知的障害のある大人の仕事選び|向いている職種とA型・B型・一般就労の使い分け

知的障害のある大人の仕事選び|向いている職種とA型・B型・一般就労の使い分け 障害・特性別の働き方

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「知的障害のある大人が働くには、どんな仕事が向いているの?」「就労継続支援A型・B型と一般就労、どれを選べばいいの?」——そんな疑問を持ちながらこのページを開いてくれたあなた、あるいはそのご家族へ。この記事では、知的障害のある大人の仕事選びについて、向いている職種の特徴から、就労支援の種類と選び方まで、支援現場の視点をまじえてわかりやすく解説します。

結論・要点まとめ

最初に3つのポイントをお伝えします。

  • 知的障害のある大人の仕事選びは「特性に合った環境」を軸にすると選びやすくなります。
  • 就労継続支援A型・B型・就労移行支援・一般就労はそれぞれ目的が異なり、今の状態に合わせて組み合わせることができます。
  • 「一般就労が難しい」と感じても、段階的なステップを踏むことで可能性は広がります。焦らず一緒に考えましょう。

知的障害のある大人に向いている仕事の特徴

知的障害のある大人に向いている仕事の特徴

知的障害のある大人が仕事を長く続けるためには、「得意・不得意」と「職場環境」の両方を考えることが大切です。「この仕事が絶対に向いている」という正解はありませんが、続けやすいと言われる仕事にはいくつかの共通した特徴があります。

仕事の特徴①:手順が決まっていてルーティン化しやすい

毎日同じ流れで取り組める仕事は、手順を身体で覚えやすく、安心して働きやすい環境になりやすいです。「今日は何をすればいいかわからない」という不安が起きにくいのも大きなメリットです。

  • 清掃・施設管理のサポート
  • 食品・部品などの製造ライン作業
  • 農作業・園芸作業
  • クリーニング・洗濯物の仕分け
  • 封入・梱包・シール貼りなどの軽作業

仕事の特徴②:身体を使う・手先を使う仕事

言葉や文字だけのやり取りより、身体を動かしながら覚える仕事が合っている場合もあります。繰り返すことで精度が上がる仕事は、経験が自信につながりやすいという側面もあります。

  • 配膳・食器の片付け・皿洗いなどの飲食補助
  • 洗車・ガソリンスタンドのサポート
  • 工場内の検品・仕分け作業
  • 郵便・社内便の仕分けや配達補助

仕事の特徴③:サポートしてくれる人が近くにいる環境

どんな仕事でも、困ったときに相談できる人が職場にいることは非常に重要です。ジョブコーチ(職場適応援助者)の支援を受けながら働ける職場や、支援機関と連携している企業は、知的障害のある大人にとって働きやすい環境になりやすいです。

就労継続支援A型・B型・一般就労の違いと使い分け

A型、B型、就労移行、一般就労の違い

知的障害のある大人が利用できる働く場・支援の選択肢は複数あります。それぞれの特徴を知っておくことで、今の自分に合った選択がしやすくなります。

就労継続支援A型(雇用型)

就労継続支援A型は、事業所と雇用契約を結んで働く障害福祉サービスです。利用者は労働者として労働関係法令の適用を受け、原則として最低賃金以上の賃金を受け取りながら、実際に働く機会や就労に必要な支援を受けます。一般企業などで働くことが現時点では難しいものの、雇用契約に基づいて働きながら仕事の経験を積みたい方にとって、選択肢の一つとなります。事業所では、仕事を続けるために必要なスキルや生活リズムなどについて支援を受けられる場合があります。

出典:厚生労働省

就労継続支援B型(非雇用型)

就労継続支援B型は、事業所と雇用契約を結ばず、障害や体調などに応じて生産活動や作業に取り組む障害福祉サービスです。利用者には作業などに応じて「工賃」が支払われますが、雇用契約に基づく賃金ではないため、原則として最低賃金法は適用されません。利用日数や作業時間などは、本人の状態や希望、事業所の支援内容などを踏まえて調整されます。一般企業などでの就労が難しい方が、無理のない形で作業経験を積んだり、就労に必要な力を身につけたりするための選択肢の一つです。

出典:厚生労働省

就労移行支援

就労移行支援は、一般就労を目指す障害のある方に対して、就労に必要な知識・能力を高めるための訓練や求職活動の支援などを行う障害福祉サービスです。標準利用期間は2年間で、必要性が認められた場合には最大1年間の更新が可能です。知的障害のある方も対象となり得ます。事業所では、本人の状況に応じて、職場見学・職場実習・応募書類の作成・面接練習など、一般就労に向けた支援を受けることができます。

出典:厚生労働省

一般就労(障害者雇用枠・オープン就労)

一般企業に就職して働く形態です。障害を開示して「障害者雇用枠」で働く方法と、開示せずに働く方法(クローズド就労)があります。

2026年7月から、常用労働者37.5人以上の民間企業には、障害者雇用率制度により法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。民間企業の法定雇用率は2.7%です。また、法定雇用率は2024年4月に2.5%へ、2026年7月に2.7%へと段階的に引き上げられました。(出典:厚生労働省)「一般就労は難しい」と感じる場合も、ジョブコーチ支援や定着支援などを活用しながら働く方法があります。自分の体調や必要な配慮に合わせて、一歩ずつ就労の選択肢を検討していきましょう。

どれを選べばいい?判断の目安

就労形態の選び方の目安
今の状態 向いている選択肢
まず社会に出る一歩を踏み出したい 就労継続支援B型
雇用契約を結んで賃金をもらいながら練習したい 就労継続支援A型
一般就労を目指してスキルを身につけたい 就労移行支援
サポートを受けながら企業で働きたい 障害者雇用枠(一般就労)

これらは「どれが正解」というものではなく、ライフステージや体調・生活環境に合わせて変わることもあります。支援員や相談支援専門員と一緒に考えることをおすすめします。

知的障害のある大人が仕事を長続きさせるためのポイント

仕事を長続きさせる3つのポイント

知的障害のある大人が仕事を続けていくうえで、現場でよく聞かれるヒントをまとめました。

「できること」から仕事を組み立てる

「苦手なことをなくす」より「得意なことを活かす」という視点で仕事を選ぶと、自信を持って続けやすくなります。支援者と一緒に自分の強みを整理してみましょう。

困ったときに相談できる人を決めておく

職場に「この人に相談すればいい」という担当者がいると、困りごとを早めに共有しやすくなります。また、要件を満たせば就労定着支援を利用し、就職後の生活面や職場での課題について支援を受けることもできます。就労定着支援は、就労移行支援・就労継続支援・生活介護・自立訓練などを利用して一般就労へ移行し、一般就労後6か月を経過した方などを対象とする障害福祉サービスで、利用期間は3年間です。

出典:厚生労働省

体調・生活リズムを安定させることも「仕事の準備」

睡眠・食事・通院のリズムを整えることは、仕事を続けるための大切な基盤です。体調に関することは主治医や専門機関に相談しながら進めましょう。

現場からのひとこと

就労支援の現場でよく聞くのは、「うちの子に合う仕事があるか不安で、なかなか動き出せない」というご家族の声です。一方で、実際に就労継続支援A型・B型を利用し始めると、「こんなにできることがあったんだ」と本人もご家族も驚くケースが少なくありません。知的障害のある大人の仕事選びで大切なのは、最初から「正解」を探そうとしないことです。まず試してみる、合わなければ変える、というサイクルを支援者と一緒に回していくことが、長期的な就労につながっています。

また、一般就労が難しいと感じている場合でも、A型・B型での経験を積んでから一般就労に移行するケースもあります。「今どこにいるか」より「どこに向かいたいか」を一緒に考えることが、私たち支援者の役割だと思っています。

よくある質問

Q1. 知的障害のある大人は一般就労できないのですか?

そんなことはありません。障害者雇用枠を活用したり、ジョブコーチ支援・就労定着支援を利用したりすることで、一般企業で働いている方は多くいます。ただし「今すぐ一般就労」にこだわらず、就労継続支援や就労移行支援でステップを踏む方法も有効です。あなたの状況に合ったペースで考えましょう。

Q2. 就労継続支援A型とB型はどちらを選べばいいですか?

A型は雇用契約を結ぶため、毎日一定時間通える体力・生活リズムがある程度整っていることが目安になります。B型は雇用契約がなく、自分のペースで参加できるため、まず「通う」ことに慣れるところから始めたい方に向いています。支援機関の相談員と一緒に判断することをおすすめします。

Q3. 知的障害のある大人が仕事を探すとき、どこに相談すればいいですか?

主な相談先として、ハローワークの障害者専門窓口、障害者就業・生活支援センター(通称「なかぽつ」)、地域の相談支援事業所などがあります。ハローワークでは職業相談や求人紹介など、障害者就業・生活支援センターでは就職活動から職場定着、生活面まで一体的な支援を受けることができます。また、一般就労を目指す場合は、就労移行支援事業所に相談することも選択肢の一つです。

出典:ハローワーク

Q4. 就労継続支援を利用するには障害者手帳が必要ですか?

就労継続支援A型・B型を利用するために、障害者手帳が必ず必要というわけではありません。利用には市区町村へ障害福祉サービスの申請を行い、支給決定を受けて「障害福祉サービス受給者証」の交付を受ける必要があります。障害者手帳を持っていない場合でも、障害の種類や状況に応じて、医師の診断書などによって対象であることが確認され、利用できる場合があります。利用できるかどうかや必要書類については、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に確認してください。

出典:厚生労働省

Q5. 障害者雇用枠で働くと給料は低くなりますか?

障害者雇用枠だから給料が低いという決まりはありません。雇用形態(正規・非正規)や企業・業種によって異なります。ただし、短時間勤務や配慮を受ける分、仕事の範囲が限定されることもあります。給与・勤務条件については、応募前に企業に確認することが大切です。

まとめ|次にやること

知的障害のある大人の仕事選びは、「向いている仕事の特徴」と「自分の今の状態に合った支援の形」を組み合わせて考えることがポイントです。この記事でお伝えした内容を振り返ると——

  • 手順が決まっていてルーティン化しやすい仕事、身体を使う仕事は続けやすい傾向があります。
  • 就労継続支援A型・B型・就労移行支援・一般就労はそれぞれ役割が異なり、段階を踏んで移行することもできます。
  • 就労定着支援・ジョブコーチなど、働き始めたあとのサポートも積極的に活用しましょう。

まず動き出したいあなたへ。次のステップとして、以下を試してみてください。

  • お住まいの市区町村の福祉窓口・相談支援事業所に相談する
  • ハローワークの障害者専門窓口を訪ねる
  • 就労継続支援事業所の見学・体験に申し込む

一人で抱え込まず、支援者と一緒に「自分に合った働き方」を探していきましょう。

「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。

はたらく森(A型・就労移行)の見学無料で相談できます。


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監修者

この記事の監修者

監修:雨宮久美子

サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」

就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。

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