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「就労継続支援のA型とB型、何が違うの?」「自分はどちらに向いているんだろう?」——そう疑問に思って検索してきた方も多いのではないでしょうか。似た名前なのに給料や対象者の条件がまったく異なるため、初めて調べるときに混乱しやすい制度のひとつです。この記事では、A型・B型の違いを給料・対象者・1日の流れの3つの軸でわかりやすく整理します。多機能型事業所を運営する立場から、制度のしくみと選び方のポイントをお伝えします。
結論・要点まとめ
まず3行で答えを出します。
- A型は雇用契約あり・最低賃金以上の給与が支払われる就労の場。B型は雇用契約なし・工賃制で、働く時間や体調に合わせやすい。
- 対象者の条件が異なるため、就労経験・体力・障害の状況によって向き・不向きがある。
- どちらが「上」「下」ではなく、今の自分の状態に合った場を選ぶことが大切。
そもそも就労継続支援とは?制度の全体像
就労継続支援は、通常の事業所に雇用されることが困難な障害のある人に対して、就労や生産活動の機会を提供するとともに、働くために必要な知識・能力の向上を支援する障害福祉サービスです。障害者総合支援法に基づく就労系障害福祉サービスであり、「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」の2種類があります。(出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」)
両者の大きな違いは、事業所との雇用契約の有無です。A型は、一般企業に雇用されることは困難でも、支援を受けながら雇用契約に基づいて働くことが可能な人を対象とします。B型は、一般企業への雇用に加え、雇用契約に基づいて働くことも困難な人を対象とし、雇用契約を結ばずに就労や生産活動の機会を提供します。(出典:厚生労働省「障害福祉サービスについて」)
A型では雇用契約に基づく「賃金」が支払われ、原則として労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が適用されます。一方、B型では雇用契約を結ばないため、作業の成果などに応じた「工賃」が支払われます。この違いにより、収入の扱いや労働法の適用、利用対象者などが異なります。

A型・B型の違い①:給料と工賃
お金の面でのA型・B型の違いは、検索する方がもっとも気にするポイントです。
A型:最低賃金が保障される「給与」
A型では、利用者と事業所が雇用契約を結びます。そのため、A型利用者は労働基準法上の労働者に当たり、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が適用されます。(出典:厚生労働省「就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項」)
したがって、原則として事業所が所在する地域の最低賃金以上の賃金が支払われます。ただし、障害によって労働能力が著しく低い場合などに、都道府県労働局長の許可を受けて最低賃金を減額する特例が適用されることがあります。
勤務時間は事業所や利用者の状態によって異なります。厚生労働省が行った就労系障害福祉サービスの実態調査では、A型事業所における利用者の1日平均労働時間は「4時間以上5時間未満」が48.9%と最も多く、次いで「5時間以上8時間未満」が37.8%でした。(出典:厚生労働省「就労系障害福祉サービスに関する実態調査」)
厚生労働省の集計によると、2024年度(令和6年度)のA型事業所における平均月額賃金は91,451円です。ただし、これは全国平均であり、地域別最低賃金、業種、勤務日数、労働時間などによって実際の月額賃金は異なります。(出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」)
B型:体調に合わせやすい「工賃」
B型では、利用者と事業所との間で雇用契約を結びません。そのため、作業や生産活動によって得られた収入から必要経費を差し引いた金額などを原資として、「工賃」が支払われます。
B型利用者は原則として労働基準法上の労働者には該当しないため、労働基準法や最低賃金法は適用されません。(出典:厚生労働省「就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項」)
厚生労働省の集計によると、2024年度(令和6年度)のB型事業所における平均月額工賃は24,141円です。ただし、これは全国平均であり、作業内容、利用日数・時間、地域、事業所の工賃規程などによって実際の金額は異なります。(出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」)
B型では、利用者の状態や希望を踏まえて個別支援計画が作成され、事業所によっては短時間や少ない日数から利用できる場合があります。ただし、利用時間や欠席時の対応は事業所ごとに異なるため、「必ず自由に休める」とは限りません。見学や利用相談の際に、通所日数や体調不良時の対応を確認しましょう。
障害年金を受給しながらB型を利用できる場合もあります。ただし、年金の種類や受給要件、所得状況によって取扱いが異なる場合があるため、市区町村の障害福祉担当窓口や年金事務所に確認してください。
| 項目 | A型 | B型 |
|---|---|---|
| 雇用契約 | あり | なし |
| 支払いの名称 | 賃金(給与) | 工賃 |
| 最低賃金 |
原則として適用 (都道府県労働局長の許可による減額特例あり) |
適用されない |
| 全国平均月額 |
91,451円 (2024年度) |
24,141円 (2024年度) |
※金額は全国平均であり、地域、作業内容、利用日数・時間などによって異なります。また、B型の平均工賃月額は2023年度から算定方法が変更されているため、それ以前の数値との単純比較には注意が必要です。
A型・B型の違い②:対象者と利用条件
次に、A型・B型の違いで重要な「誰が使えるか」という点を整理します。
A型の対象者
A型の基本的な対象者は、一般企業などへの就職が困難であるものの、支援を受けながら雇用契約に基づいて継続的に働くことが可能な障害のある人です。具体例として、厚生労働省は次の人を挙げています。
- 就労移行支援を利用したものの、企業などへの雇用に結びつかなかった人
- 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったものの、企業などへの雇用に結びつかなかった人
- 企業などで働いた経験があり、離職して現在は雇用関係がない人
A型は原則として65歳未満の人を対象とします。ただし、65歳になる前の5年間に引き続き障害福祉サービスの支給決定を受け、65歳になる前日にA型の支給決定を受けていた人などは、65歳以降も対象になる場合があります。
出典:厚生労働省「障害福祉サービスについて―就労継続支援A型」
実際の利用に当たっては、市区町村による障害福祉サービスの支給決定と、A型事業所による採用選考があります。安定して通所できる日数や時間、作業への適性などは、法律上の一律の条件ではありませんが、事業所との適合性を判断する要素になります。見学や体験利用を通じて、仕事内容、勤務時間、必要な配慮が自分の状態に合うか確認しましょう。
B型の対象者
B型の基本的な対象者は、一般企業への就職や雇用契約に基づく就労が困難であり、就労・生産活動を通じて知識や能力の向上・維持が期待される障害のある人です。厚生労働省は、具体例として次の人を挙げています。
- 就労経験があり、年齢や体力などの理由から一般企業への雇用が困難になった人
- 50歳以上の人、または障害基礎年金1級を受給している人
- 上記に該当しない場合で、就労移行支援事業所などによるアセスメントを通じて、就労上の課題が把握されている利用希望者
- 就労移行支援などを利用したものの、一般企業への雇用に結びつかなかった人
B型には一律の上限年齢はありません。一方、厚生労働省の対象者要件には「原則18歳以上」という年齢下限は明記されていません。実際に利用できるかどうかは、本人の状況やアセスメント結果などを踏まえて市区町村が判断します。
出典:厚生労働省「障害福祉サービスについて―就労継続支援B型」
B型では、雇用契約を結ばず、本人の状態や目標に応じた個別支援計画に基づいて利用します。そのため、働くことに慣れる、生活リズムを整える、作業能力を維持・向上させるといった目的で利用されることもあります。ただし、利用日数や時間、体調不良時の対応は事業所によって異なり、必ず自由に休めるとは限りません。見学や相談の際に確認しましょう。
A型・B型の違い③:1日の流れと作業内容

実際に通ったとき「どんな1日を過ごすのか」も、事業所選びの重要なポイントです。A型・B型の違いは1日の構造にも表れています。
A型の1日の流れ(例)
- 9:00 出勤・朝のミーティング
- 9:15 作業開始(PC入力、清掃、カフェ接客、農作業など)
- 12:00 休憩・昼食
- 13:00 午後の作業
- 14:00〜15:00頃 退勤(短時間勤務の場合)
A型は「職場」に近い雰囲気で、決められた時間内に作業をこなすことが基本です。事業所によっては接客・製造・データ入力・クリエイティブ制作など多様な仕事があります。
B型の1日の流れ(例)
- 10:00 到着・スタッフと体調確認
- 10:15 作業開始(内職・手工芸・農作業・パン製造など)
- 12:00 昼食・休憩(任意参加のレクリエーションも)
- 13:00 午後の作業または個別プログラム
- 14:00〜15:00頃 退所
B型は「体調に合わせてペースを調整できる」ことを大切にしている事業所が多いです。急な休みにも対応しやすく、スタッフとのコミュニケーションを取りながら自分のリズムをつかんでいける環境です。
現場からのひとこと
多機能型事業所で支援をしていると、「A型とB型の違いを調べて、最初からA型を目指さなければいけないと思っていた」という方に出会うことがあります。でも実際には、B型でゆっくりと働く感覚を取り戻してからA型へ移行したり、B型で長く安定して働くことを選んだり——どちらのルートも、その方の生活を豊かにする選択です。
事業所を見学する際は、「何の作業をしているか」だけでなく「スタッフがどんなふうに利用者に関わっているか」「体調不良のときにどう対応してくれるか」を具体的に聞いてみてください。A型・B型の違いを理解した上で、自分に合った事業所かどうかを見極めることが、長く続けるための一番の近道です。
よくある質問
Q1. A型からB型、またはB型からA型に移ることはできますか?
はい、可能です。体調の変化やライフステージに合わせて、A型からB型へ移ったり、B型で生活リズムを整えてからA型に移行したりするケースは珍しくありません。サービスの変更には市区町村への申請が必要です。担当の相談支援専門員や事業所のスタッフに相談してみましょう。
Q2. 利用するには障害者手帳が必要ですか?
障害者手帳がなくても、就労継続支援などの障害福祉サービスを利用できる場合があります。精神障害のある人については、障害者手帳の所持は必須の利用要件ではありません。市区町村が、自立支援医療受給者証(精神通院医療)や医師の診断書・意見書などによって障害の状態を確認し、サービスの必要性を認めた場合は、障害福祉サービス受給者証の交付を受けられます。
ただし、必要な確認書類や手続は、障害の種類や自治体によって異なります。また、書類を提出すれば必ず利用できるわけではなく、本人の状況やサービス利用計画などを踏まえて市区町村が支給決定を行います。詳しくは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口または相談支援事業所に確認してください。
出典:国立精神・神経医療研究センター「障害者手帳・障害年金」、厚生労働省「障害福祉サービスについて」
Q3. 利用中に交通費や昼食代はかかりますか?
事業所によって異なります。通所交通費の補助や送迎を利用できる事業所もありますが、自己負担となる場合もあります。昼食代も、無料・一部補助・実費負担など事業所によって異なるため、見学時に金額や補助制度を確認しましょう。
障害福祉サービスの利用者負担は原則としてサービス費用の1割ですが、所得に応じた月額上限が設定されており、生活保護世帯と市町村民税非課税世帯の負担上限月額は0円です。なお、昼食代や交通費などの実費は、原則1割のサービス利用料とは別にかかることがあります。
Q4. 就労継続支援と就労移行支援はどう違いますか?
就労移行支援は、一般企業などへの就職が見込まれる障害のある方を対象に、職業訓練、職場実習、求職活動、就職後の定着などを支援するサービスです。標準利用期間は2年間で、必要性が認められた場合には最大1年間更新できることがあります。
一方、就労継続支援(A型・B型)は、一般企業で働くことが現時点では難しい方に、働く機会や生産活動の場、就労に必要な訓練などを提供するサービスです。A型は事業所と雇用契約を結び、B型は雇用契約を結ばずに利用します。原則として利用期間の制限はありません。ただし、利用中に一般就労に必要な能力が高まった場合は、一般企業への就職に向けた支援も行われます。
出典: 厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」、厚生労働省「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス」
Q5. 障害の種類に関係なく利用できますか?
就労継続支援は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、障害者総合支援法の対象となる難病等のある方が利用対象になり得ます。ただし、障害や疾病に該当すれば必ず利用できるわけではなく、本人の就労状況や支援の必要性などを踏まえて、市区町村が支給決定を行います。
また、事業所によって設備、作業内容、職員の専門性や受入体制が異なるため、自分の障害特性や必要な配慮に対応できるか、見学・体験時に確認することが大切です。詳しい利用要件は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援事業所へお問い合わせください。
出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」、厚生労働省「障害者総合支援法の対象となる難病が追加されます」
まとめ|次にやること
今回の記事で解説したA型・B型の違いをまとめます。
- A型:雇用契約あり・最低賃金以上の給与・就労に近い環境
- B型:雇用契約なし・工賃制・体調に合わせて柔軟に参加できる環境
- どちらが良い・悪いではなく、今の自分の状態と目標に合った選択をすることが大切
次に取り組んでほしいことを3ステップでお伝えします。
- 気になる事業所を2〜3か所リストアップする:インターネット検索やハローワーク、相談支援事業所を活用しましょう。
- 見学・体験を申し込む:実際の作業環境や雰囲気を自分の目で確かめることが何より大切です。
- 支援者や主治医と話す:主治医や相談支援専門員と一緒に、自分の状態に合ったサービスを検討しましょう。

「自分はA型とB型、どちらが向いているのかわからない」という場合は、まず相談支援事業所や就労移行支援事業所に相談するところから始めるのもひとつの方法です。あなたの状況に合った働き方を、一緒に探していきましょう。
「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。
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この記事の監修者
監修:雨宮久美子
サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」
就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。


