「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。
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この記事の監修者
監修:雨宮久美子
サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」
就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。


