障害者雇用と一般雇用の違いは?給料・仕事内容・待遇を現場目線で解説

障害者雇用と一般雇用の違いは?給料・仕事内容・待遇を現場目線で解説 障害者雇用の基礎知識

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「障害者雇用と一般雇用の違いって、結局なにが変わるの?」――そう思いながら、この記事を開いてくれたのではないでしょうか。給料が下がるのか、仕事内容はどう変わるのか、周囲にどう見られるのか。選択肢を前に、さまざまな不安や疑問を抱えるのはごく自然なことです。この記事では、障害者雇用と一般雇用の違いを給料・仕事内容・待遇・働き方のあらゆる角度から、就労支援の現場目線でわかりやすく解説します。どちらが「正解」かを押しつけるのではなく、あなた自身が納得して選ぶための情報をまとめました。

結論・要点まとめ

細かい説明の前に、まず結論を3点お伝えします。

  • 障害者雇用とは、障害者雇用促進法に基づき企業が障害のある人を「障害者枠」として採用する雇用形態です。一般雇用との最大の違いは「合理的配慮が制度として保障される点」にあります。
  • 給与水準は一般雇用より低い傾向にありますが、雇用の安定性や働きやすさとのバランスを総合的に考えることが大切です。
  • どちらが向いているかは障害の特性・体調の波・キャリアの希望によって異なります。一度決めたら変えられないわけではなく、ライフステージに合わせて見直すことができます。

そもそも「障害者雇用(障害者枠)」とはなにか

障害者雇用と一般雇用の違いを理解するには、まず「障害者枠」の仕組みを知っておく必要があります。

障害者雇用促進法と法定雇用率

障害者雇用促進法では、一定規模以上の企業に対して、従業員数に対する一定割合の障害者を雇用することを義務づけています。この割合を「法定雇用率」といい、2024年4月時点で民間企業の法定雇用率は2.5%となっています(政府広報オンライン)。

障害者枠で応募・採用されるためには、原則として身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれかを取得していることが条件となります(出典: 厚生労働省)。手帳を取得していない場合は、たとえ障害や疾患があっても障害者枠での応募はできません。

「オープン就労」と「クローズ就労」という考え方

障害者雇用と一般雇用の違いを語るとき、よく出てくるのが「オープン就労」「クローズ就労」という言葉です。

  • オープン就労:障害を会社に開示して働く(障害者枠・一般枠どちらもあり得る)
  • クローズ就労:障害を開示せずに一般枠で働く

「障害者雇用=オープン」「一般雇用=クローズ」と混同されがちですが、実際には一般枠でもオープンで働いている人はいます。ただし、障害者枠は定義上、手帳を開示して応募する形になります。

給料・待遇の違いを正直に比べる

障害者雇用と一般雇用の違いを調べている人が最も気になるのが、給与・待遇の差ではないでしょうか。ここは数値を交えてできるだけ丁寧に説明します。

平均賃金の差

厚生労働省の調査によると、障害者の平均月収は障害種別によって異なり、身体障害者が約21万円、知的障害者が約12万円、精神障害者が約12万円、発達障害者が約13万円(2021年度調査)とされています(厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査の結果」)。一般雇用の平均と比較すると低い水準にある傾向があります。

ただし、この数値は雇用形態(正規・非正規)や職種・業種・勤務時間が混在した平均値です。正社員の障害者枠であれば一般雇用の正社員と近い待遇の企業も増えており、一概に「障害者枠は給与が低い」とは言い切れません。

賞与・昇給・福利厚生はどうなる?

賞与・昇給・福利厚生については、基本的に同じ会社の同じ雇用形態(正社員・契約社員など)であれば、障害者枠だからといって差をつけることは労働関係法令上、原則認められていません。ただし実態として、障害者枠の求人は契約社員・パートタイムでの募集が多く、正社員登用の機会が限られるケースもあります。求人票を確認する際は「雇用形態」「正社員登用の有無」を必ずチェックしましょう。

合理的配慮は「給与の代わり」ではない

「給与が低い分、配慮してもらえる」という受け取り方をされることがありますが、これは正確ではありません。2016年の障害者差別解消法施行以降、合理的配慮の提供は事業者の義務(民間企業は2024年4月から義務化)となっています(内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」)。合理的配慮は権利として認められているものです。

仕事内容・働き方はどう変わるか

障害者雇用と一般雇用の違いのなかで、日常の働き方に直結するのが仕事内容と労働条件です。

担当業務の傾向

障害者枠の求人は、事務補助・データ入力・軽作業・清掃など、業務範囲を絞り込んだポジションが多い傾向にあります。これは「配慮しやすいよう業務を設計している」という面もある一方、「スキルアップやキャリア形成がしにくい」と感じる人もいます。

一方、IT・専門職・クリエイティブ職など高度なスキルを活かす障害者枠の求人も近年は増えています。特性に合う環境で専門性を発揮したい場合は、業種・職種を絞って探すことが大切です。

勤務時間・休憩・在宅勤務などの調整

障害者枠の大きな特徴のひとつが、勤務時間や休憩、在宅勤務などを個別に調整しやすいことです。体調の波がある場合、短時間勤務からスタートして段階的に時間を延ばす「ステップアップ雇用」を設けている企業もあります。こうした柔軟な働き方は、一般雇用の求人では交渉しにくいケースが多く、障害者雇用ならではのメリットといえます。

職場への定着支援

障害者枠で採用された場合、就労支援機関(就労移行支援・ジョブコーチなど)が職場に入って定着をサポートする制度を利用できるケースがあります。ジョブコーチ支援(職場適応援助者制度)は厚生労働省が実施する公的な支援制度です(厚生労働省「職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について」)。こうした専門的なサポートを使える点も、一般雇用との大きな違いです。

障害者雇用のメリット・デメリットを整理する

障害者雇用と一般雇用の違いをフラットに判断するために、メリットとデメリットを表にまとめます。

障害者雇用と一般雇用の主な比較
比較項目 障害者雇用(障害者枠) 一般雇用
合理的配慮 制度として明示的に受けやすい 交渉次第。保障は限定的
給与水準 やや低い傾向(職種・企業による) 職種・スキルで幅広い
業務範囲 絞り込まれた業務が多い 幅広い・裁量が大きい
定着支援 就労支援機関・ジョブコーチを活用可 原則なし
キャリア形成 職種によっては限定されやすい 昇進・異動の機会が多い
障害の開示 必要(手帳提示が原則) 任意(クローズも選べる)

この表はあくまで一般的な傾向です。企業・職種・個人の状況によって大きく異なります。

現場からのひとこと

(※以下は支援スタッフによる監修・加筆を前提とした下書きです)

就労支援の現場で相談を受けていると、「障害者枠を選んだら負けな気がする」「一般枠で頑張らないといけない」という言葉に出会うことがあります。でも実際には、障害者雇用と一般雇用の違いは優劣ではなく「どちらの環境が自分の力を発揮しやすいか」という問いです。体調が安定しないうちに無理をして離職を繰り返すより、障害者枠で土台を作ってからキャリアを広げた方が、結果として長く・自分らしく働き続けられたという方をたくさん見てきました。

また、「一度障害者枠にしたらずっとそのまま」ではありません。状況が変われば雇用形態を見直すことができますし、企業内で一般社員と同等の業務を担うようになるケースも珍しくありません。大切なのは今の自分にとって何が必要かを知ること。そのために、ぜひ就労支援の専門家や支援員に気軽に相談してみてください。

よくある質問

Q1. 障害者手帳がないと障害者枠には応募できませんか?

原則として、障害者枠の求人に応募するには身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれかが必要です。手帳の取得については主治医や支援機関に相談してみましょう。手帳なしで働く場合は一般雇用(クローズ就労またはオープン就労)という選択肢になります。

Q2. 障害者雇用と一般雇用の違いは、転職後に変えることはできますか?

はい、可能です。今の職場を退職して次の転職先を一般雇用で探すこともできますし、同じ会社内で一般雇用に転換できる制度を設けている企業もあります。一方で、一般雇用から障害者枠に変更したい場合も、手帳を取得した上で転職活動をするという流れが一般的です。どちらに変えるにしても、まず支援機関や主治医に相談することをおすすめします。

Q3. 障害者枠は「簡単な仕事しかできない人向け」ですか?

そうではありません。エンジニア・デザイナー・事務職・営業など多様な職種で障害者枠の求人があり、専門スキルを活かして活躍している人は多くいます。「業務を調整しやすい環境で力を発揮する」という仕組みであり、スキルや意欲の問題ではありません。

Q4. 障害者雇用は給与が低いと聞きますが、正社員でも差がありますか?

正社員同士を比べると、同じ企業・同じ職種であれば障害者枠だからといって給与に差をつけることは認められていません。ただし、障害者枠の求人自体に契約社員・パートタイムが多く、結果として平均が下がっている面があります。正社員の障害者枠求人を軸に探すと、待遇面での差を縮めやすくなります。

Q5. 一般雇用でオープン就労(障害を開示して働く)はできますか?

できます。一般枠で応募・採用された後に、職場の理解を得るために障害を開示して配慮を求めることは可能です。ただし、一般枠での配慮は企業との個別交渉になるため、障害者枠のように制度として明示されているわけではありません。開示のタイミングや方法については支援員や就労移行支援スタッフと一緒に考えると安心です。

まとめ|次にやること

障害者雇用と一般雇用の違いを、給料・仕事内容・待遇・働き方の面から見てきました。改めてポイントを整理します。

  • 障害者雇用は手帳を持つ人が対象。合理的配慮が制度として受けやすいのが最大のメリット。
  • 給与は一般雇用より低い傾向にあるが、雇用形態・職種・企業によって大きく異なる。
  • 仕事内容は業務範囲が絞られやすいが、専門職・ITなど多様な選択肢も増えている。
  • どちらが正解かは人によって異なる。体調・特性・キャリア観を軸に考えることが大切。
  • 一度決めても変えられる。ライフステージに合わせて見直すことができる。

次のステップとして、以下を試してみてください。

  • 今の自分の体調の波や、どんな配慮があれば働きやすいかを書き出してみる。
  • 手帳の取得や就労に関して、主治医・支援機関・ハローワーク障害者専門窓口に相談してみる。
  • 実際の障害者枠・一般枠の求人を比較して、条件・職種・通勤距離などを具体的にイメージする。

あなたが「自分らしく長く働ける場所」を見つけるための第一歩に、この記事が少しでも役立てば幸いです。

「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。

はたらく森(A型・就労移行)の見学無料で相談できます。


監修者

この記事の監修者

【監修者氏名】【保有資格 サービス管理責任者:雨宮久美子】

就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。

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