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「A型事業所 給料 平均っていくらなんだろう」「最低賃金は保障されると聞いたけど、手取りはどのくらい?」——そんな疑問を持って検索したあなたへ。給料の実態は、支援機関のパンフレットやWebサイトだけではなかなか見えてきません。この記事では、就労継続支援A型事業所を実際に運営している立場から、月収の目安・手取りの計算例・働く時間との関係まで、できるだけ具体的にお伝えします。
結論・要点まとめ
まず先に答えをまとめます。
- A型事業所では雇用契約を結ぶため、原則として事業所所在地の都道府県における最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。ただし、都道府県労働局長から最低賃金の減額特例許可を受けた場合は、許可された金額が適用されることがあります。
- 厚生労働省の令和6年度実績によると、A型事業所の全国平均賃金月額は91,451円です。これは全国平均であり、実際の月収は勤務時間、勤務日数、地域の最低賃金、仕事内容などによって異なります。
- 手取り額は、雇用保険料・社会保険料・税金などの控除対象になる場合、総支給額より少なくなります。収入を増やすには、体調や雇用契約の内容を踏まえ、勤務時間・勤務日数や賃金について事業所と相談する必要があります。
出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」、厚生労働省「最低賃金法第7条の減額の特例許可事務マニュアル」
そもそも就労継続支援A型とは?給料の仕組みをおさらい
就労継続支援A型(以下「A型」)は、一般企業で働くことが難しいものの、雇用契約に基づいて働くことが可能な障害のある方に、就労の機会や必要な支援を提供する障害福祉サービスです。利用者はA型事業所と雇用契約を結んで働きます。
雇用契約を結ばないB型とは異なり、A型の利用者には労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が原則として適用されます。そのため、事業所は原則として、所在地の都道府県における最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。ただし、都道府県労働局長から最低賃金の減額特例許可を受けた場合は、許可された最低賃金額が適用されることがあります。
利用者は、雇用契約に基づく労働者として賃金を受け取りながら、就労に必要な知識・能力の向上や一般就労への移行に向けた支援も受けられます。賃金の計算方法は時給制が一般的ですが、実際の賃金形態、勤務時間、勤務日数などは事業所との雇用契約や労働条件通知書によって異なります。
出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」、奈良労働局「最低賃金の減額の特例許可申請について」
A型とB型の給料の違い
| 項目 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|
| 雇用契約 | あり | なし |
| 最低賃金の適用 | 原則として適用 | 適用されない |
| 受け取るお金の名称 | 賃金(給料) | 工賃 |
| 全国平均月額 (令和6年度) |
91,451円 | 24,141円 |
※A型には最低賃金法が原則として適用されます。ただし、都道府県労働局長から最低賃金の減額特例許可を受けた場合は、許可された金額が適用されることがあります。B型は雇用契約を結ばないため、最低賃金法は適用されません。
※上記は全国平均であり、実際の賃金・工賃は勤務時間、利用日数、地域、仕事内容、事業所などによって異なります。
A型事業所 給料の平均はいくら?地域・時間別のリアル

A型事業所の給料平均を考えるうえで、特に重要なのが勤務時間です。厚生労働省の調査では、A型利用者の1日当たりの平均労働時間が「4時間以上4時間30分未満」の事業所は51.4%で、「4時間以上6時間未満」に全体の85%弱が集中していました。
ただし、A型について「1日4〜8時間・週5日まで」という全国一律の利用上限が定められているわけではありません。実際の勤務時間や勤務日数は、事業所の求人・就業規則、本人の体調や障害特性、必要な配慮、雇用契約などによって異なります。月収を比較するときは、月額だけでなく、時給、1日の勤務時間、週の勤務日数も併せて確認することが大切です。
出典:厚生労働省「就労系障害福祉サービスの利用者の支援ニーズ等の実態把握等に関する調査研究」
月収の計算例(時給・時間別)
東京都の最低賃金である時給1,226円(2025年10月3日発効)を用いて、月20日勤務した場合の総支給額を計算すると、以下のようになります。
| 1日の勤務時間 | 計算式 | 月収目安(総支給額) |
|---|---|---|
| 3時間 | 1,226円×3時間×20日 | 73,560円 |
| 4時間 | 1,226円×4時間×20日 | 98,080円 |
| 6時間 | 1,226円×6時間×20日 | 147,120円 |
地域別最低賃金は都道府県によって異なるため、同じ時間働いても勤務地によって月収が変わります。勤務時間や勤務日数の違いとともに、地域ごとの最低賃金の差も、A型事業所の平均賃金に地域差が生じる理由の一つです。
※上記は最低賃金で月20日勤務したと仮定した、税金・社会保険料などを控除する前の単純計算です。実際の賃金は、勤務日数、休暇、各種手当、雇用契約などによって異なります。また、最低賃金の減額特例許可を受けている場合は、許可された金額が適用されることがあります。
出典:東京労働局「東京都最低賃金を1,226円に引上げます」、厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
全国平均のデータはどう読む?
厚生労働省の調査によると、令和6年度におけるA型事業所の全国平均賃金月額は91,451円です。調査上の「賃金」には、名称を問わず、事業者が利用者に支払った賃金・給与・手当・賞与などが含まれます。
この金額は、勤務時間、勤務日数、時給、地域などが異なる利用者の賃金実績を集計した全国平均です。そのため、「A型を利用すれば毎月91,451円受け取れる」という意味ではありません。実際の月収は、基本的に時給や勤務時間、勤務日数などによって変わるため、自分が希望する働き方を求人票や雇用条件と照らし合わせて計算することが大切です。
また、全国平均だけでなく、事業所が提示する時給、1日の勤務時間、週の勤務日数、各種手当、休暇の取り扱いなども確認しましょう。
出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」、厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」
手取りはいくら?控除される項目をチェック

「給料の総支給額=手取り額」ではありません。ただし、A型で雇用契約を結んでいても、以下のすべてが必ず控除されるわけではなく、保険の加入要件や本人の所得状況によって異なります。
-
雇用保険料:
雇用保険の加入対象者については、2026年度の一般の事業における労働者負担率は賃金の5/1,000(0.5%)です。 -
所得税:
月収、扶養親族の人数、扶養控除等申告書の提出状況などによっては、源泉徴収される場合があります。 -
住民税:
原則として前年の所得を基に計算されるため、前年の所得や自治体の基準によって課税・控除の有無が異なります。 -
健康保険料・厚生年金保険料:
フルタイム労働者の所定労働時間・日数の4分の3以上働く場合は、原則として加入対象です。4分の3未満でも、2026年7月時点では、週の所定労働時間が20時間以上、所定内賃金が月額8万8,000円以上、2か月を超えて雇用される見込みがある、学生ではない、勤務先の厚生年金被保険者数が51人以上などの要件を満たす場合に加入対象となります。任意特定適用事業所などでは、51人未満でも対象になることがあります。
たとえば、月収9万円で2026年度の一般の事業における雇用保険料だけが控除されると仮定した場合、単純計算では雇用保険料は約450円です。健康保険・厚生年金に加入する場合は、さらに保険料が控除されるため、手取り額は大きく変わります。
なお、短時間労働者に対する社会保険の「月額8万8,000円以上」という賃金要件は、2026年10月に撤廃予定です。加入の可否や実際の控除額については、事業所の担当者へ確認しましょう。
出典:厚生労働省「令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内」、厚生労働省「社会保険加入の要件」
障害年金・生活保護との関係
A型で働いて賃金を受け取ったことだけを理由に、障害基礎年金や障害厚生年金が直ちに支給停止になるわけではありません。障害年金は、原則として収入額そのものではなく、障害の状態が認定基準に該当するかどうかによって支給されます。
ただし、20歳前の傷病による障害基礎年金には、受給者本人の前年所得に応じて、年金の半額または全額が支給停止となる所得制限があります。また、更新時には障害の状態が改めて審査されます。特に精神障害・知的障害・発達障害では、働いている事実だけで判断されるのではなく、仕事内容、勤務状況、職場で受けている援助や配慮、意思疎通の状況などを含めて総合的に判断されます。
生活保護を受給している場合は、A型で得た賃金を福祉事務所へ申告する必要があります。申告した賃金の全額がそのまま保護費から差し引かれるとは限らず、社会保険料や通勤費などの必要経費、収入額に応じた勤労控除などを差し引いたうえで、収入認定額と保護費が決定されます。障害年金も原則として収入申告の対象です。
具体的な取り扱いは受給している年金の種類、初診日、障害等級、所得、世帯状況などによって異なります。障害年金については年金事務所、生活保護については担当ケースワーカーまたは福祉事務所へ確認してください。障害状態や診断書については主治医へ相談しましょう。
出典:日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」、日本年金機構「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」、厚生労働省「生活保護受給者向け 家計改善支援事業について」
A型で給料を上げるには?働く時間と仕事内容がカギ

A型事業所 給料 平均を超えて収入を増やしたい場合、現実的なアプローチは大きく2つです。
①通所日数・時間を少しずつ増やす
体調が安定してきたら、支援員と相談しながら週の勤務日数や1日の勤務時間を段階的に伸ばしていく方法があります。焦る必要はなく、小さな一歩の積み重ねが収入増につながります。
②仕事内容・スキルアップを事業所に相談する
事業所によっては、PCスキルや専門的な作業ができる利用者に対して、時給が最低賃金を上回る設定をしているところもあります。「今の仕事に慣れたら次のステップを踏みたい」という希望は、担当支援員に積極的に伝えましょう。
③一般就労への移行も選択肢に
A型はゴールではなく、就労のステップのひとつです。収入をさらに上げたい・キャリアを積みたいという場合は、就労移行支援の活用や障害者雇用枠での一般就労も視野に入れて、支援員と長期的な計画を立ててみましょう。
現場からのひとこと
支援の現場でよく受ける相談のひとつが、「A型に入る前に給料の話を具体的に教えてもらえなかった」というものです。見学・体験時に月収のシミュレーションをあまり詳しく説明されないケースもあり、入ってから「思っていたより少ない」と感じる方もいます。利用開始前には「自分が週何日・何時間働いたとき、手取りでいくらになるか」を事業所に遠慮なく聞いてみてください。
また、A型の給料はあくまで「働いた分の賃金」です。障害年金や各種手当と合わせてトータルの生活設計を考えることが大切です。事業所の支援員や相談支援専門員と一緒に、家計全体を見渡したうえでの利用計画を立てることをおすすめしています。
よくある質問
Q1. A型事業所の給料は最低賃金より低いことはありますか?
A1. 原則としてありません。就労継続支援A型では事業所と利用者が雇用契約を結ぶため、最低賃金法が適用され、原則として事業所所在地の都道府県における最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。
ただし、精神または身体の障害により労働能力が著しく低い場合などに、事業主が都道府県労働局長から最低賃金の減額特例許可を受けているときは、その労働者について許可された金額が最低賃金となります。単にA型の利用者であることだけを理由に、事業所が独自の判断で最低賃金を下回ることはできません。
賃金が最低賃金を下回っていると思われる場合は、まず事業所に減額特例許可の有無や賃金の計算方法を確認してください。解決しない場合は、最低賃金については事業所を管轄する労働基準監督署、A型事業所の運営については指定権者である都道府県・指定都市・中核市などの障害福祉担当窓口へ相談できます。
出典:厚生労働省「最低賃金法第7条の減額の特例許可事務マニュアル」、奈良労働局「最低賃金の減額の特例許可申請について」
Q2. 給料日はいつですか?毎月もらえますか?
A2. 給料日は事業所によって異なり、当月または翌月の決められた日に支払われます。労働基準法第24条により、賃金は原則として毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことが義務づけられています。したがって、「毎月末」「毎月25日」のように、あらかじめ特定できる支払日が設定されます。
銀行振込の場合は、労働者の同意を得たうえで、本人が指定する本人名義の口座へ、支払日に全額を引き出せる状態で振り込むことが必要です。利用開始前に、労働条件通知書や雇用契約書で、賃金の締切日、支払日、振込方法を確認しましょう。
※賞与や臨時に支払われる賃金などについては、毎月1回以上・一定期日払いの原則の例外があります。
出典:厚生労働省「賃金の支払方法に関する法律上の定めについて」、厚生労働省「確かめよう労働条件―賃金の額や支払方法」
Q3. A型で働きながら障害年金はもらえますか?
A3. 障害年金の受給可否は年金の種類・等級・収入状況など複数の要件によって判断されます。A型で働いているからといって自動的に停止されるわけではありませんが、個別の状況によって異なるため、年金事務所や社会保険労務士に確認することをおすすめします。
Q4. A型とB型、どちらが自分に合うか迷っています。
A4. 簡単に言うと、「雇用契約を結んで一定のルールのなかで働くことができる」場合はA型、「体調が不安定で出勤日数の保証が難しい」場合はB型が向いていると言われることが多いです。ただし、向き不向きは個人差があります。相談支援専門員や就労支援機関と一緒に、あなたの状況に合った選択をしていきましょう。
Q5. A型事業所の給料は交通費も出ますか?
A5. A型事業所から通勤手当が支給されるかどうかは、事業所の就業規則や雇用契約によって異なります。交通費の全額が支給される場合、一部のみ支給される場合、支給されない場合があり、通勤手当の支給は全国一律に義務づけられているものではありません。
また、一部の自治体では、就労継続支援A型などの障害福祉サービス事業所へ通う方を対象に、通所交通費の一部を助成する制度を設けています。ただし、対象となるサービス、障害者手帳の要件、通所日数、距離、助成額などは自治体ごとに異なり、A型利用者が対象外となる自治体もあります。
なお、事業所から支給される通勤手当は、最低賃金額との比較に用いる賃金には算入されません。利用開始前に、求人票や労働条件通知書で通勤手当の有無と上限額を確認し、自治体の助成については市区町村の障害福祉担当窓口へお問い合わせください。
出典:厚生労働省「通勤手当について」、浦安市「障がい者通所施設交通費助成」、新潟市「訓練・就労系事業所等通所交通費助成」
まとめ|次にやること
A型事業所の給料について、重要なポイントを振り返ります。
- A型では最低賃金法が原則として適用され、事業所所在地の最低賃金以上の賃金が支払われます。ただし、都道府県労働局長による最低賃金の減額特例許可を受けている場合は例外があります。
- 厚生労働省の調査によると、令和6年度のA型事業所における全国平均賃金月額は91,451円です。実際の月収は、時給、勤務時間、勤務日数、地域、各種手当などによって異なります。
- 雇用保険、健康保険・厚生年金、所得税、住民税などは、加入要件や所得状況に該当する場合に控除されます。特に社会保険へ加入する場合は、総支給額と手取り額に一定の差が生じます。
- A型で働いたことだけを理由に障害年金が直ちに停止されるわけではありません。ただし、20歳前傷病による障害基礎年金には所得制限があります。生活保護を受給している場合は、賃金などの収入申告が必要です。
- 勤務時間や勤務日数を増やせば収入が増える可能性がありますが、本人の判断だけで変更できるとは限りません。体調や必要な配慮を踏まえ、事業所と相談して雇用契約や勤務条件を見直す必要があります。
「自分の場合、実際にいくらもらえるのか」を確認するには、気になる事業所の見学や面接で、時給、1日の勤務時間、週の勤務日数、通勤手当、各種保険の加入条件などを具体的に聞きましょう。その条件から、まず月収の総支給額を計算することが大切です。
なお、税金や社会保険料は本人の状況によって異なるため、事業所が正確な手取り額を事前に確約できない場合があります。「週○日・1日○時間働いた場合の総支給額」と「どの保険・税金が控除対象になるか」を確認すると、より現実的な見通しを立てられます。
出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」、厚生労働省「最低賃金法第7条の減額の特例許可事務マニュアル」
「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。
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この記事の監修者
監修:雨宮久美子
サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」
就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。

