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「統合失調症でも働ける仕事はあるの?」「どんな職種なら自分に合っているんだろう?」——そう悩みながらこのページを開いてくれたあなたへ。症状が安定してきて「そろそろ働きたい」と思い始めたとき、最初にぶつかる壁が仕事の選び方です。
統合失調症のある方が働ける仕事を探すとき、大切なのは「何ができるか」だけでなく「どんな環境なら力を発揮しやすいか」を知ること。この記事では、就労支援の現場経験をもとに、向いている職種の特徴・職場環境の選び方・仕事探しの具体的なステップをわかりやすく解説します。
結論・要点まとめ
まず3点だけ押さえてください。
- 統合失調症があっても、環境と仕事内容を合わせることで長く働き続けている人はたくさんいます。
- 向いている職種・職場には共通する「特徴」があり、それを知ることが仕事選びの第一歩です。
- 一人で抱え込まず、就労支援機関を活用することが、安定就労への近道です。
統合失調症がある人が仕事を選ぶときに知っておきたいこと
統合失調症は、症状の出やすさや生活リズムへの影響が人によって大きく異なります。そのため、「この仕事なら絶対に大丈夫」という正解は一つではありません。ただ、就労支援の現場で多くの方と関わってきた経験から言えるのは、仕事の「内容」と「環境」の両方を整えることが、統合失調症のある方が働ける仕事を見つける上でとても重要だということです。
症状や体調は日によって変わることがあります。そこを前提に、「調子の波に対応しやすい働き方かどうか」を軸に仕事を選ぶ視点を持っておくと、就職後のミスマッチを減らすことができます。なお、症状の管理については主治医や医療機関と連携しながら進めることが大切です。
仕事選びの3つの基本軸

- ①ペースを自分でコントロールしやすいか:厳しいノルマや突発的な業務が少ない仕事は、体調の波に対応しやすいです。
- ②人間関係がシンプルか:関わる人数が少ない、または役割分担が明確な職場は、対人ストレスを減らしやすいです。
- ③休みやすい・相談できる環境があるか:体調が優れないときに休める柔軟性があるか、困ったときに話せる上司や担当者がいるかどうかも重要な選択基準です。
統合失調症の人が働ける仕事として現場でよく挙がる職種

以下は、就労支援の現場で統合失調症のある方が「続けやすい」と報告されることが多い職種の例です。これはあくまで傾向であり、向き不向きは個人差があります。自分の得意なこと・好きなことと照らし合わせながら参考にしてください。
ルーティンワークが中心の仕事
毎日の業務内容が決まっていて、変化が少ない仕事は、体調管理がしやすく安心して取り組みやすい傾向があります。
- データ入力・文書整理などの事務補助
- 清掃・施設管理補助
- 軽作業(仕分け・封入・ラベル貼りなど)
- 図書館や資料室でのバックヤード業務
マイペースで取り組めるクリエイティブ系・技術系の仕事
集中力や丁寧さを活かせる仕事も、統合失調症のある方が働ける仕事として挙げられます。特に在宅や少人数環境で取り組めるものは、ストレス要因を減らしやすいです。
- Webデータ入力・テープ起こし
- イラスト・デザインの補助業務
- プログラミング・Webサイトの更新作業
- ハンドメイド・手工芸(福祉的就労を含む)
福祉・支援系の職場での就労
就労継続支援A型・B型事業所や、障害者雇用枠での採用は、支援体制が整っていることが多く、体調に合わせた働き方の相談がしやすい環境です。一般就労が難しい段階でも、「働く」という経験を積める場として活用されています。
職場環境の選び方:統合失調症のある方が長く働くために見るべきポイント
統合失調症のある方が働ける仕事を見つけるとき、職種と同じくらい大切なのが職場環境です。同じ「データ入力」でも、職場の雰囲気や配慮の有無によって、続けやすさは大きく変わります。

チェックしたい職場環境の5つのポイント
| チェック項目 | 見るべき理由 |
|---|---|
| 障害者雇用の実績・配慮実績がある | 理解ある職場文化が根付いている可能性が高い |
| 業務の指示が明確・文書化されている | 口頭だけの指示は混乱しやすいため、書面や手順書があると安心 |
| 残業・突発対応が少ない | 生活リズムを崩しにくく、体調管理がしやすい |
| 産業医・相談窓口がある | 体調変化を早めに相談できる体制があるかどうかの確認 |
| 通勤負担が少ない(在宅・短時間勤務の選択肢) | 通勤ストレスは体調に影響するため、柔軟な働き方は大きな強み |
「オープン就労」と「クローズ就労」の選択
就職の際には、障害があることを職場に伝えて働く「オープン就労」と、障害を伝えずに働く「クローズ就労」という選択肢があります。オープン就労では、障害者雇用枠を利用する方法のほか、障害を開示して一般求人に応募する方法もあります。障害の特性や必要な配慮を職場と共有することで、合理的配慮について相談しやすくなる点がメリットの一つです。障害者雇用促進法では、一定規模以上の事業主に法定雇用率以上の障害者を雇用することが義務付けられています。民間企業の法定雇用率は2024年4月に2.5%へ引き上げられ、2026年7月1日からは2.7%となっています。2026年7月以降、原則として常用雇用労働者37.5人以上の民間企業が障害者雇用義務の対象です。障害者雇用を取り巻く環境は拡大しており、ハローワークにおけるA型事業所以外の一般企業の障害者向け求人数も、近年増加している期間がみられます。
どちらを選ぶかは一人で決める必要はありません。就労支援機関の支援員と一緒に、自分の状況に合った選択を考えることができます。
出典:厚生労働省
「合理的配慮」を活用する
雇用の分野では、障害者雇用促進法により、2016年4月から事業主に障害のある方への合理的配慮の提供が義務付けられています。合理的配慮とは、障害のある方が募集・採用や職場で能力を発揮するうえで支障となっている事情について、本人と事業主が話し合い、過重な負担とならない範囲で必要な対応を行うものです。
出典:厚生労働省
たとえば:
- 業務手順をマニュアル化してもらう
- 休憩時間の調整・短時間勤務からのスタート
- 体調不良時の早退・休暇取得のしやすい環境
- 静かな席・パーティションなど作業環境の調整
遠慮せずに相談・申請することが、長く働き続けるための大切な権利です。
仕事探しのステップ:一人で抱え込まないために
統合失調症のある方が働ける仕事を見つけるには、適切なサポートを活用することが重要です。以下のステップを参考に、焦らず一歩ずつ進めてみてください。
- Step 1:主治医に就労意向を伝える——体調が安定しているか、働き始める時期として適切かを確認します。
- Step 2:就労支援機関に相談する——就労移行支援事業所・障害者就業・生活支援センター・ハローワーク(専門援助部門)などに相談できます。
- Step 3:自分の「得意」「苦手」「希望」を整理する——支援員と一緒に、強みと配慮が必要なことを言語化していきます。
- Step 4:実習・トライアル雇用で体験する——障害者トライアル雇用では、ハローワークなどの紹介を通じて一定期間試行的に雇用され、実際に働きながら仕事への適性や業務遂行の可能性、職場との相性などを確認できます。期間は原則3か月ですが、精神障害者については原則6~12か月とすることができます。
出典:厚生労働省 - Step 5:就職後の定着支援を受ける——就職がゴールではありません。定期的な面談や相談を通じて、職場との関係を継続的に調整していきます。
現場からのひとこと
就労支援の現場でよく耳にするのが、「自分には働ける仕事なんてないと思っていた」という言葉です。でも実際には、環境を整えることで長期就労につながっているケースは少なくありません。大切なのは、最初から「正社員フルタイム」にこだわらず、週数時間・短時間勤務からスタートして、少しずつ働く時間を伸ばしていくステップアップの考え方です。
また、「職場に障害を伝えたら評価が下がるのでは」という不安も多く聞かれます。しかし、オープン就労で合理的配慮を受けながら働いている方の中には、「むしろ職場との信頼関係が築きやすくなった」と話す方もいます。どちらの選択が自分に合うか、一度支援員と一緒に考えてみてください。
よくある質問
Q1. 統合失調症があっても一般企業で働けますか?
働いている方はいます。ただし、いきなりフルタイムの一般就労を目指すのが難しい場合もあります。就労移行支援を経てステップアップする方法や、障害者雇用枠で短時間勤務から始める方法など、個人の状況に合った道筋を支援員と一緒に考えることが大切です。
Q2. 仕事中に体調が悪くなったらどうすればいいですか?
事前に「体調が悪くなったときの対応」を職場と共有しておくことが重要です。休憩室の使い方、上司への声のかけ方、早退の手順などをあらかじめ決めておくと、いざというときに慌てずに対応できます。就職前の段階で支援員と一緒に「緊急時の対応計画」を作成しておくのもおすすめです。
Q3. 就労継続支援A型・B型と就労移行支援は何が違いますか?
就労移行支援は、一般就労を目指すためのトレーニングや就職活動のサポートを行うサービスです。就労継続支援A型は雇用契約を結んで働く場(最低賃金の保障あり)、B型は雇用契約なしで自分のペースで働ける場です。どのサービスが合うかは、現在の体調や就労目標によって異なります。支援機関や相談支援専門員に相談してみましょう。
Q4. 障害者雇用枠で働く場合、給与は低くなりますか?
給与水準は、職種・企業・雇用形態・勤務時間などによって大きく異なります。障害者雇用枠で働く場合も、原則として最低賃金法が適用されます。就労継続支援A型で雇用契約を結んで働く利用者についても同様に、労働関係法令が適用されます。障害者雇用だから一律に給与が低くなるわけではなく、一般雇用と同等の給与水準を設定している求人もあります。基本給だけでなく、勤務時間、賞与、昇給、各種手当なども含めて求人ごとの条件を確認することが大切です。
出典:厚生労働省
Q5. 仕事を探し始めるタイミングはいつがよいですか?
主治医と相談しながら判断することが最も重要です。「症状が安定してきた」「規則正しい生活が送れるようになってきた」などのサインが出てきたら、まず就労支援機関に相談してみるのがよいでしょう。焦らず、自分のペースで準備を進めることが長期就労の土台になります。
まとめ|次にやること
統合失調症でも働ける仕事は、職種と環境の両方を自分に合わせて選ぶことで見つかります。この記事で紹介したポイントをおさらいします。
- ルーティンが明確で、ペースをコントロールしやすい仕事が取り組みやすい傾向がある
- 業務内容と同じくらい、職場の「理解・配慮・柔軟性」を確認することが大切
- 合理的配慮・障害者雇用枠・就労支援制度をフル活用することが安定就労への近道
- 一人で決めない——主治医・支援員・家族と連携しながら進める
まず「今日できる一歩」として、最寄りの就労支援機関(就労移行支援事業所・障害者就業・生活支援センター・ハローワーク専門援助窓口)に問い合わせてみることをおすすめします。あなたのペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。
「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。
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この記事の監修者
監修:雨宮久美子
サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」
就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。


