障害年金を受給しながら働ける?収入制限・打ち切りのボーダーラインを現場が解説

障害年金を受給しながら働ける?収入制限・打ち切りのボーダーラインを現場が解説 障害者雇用の基礎知識

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「障害年金を受給しながら働いたら、年金が止まってしまうのでは?」——そんな不安から、就労への一歩を踏み出せずにいるあなたは少なくありません。障害年金 働きながらというキーワードで検索する方の多くは、「収入がいくらまでなら大丈夫か」「就労継続支援に通っても受給できるのか」といった、生活に直結する疑問を抱えています。この記事では、制度の基本的な仕組みから、就労支援の現場でよく聞かれる疑問まで、わかりやすく整理します。

結論・要点まとめ

まず結論をお伝えします。

  • 障害年金は、原則として働きながら受給することができます。一律の「収入制限額」はありません。
  • ただし、就労状況は「障害の状態」の判断材料になるため、定期的な更新審査(更新診断書)に影響する場合があります。
  • 就労継続支援A型・B型や就労移行支援を利用しながら受給しているケースも多く、支援サービスの利用自体が直接の打ち切り理由にはなりません。

障害年金を働きながら受給できる?基本の仕組み

障害年金を働きながら受給できる?

障害年金には、障害の程度に応じて1級・2級がある障害基礎年金と、1級・2級・3級がある障害厚生年金があります。
出典:日本年金機構

重要なのは、障害年金の受給可否は「障害の状態が該当等級にあるかどうか」によって判断されるという点です。収入額だけを基準に機械的に打ち切られる制度ではありません。

つまり、障害年金を受給しながら働くこと自体は制度上認められています。実際に、フルタイムで就労しながら受給を継続している方も存在します。ただし、「就労できている=障害の状態が改善した」と審査で判断される可能性はゼロではないため、更新時に注意が必要です。

「収入制限」は原則ない——ただし例外も

障害年金には、給与などの収入が一定額を超えたことだけを理由に受給が停止される「収入の上限額」は、原則として設けられていません。そのため、働きながら障害年金を受給することも可能です。
出典:日本年金機構

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 障害基礎年金の受給者が配偶者の扶養に入っている場合など、他の社会保険制度との兼ね合いで手続きが必要になることがあります。
  • 20歳前傷病による障害基礎年金の場合は、所得による支給停止の仕組みがあります。前年の所得が一定額を超えると、半額または全額が停止されます。
    出典:日本年金機構
    これは通常の障害年金とは異なる扱いです。

自分の年金が「20歳前傷病」に該当するかどうかは、年金証書や日本年金機構への問い合わせで確認できます。

「働いたら打ち切られる」は本当?更新審査のしくみ

更新審査のポイント

障害年金を受給しながら働くことへの不安の多くは、「更新で打ち切られるのでは」という心配から来ています。ここを正確に理解しておくことがとても大切です。

更新(再認定)とはなにか

障害年金は、永久認定の場合を除き、障害の状態に応じて1〜5年に1回、「障害状態確認届(診断書)」を提出し、引き続き障害年金を受ける権利があるか確認を受ける場合があります。
出典:日本年金機構

この更新審査では、「現在も受給要件を満たす障害の状態にあるか」が審査されます。審査では診断書の内容が中心になりますが、就労状況(週何時間働いているか、職場でどんな配慮を受けているか)も参考情報として考慮されます。

就労が「不利」に働くケースと、そうでないケース

就労しているという事実だけで年金が止まるわけではありません。重要なのは、就労の「質」と「状況」です。

  • 職場で多くの配慮・援助を受けながら働いている場合:障害の状態が継続していると判断されやすい
  • 体調の波があり、勤務時間が限られている場合:主治医が診断書にその旨を記載することが重要
  • 一般就労でフルタイム勤務が安定している場合:等級が変更・停止になるリスクが相対的に高まる可能性がある

大切なのは、主治医が実態に即した診断書を書いてくれるよう、日頃から生活状況や困りごとを正確に伝えておくことです。「働けているから問題ない」と伝えるだけでは、困難な状況が診断書に反映されない場合があります。

就労継続支援・就労移行支援を利用しながら受給できる?

就労継続支援・就労移行支援を利用しながら受給できる?

就労支援サービスを使いながら障害年金を受給しながら働くことは、多くのケースで可能です。

就労継続支援A型・B型の場合

就労継続支援A型は事業所と雇用契約を結んで働く形態、B型は雇用契約を結ばず、生産活動などに応じて工賃を受け取る形態です。A型・B型を利用しながら障害年金を受給することは可能であり、就労継続支援を利用していることだけを理由に障害年金が停止されるわけではありません。ただし、障害年金の受給継続や等級は、障害の状態などによって個別に判断されます。特に精神障害や知的障害などでは、仕事内容や勤務状況、職場で受けている援助・配慮なども含めて総合的に判断されます。厚生労働省の令和6年度(2024年度)の調査では、就労継続支援B型の平均工賃月額は全国平均24,141円、就労継続支援A型の平均賃金月額は91,451円となっています。

出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」

就労移行支援の場合

就労移行支援は、一般就労を目指して就労に必要な知識・能力を身につけるための訓練や、職場体験、求職活動の支援などを受ける障害福祉サービスです。就労継続支援A型のように事業所と雇用契約を結んで働くサービスではないため、原則として給与・賃金が支払われる仕組みではありません。ただし、生産活動を行った場合には工賃が支払われることがあります。障害年金を受給しながら就労移行支援を利用することも可能です。障害年金の受給要件を満たしている方にとっては、一般就労を目指して準備を進める間の生活を支える収入の一つとなる場合があります。

出典:厚生労働省

支援サービスの利用が直接の打ち切り理由にはならない

「就労移行支援に通ったら就労可能と判断されて年金が止まる」という誤解もありますが、支援サービスを利用しているという事実そのものが、直ちに障害年金の支給停止理由になるわけではありません。繰り返しになりますが、判断の基準はあくまで「障害の状態」です。

現場からのひとこと

就労支援の現場では、「障害年金を受給しながら働く」ことへの不安から、就労継続支援への参加をためらう方に出会うことが少なくありません。実際には、サービスを利用しながら年金を受け取り、段階的に就労時間を増やしていくプロセスを踏む方が多くいらっしゃいます。大切なのは、主治医・社会保険労務士・支援スタッフの三者が連携して状況を把握すること。特に更新診断書の時期が近づいたら、早めに主治医に相談するよう利用者の方にお伝えしています。

また、障害年金の手続きや審査については社会保険労務士(社労士)に相談することをお勧めしています。障害年金に詳しい社労士を探す際は、「特定社会保険労務士」や「障害年金の申請代行実績がある」と明示している事務所を探すとよいでしょう。

よくある質問

Q1. 障害年金を受給しながら働くと、税金や保険料はどうなりますか?

障害年金は非課税所得のため、障害年金そのものは所得税や住民税の課税対象にはなりません。一方、働いて受け取る給与は給与所得として課税対象となり、所得額などに応じて所得税や住民税がかかる場合があります。また、勤務時間や雇用期間、勤務先の規模など、社会保険の加入要件を満たした場合は、健康保険・厚生年金保険への加入が必要になります。社会保険の適用要件は段階的に見直されているため、最新の条件については勤務先や年金事務所などに確認してください。

出典:日本年金機構

Q2. 就職して収入が増えたら、自分で日本年金機構に報告する必要がありますか?

通常の障害年金(20歳前傷病以外)には収入額の報告義務はありません。ただし、住所変更や氏名変更などの届け出は必要です。20歳前傷病の場合は毎年の所得状況届が必要になります。自分のケースがどちらに該当するかは、年金証書や日本年金機構への問い合わせで確認できます。

Q3. 障害年金の更新前に、何か準備しておくことはありますか?

更新(再認定)の前には、主治医に対して日常生活での困りごとや就労上の制限・配慮事項をできるだけ具体的に伝えておくことが重要です。「働いているから問題ない」という印象だけが伝わると、実態が診断書に反映されない場合があります。支援員や相談支援専門員などに同席・助言を依頼することも選択肢の一つです。

Q4. 就労継続支援B型に通っていますが、障害年金の申請はできますか?

はい、就労継続支援B型を利用していても、障害年金を申請することはできます。B型を利用していること自体を理由に、障害年金を申請できなくなるわけではありません。障害年金では、障害の原因となった病気やけがの初診日、保険料の納付状況、障害認定日などにおける障害の状態といった要件を満たしているかが確認されます。なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件はありません。また、障害認定日に障害等級に該当しなかった場合でも、その後状態が重くなった場合には「事後重症」による請求ができることがあります。申請を検討している場合は、年金事務所や市区町村の年金窓口、必要に応じて社会保険労務士に相談するとよいでしょう。

出典:日本年金機構

Q5. 「永久認定」とはどういう状態ですか?

障害の状態が将来にわたって固定していると認められる場合、「永久認定(永久固定)」となり、原則として障害状態確認届(診断書)による定期的な再認定が不要となる場合があります。一方、障害の状態が永久固定と認められない場合は、障害の状態に応じて1~5年の更新期間が設定され、障害状態確認届(診断書)の提出が必要になります。次回の診断書提出時期は、初回の更新であれば年金証書の「次回診断書提出年月」欄、2回目以降は日本年金機構から届く「次回の診断書の提出について(お知らせ)」などで確認できます。不明な場合は、年金事務所やねんきんダイヤルに確認してください。

出典:厚生労働省

まとめ|次にやること

障害年金を受給しながら働くことは、制度上認められており、就労継続支援や就労移行支援を利用しながら受給しているケースも多くあります。「働いたら打ち切られる」という不安は理解できますが、実態は「障害の状態が等級に該当しているかどうか」が判断の軸です。

ただし、更新審査では就労状況が参考にされることもあるため、主治医との連携が欠かせません。また、20歳前傷病の場合は所得による停止ルールが別途存在します。

次に取り組んでほしいことをまとめます。

  • ✅ 自分の年金が「20歳前傷病」かどうかを年金証書で確認する
  • ✅ 主治医に日常生活・就労上の困りごとを定期的に伝える習慣をつける
  • ✅ 不明点は年金事務所または障害年金に詳しい社会保険労務士に相談する
  • ✅ 就労支援サービスの利用を検討している場合は、まず支援機関に気軽に相談してみる

生活の不安を抱えたまま一人で悩まず、支援者や専門家を頼ることが、安心して働き続けるための第一歩です。

「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。

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監修者

この記事の監修者

監修:雨宮久美子

サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」

就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。

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