「A型事業所やめとけ」と言われる理由|運営者が正面から答えます

「A型事業所やめとけ」と言われる理由|運営者が正面から答えます 就労支援のリアル

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「A型事業所 やめとけ」と検索したあなたは、おそらくこんな不安を抱えているのではないでしょうか。「利用を考えているけど、ネットの評判が怖い」「知人に止められたけど、本当にそうなの?」「実際に通っていて、このままでいいのか悩んでいる」。そうした正直な疑問に、就労継続支援A型事業所を運営する立場から、包み隠さずお答えします。この記事では、ネガティブな評判が生まれた背景・本当のデメリット・見極め方まで、現場の視点でまとめています。

結論・要点まとめ

「A型事業所 やめとけ」という声には、残念ながら一定の根拠があります。一方で、すべてのA型事業所が同じわけではなく、事業所を正しく見極めれば、就労への大切なステップになりえます。以下の3点がこの記事の核心です。

  • 過去の制度的問題から「ひどい」評判が広まった経緯がある
  • デメリットは実在するが、事業所選びで多くはカバーできる
  • 「潰れる・閉鎖」リスクは見極めポイントを知っていれば事前に察知しやすい

「A型事業所 やめとけ」と言われるようになった背景

なぜA型事業所 やめとけと言われる?

A型事業所への批判が強まった理由のひとつは、利用者が働いて得た売上だけでは給料を払えず、国から支給される福祉サービスのお金を使って給料を補っていた事業所があったことです。

A型事業所では、利用者と雇用契約を結ぶため、利用者には最低賃金以上の「給料」を支払う必要があります。しかし、一部の事業所では仕事による売上が少なく、国から受け取る給付金に頼って給料を支払っていました。

こうした運営は、本来の「働くことで収入を得る」という制度の目的から外れていると問題になりました。そのため、2017年ごろから国がルールを厳しくし、事業所の閉鎖や利用者の解雇も相次いだことで、A型事業所への批判が広がりました。

A型事業所への批判が強まった背景には、利用者の仕事によって得た売上だけでは賃金を支払えず、国から支給される障害福祉サービスの給付費に頼って運営する事業所が存在したことがあります。

A型事業所では、利用者と雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。しかし、一部の事業所では十分な仕事や売上を確保できず、生産活動による収益だけでは利用者の賃金を賄えない状態が問題になっていました。

この問題を受け、厚生労働省は2017年4月に運営基準を見直し、生産活動による収入から必要経費を差し引いた金額が、利用者に支払う賃金の総額以上になることを求めました。基準を満たしていない事業所には、経営改善計画の提出が求められています(厚生労働省「就労継続支援A型事業所の経営改善計画書の提出状況等を公表します」)。

さらに、2018年度の報酬改定では、利用者の1日当たりの平均労働時間に応じて、事業所が受け取る基本報酬が変わる仕組みが導入されました。こうした制度の見直しや行政指導が進む中で、経営を続けられずに閉鎖した事業所や、利用者の解雇が発生した事例もありました。

その結果、「A型事業所は潰れやすい」「A型事業所はひどい」といった否定的な印象が広がったと考えられます。

ただし、すべてのA型事業所に問題があるわけではありません。問題になったのは、十分な仕事や売上を確保できず、給付費に大きく依存していた一部の事業所です。また、経営がうまくいかなかった事業所のすべてが、不正や悪意のある運営をしていたとは限りません。

つまり、「A型事業所はやめとけ」という声には、過去に起きた一部の事業所の問題や閉鎖、解雇のニュースが、業界全体のイメージとして残っている面があります。現在は制度の見直しが進められていますが、当時の情報や否定的な評価がインターネット上に残り続けているのが現状です。

A型事業所の「本当のデメリット」を正直に解説します

運営者として、A型事業所に存在するデメリットは正直に伝える責任があると考えています。以下に主なものをまとめます。

本当のデメリット4つ

① 賃金は最低賃金水準が中心で、生活費には足りないことが多い

A型事業所では、原則として利用者と事業所が雇用契約を結びます。そのため、一般の会社で働く場合と同じように、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が適用されます(厚生労働省「障害者福祉施設における就労支援の概要」)。

ただし、最低賃金が適用されても、勤務時間が一般的なフルタイム勤務より短ければ、月収は低くなります。厚生労働省の実態調査では、A型事業所における1日の平均労働時間は「4時間以上5時間未満」が48.9%と最も多く、「5時間以上8時間未満」が37.8%でした(厚生労働省「就労系障害福祉サービスに関する実態調査」)。

そのため、最低賃金以上の時給が支払われていても、勤務日数や勤務時間によっては、賃金だけで生活費のすべてを賄うことが難しい場合があります。実際の収入は事業所の勤務時間や地域の最低賃金によって異なるため、利用前に勤務時間、月の勤務日数、想定月収を確認することが大切です。

② 一般就労への移行率は就労移行支援より低い傾向にある

就労継続支援A型は、現時点では一般企業で働くことが難しい人に、雇用契約に基づく働く場と支援を提供する制度です。一般企業への就職を主な目的とする就労移行支援とは、制度の役割が異なります。

厚生労働省の公表資料によると、2024年にサービスの利用を終了した人のうち、一般就労に移行した人の割合は、就労移行支援が60.2%、就労継続支援A型が29.2%でした(厚生労働省「一般就労への移行者数・移行率の推移」)。

この数字だけを見ると、A型事業所は就労移行支援よりも一般就労につながりにくいといえます。ただし、これはA型事業所の支援の質が低いという意味ではありません。A型事業所には、まずは安定して働くことや、体調に合わせて仕事を継続することを目的としている利用者も多いためです。

将来的に一般企業への就職を目指している場合は、A型事業所を最終的なゴールと決めるのではなく、「働く生活に慣れる」「体調を安定させる」「仕事の経験を積む」といった次の就職に向けた通過点として活用する考え方も必要です。利用前には、一般就労への支援実績や、就職活動をどこまで手伝ってもらえるかを事業所に確認しましょう。

③ 事業所の質・作業内容・支援の手厚さに大きな差がある

A型事業所の数は全国に多数あり、提供する作業・支援の質には大きなばらつきがあります。軽作業の単純繰り返しのみで支援がほぼない事業所がある一方、スキルアップや就労移行を見据えた丁寧な支援を行う事業所もあります。「A型事業所 やめとけ」という検索をしているなら、この差を見極める目を持つことがとても重要です。

④ 「潰れる」リスクがゼロではない

2018年の報酬改定以降も、経営状況が厳しい事業所は存在します。事業所が閉鎖すると、利用者は突然、別の事業所を探し直さなければなりません。これは精神的にも大きな負担です。「A型 潰れる」という検索が多い背景には、こうした実体験をした方の声があります。

それでもA型事業所を選ぶ意味・メリットとは

デメリットを正直に伝えた上で、A型事業所が持つ本来の価値もお伝えします。

  • 雇用契約があるため、労働基準法が適用される:有給休暇の取得、社会保険への加入など、一般就労に近い就労環境が整います。
  • 就労リズムを作りやすい:いきなりフルタイム就労が難しい場合、短時間から働くリズムを整える場として機能します。
  • 支援員によるサポートが受けられる:職場適応の悩みや体調管理について、支援員に相談しながら働ける環境は、一般就労との大きな違いです。
  • B型より収入が得やすい:就労継続支援B型は雇用契約がなく工賃が低くなりがちですが、A型は最低賃金が保障されます。

「A型事業所 やめとけ」という声に惑わされず、自分の状況・目標と照らし合わせて判断することが大切です。

「良い事業所」と「避けるべき事業所」の見極め方

「A型事業所 やめとけ」と感じさせる事業所には、共通するサインがあります。見学・体験前に以下のポイントを確認してください。

確認しておきたいポイント一覧

確認しておきたいポイント

確認項目 良い事業所のサイン 注意が必要なサイン
収益構造 生産活動で収益を得ていると説明できる 収益源を聞いても曖昧な回答
支援計画 個別支援計画を丁寧に説明してくれる 「とにかく来てください」だけ
一般就労への方針 移行を希望する利用者への実績・支援がある 「ずっとうちにいて」という雰囲気
見学・体験の対応 見学を歓迎し、作業内容を丁寧に説明 見学を渋る、急かして契約を迫る
スタッフの様子 利用者への声かけが自然で丁寧 スタッフと利用者の関係が硬直的

見学時には「生産活動による収益と、給付費の割合はどのくらいですか?」と率直に聞いてみることをおすすめします。健全な運営をしている事業所であれば、きちんと答えられるはずです。

現場からのひとこと

支援現場でよく感じるのは、「A型事業所 やめとけ」という情報を見て来られた方ほど、最初から疑いの目で事業所を見てくださるので、むしろ良い利用者になってくださることが多い、ということです。過去の業界の問題を知った上で「それでも使えるか?」と判断しようとしている姿勢は、とても健全だと思います。

一方で、「どこでもいいから早く決めたい」という焦りから、見学もせずに利用を始めてしまうケースが一番リスクが高いです。焦る気持ちはよくわかりますが、就労支援機関・ハローワークの担当者・相談支援専門員など、第三者の目を借りながら複数の事業所を比較することを、私たちは強くお勧めしています。

よくある質問

Q1. A型事業所は「やめとけ」と言われるほどひどいのですか?

A. すべてのA型事業所がひどいわけではありません。過去には、利用者の仕事による売上を十分に確保できず、国から支払われる障害福祉サービスの給付費に大きく頼って賃金を支払うなど、不適切な運営を行う事業所が問題になりました。

こうした問題を受けて、厚生労働省は2017年の運営基準改正や2018年度の報酬改定など、制度の見直しを段階的に進めてきました。さらに、2021年度からは、利用者の労働時間や生産活動の状況、支援内容などを点数化し、その評価に応じて事業所が受け取る基本報酬を決める「スコア方式」が導入されています。2024年度にも、生産活動収支や平均労働時間の評価方法が見直されました(厚生労働省「就労継続支援A型の状況について」厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」)。

ただし、制度が見直された現在でも、仕事内容、勤務時間、支援体制、職員との相性、一般就労へのサポートなどは事業所によって異なります。そのため、「A型事業所だからひどい」と判断するのではなく、それぞれの事業所を個別に確認することが重要です。

利用を検討する際は、複数の事業所を見学・体験し、仕事内容や勤務時間、想定される月収、職員の対応、体調が悪いときのサポート体制などを比較して、自分に合った事業所を選びましょう。

Q2. A型事業所が突然「潰れた」場合、どうすればいいですか?

A. まずは、担当の相談支援専門員や、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談してください。今後利用できる別のA型事業所やB型事業所、就労移行支援などを一緒に検討し、必要なサービス変更の手続きをサポートしてもらえます。

事業所側にも、サービスの提供を終了する際、利用者や家族に必要な援助を行い、他の福祉サービスの提供者などとの連携に努めることが求められています(厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等の指導監査について」)。

また、A型事業所では原則として雇用契約を結んでいるため、事業所の閉鎖によって退職する場合は、離職票や雇用保険の手続きも確認しましょう。雇用保険に加入しており、一定の条件を満たしている場合は、ハローワークで失業給付を受けられる可能性があります。事業所の廃止に伴う離職は、雇用保険上の「特定受給資格者」に該当する場合があります(ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」)。

給料が支払われていない、離職票を受け取れない、突然解雇を告げられたといった問題がある場合は、ハローワークや労働基準監督署にも相談してください。

突然の閉鎖に直面すると、何から始めればよいか分からなくなることがあります。まず相談支援専門員や市区町村の窓口に連絡し、福祉サービスの手続きと雇用関係の手続きを分けて確認することが大切です。一人で抱え込まず、できるだけ早めに相談しましょう。

Q3. A型とB型、どちらを選べばいいですか?

A. 一概にどちらが良いとはいえません。現在の体調や働ける時間、これまでの就労経験、将来の目標などによって、適したサービスは異なります。

基本的な違いは、A型事業所では原則として事業所と雇用契約を結び、労働者として働くのに対し、B型事業所では雇用契約を結ばず、自分の体調や能力に合わせて作業に取り組む点です。

A型では、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が適用され、原則として地域別最低賃金以上の賃金が支払われます。一方、B型で作業の対価として支払われるお金は「工賃」と呼ばれ、金額は事業所の生産活動や作業内容などによって異なります(厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」厚生労働省「就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」)。

一定の勤務時間を守りながら、雇用契約のもとで働きたい場合はA型が選択肢になります。一方、まずは短い時間から始めたい、体調に合わせて無理なく通いたいという場合は、B型が合うことがあります。

ただし、同じA型・B型でも、仕事内容や勤務時間、支援内容、事業所の雰囲気は大きく異なります。主治医や相談支援専門員、市区町村の障害福祉担当窓口などに相談し、できれば複数の事業所を見学・体験したうえで、自分に合う働き方を選びましょう。

Q4. A型事業所から一般就労に移ることはできますか?

A. できます。A型事業所の中には、一般就労を目指す利用者への就職活動サポートを行っているところもあります。利用開始時に「将来的に一般就労を目指したい」と伝え、その意向を個別支援計画に盛り込んでもらうことが第一歩です。

Q5. 「A型事業所 やめとけ」という情報を家族に言われたのですが、どう説明すればいいですか?

A. ご家族の心配はもっともです。「過去の問題は知っている。だから複数の事業所を見学して、こういう点を確認してから選ぶつもり」と伝えると、具体的な行動を示せるので安心してもらいやすくなります。一緒に見学に行くのも一つの方法です。

まとめ|次にやること

「A型事業所 やめとけ」という声は、過去の制度的な問題や一部の事業所への正当な批判から生まれたものです。しかしそれは、すべてのA型事業所に当てはまるわけではありません。

大切なのは、ネット上の評判に一喜一憂するのではなく、自分の目と質問で事業所を見極めることです。次のステップとして、以下を試してみてください。

  • 気になる事業所に見学・体験を申し込む(複数がおすすめ)
  • 見学時に「収益構造」「個別支援計画の内容」「一般就労への方針」を確認する
  • 相談支援専門員やハローワークの障害者専門窓口に第三者の意見をもらう
  • 主治医に「A型事業所の利用について」相談してみる

あなたに合った場所は必ず存在します。焦らず、比べながら選んでください。このメディア「はたらくとびら」では、就労支援に関する情報を継続的に発信しています。他の記事も参考にしながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。

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監修者

この記事の監修者

監修:雨宮久美子

サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」

就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。

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