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「そろそろA型から一般就労に挑戦したい。でも、いつが正解なのかわからない」——そう感じていませんか。就労継続支援A型事業所で働きながら、次のステップとして一般就労への移行を考えている方は少なくありません。でも、タイミングの見極め方や具体的な流れがわからず、踏み出せないでいる方も多いのが現実です。
この記事では、A型から一般就労へ移行するベストなタイミング、移行の流れ、利用できる支援制度を、就労支援の現場視点でわかりやすく解説します。「自分に一般就労は早いのか、それとも今がチャンスなのか」を整理するヒントになれば幸いです。
結論・要点まとめ
最初に答えをまとめます。
- A型から一般就労への移行に「法律上の条件」は定められていません。移行のタイミングは本人の状態・希望・環境の三つで判断します。
- 移行前には「就労移行支援」の活用や、ハローワークの障害者専門窓口への相談が有効な選択肢です。
- 一般就労後も定着支援サービスを使えば、職場への橋渡しを継続的にサポートしてもらえます。
A型から一般就労を目指すとはどういうことか
まず前提を整理しましょう。就労継続支援A型は、障害福祉サービスを利用しながら、事業所と雇用契約を結んで働く就労支援サービスです。最低賃金を含む労働関係法令が適用され、原則として最低賃金以上の賃金が支払われます。A型では働く機会の提供に加え、一般就労に必要な知識や能力が高まった利用者に対して、一般就労への移行に向けた支援も行われます。一方、一般就労とは、一般企業や公的機関などで通常の労働者として雇用されて働くことを指します。障害者雇用枠で働く場合だけでなく、一般雇用枠で障害を開示して働く場合や、障害を開示せずに働く場合もあります。A型から一般就労への移行とは、A型事業所を主な就労の場とする状態から、一般企業などに雇用されて働く状態へ移ることを指します。
「A型にいると一般就労できなくなる」という話を耳にすることがありますが、これは誤解です。A型は通過点であり、一般就労への橋渡し機能も持っています。実際に支援現場では、A型で安定した就労習慣を身につけた後、一般就労へステップアップする方を多く見てきました。
出典:厚生労働省
A型から一般就労に移行するタイミングの見極め方

「いつ移行すればいいか」という問いに、万能な正解はありません。ただし、現場で経験を積む中で見えてきた「移行を検討しやすい状態」があります。以下の三つの視点で整理してみてください。
① 体調・生活リズムが安定しているか
一般就労へ移行すると、A型事業所で働いていたときよりも勤務日数や勤務時間が増える場合があります。そのため、主治医や支援者と相談しながら、一定期間安定して通勤・活動を続けられているかを確認することが大切です。一般就労に向けた準備状況は、「週○日・1日○時間働ければよい」という全国一律の基準で判断されるものではありません。体調や生活リズム、作業遂行力、通勤状況、必要な配慮などを含め、本人の状況に応じて総合的に確認します。
② 「働きたい意欲」と「職場のイメージ」が具体的になっているか
「なんとなく一般就労したい」という段階と、「こういう仕事・職場環境で働きたい」という具体像が描けている段階では、準備の質が変わります。A型の支援員や相談支援専門員に、自分の希望を言語化する手伝いをしてもらうのが近道です。
③ 支援者・家族とのコミュニケーションが取れているか
A型から一般就労への移行は、本人だけで進めるものではありません。A型の支援員、相談支援専門員、主治医、家族——それぞれと情報を共有しながら進めることで、移行後のミスマッチや体調の悪化を防ぎやすくなります。
A型から一般就労へ移行する具体的な流れ

では、実際にA型から一般就労に移行するまでのステップを見ていきましょう。大まかな流れは以下のとおりです。
STEP 1|移行の意思を支援者に伝える
まずA型の支援員や相談支援専門員に「一般就労を考えている」と伝えましょう。このひと言が全ての始まりです。「まだ早いと思われるかも」と遠慮する必要はありません。意思を伝えることで、支援者があなたに合った情報を集めてくれます。
STEP 2|就労移行支援の利用を検討する
A型から一般就労を目指す際には、A型から就労移行支援へ切り替えて、より集中的な就職支援を受ける方法があります。就労移行支援は、標準利用期間が2年間とされており、必要性が認められた場合には最大1年間の更新が可能です。就労に必要な知識・能力を高めるための訓練や、求職活動、職場実習などの支援を受けられます。就労移行支援と就労継続支援A型は、状況によって複数の日中活動サービスとして組み合わせて支給決定される場合があります。ただし、実際に併用できるかどうかは本人の状況や支援の必要性によって異なるため、切り替えや利用方法については市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援専門員と相談しましょう。
出典:厚生労働省
STEP 3|ハローワーク・障害者就業・生活支援センターへの相談
ハローワークには、障害のある方の就職活動を支援する専門窓口が設けられており、専門知識を持つ職員・相談員から職業相談や障害者向け求人を含む求人紹介などの支援を受けられます。(出典:ハローワーク)また、障害者就業・生活支援センター(通称「なかぽつ」)では、就業面と生活面の両方について一体的な相談・支援を受けることができます。(出典:厚生労働省)A型から一般就労を目指す場合は、早めに相談しておくことで、求人情報の収集や就職準備、就職後の定着支援などにつなげやすくなります。
STEP 4|求人応募・面接・内定
求人を探す際には、ハローワークの障害者専門窓口のほか、障害者雇用に特化した民間の求人・転職サービスなども選択肢になります。ハローワークでは、障害のある方向けの求人紹介や職業相談、応募・面接に関する支援などを受けることができます。在宅勤務の可否や通勤時間、勤務時間、職場で必要な配慮など、自分が働き続けるために必要な条件を整理したうえで求人を比較しましょう。面接時に障害特性や必要な配慮について企業と共有しておくことは、就職後の働き方をすり合わせるうえでも重要です。また、就労継続支援A型では雇用契約に基づいて働くため、A型で経験した仕事内容や身につけたスキル、実績も、一般就労への応募時にアピール材料として活用できます。
出典:ハローワーク
STEP 5|就労定着支援を利用して職場に定着する
一般就労した後も、要件を満たせば職場定着に向けた支援を受けることができます。就労定着支援は、就労移行支援や就労継続支援などを利用して一般就労へ移行し、就労後6か月を経過した方などを対象とする障害福祉サービスで、利用期間は最長3年間です。就労に伴って生じる生活面や職場での課題について相談できるほか、必要に応じて勤務先や医療機関、福祉関係機関などとの連絡調整も行われます。実際の利用には、市区町村による支給決定が必要です。
出典:厚生労働省
A型から一般就労を考えるときの「よくある不安」
「A型を辞めてから就職活動するべき?」
多くの場合、A型を退所する前に内定をもらってから切り替えるほうが安心です。収入が途切れる期間を最小化できますし、精神的な余裕も保ちやすくなります。ただし個々の状況によって最適解は異なるため、支援者と一緒に計画を立てましょう。
「A型にいた経歴は一般就労の選考で不利になる?」
A型での就労経験は「働き続けてきた実績」として評価されます。就労時の具体的な業務内容・習得したスキル・継続期間を整理して伝えれば、むしろ強みになります。「福祉サービスを利用していた=能力が低い」という見方は、障害者雇用を積極的に進めている企業では一般的ではありません。
「障害者雇用枠とクローズ就労、どちらがいい?」
どちらが「正解」という答えはなく、障害特性や必要な配慮、希望する仕事内容やキャリアによって適した働き方は異なります。支援者や主治医などと相談しながら、自分に合った働き方を検討しましょう。障害者雇用率制度では、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の所持者などが実雇用率の算定対象となります。なお、実際の障害者雇用求人への応募条件は企業によって異なるため、求人票などで確認することが大切です。
出典:厚生労働省
現場からのひとこと
支援現場でA型から一般就労への移行を伴走する中で感じるのは、「タイミングを迷いすぎて動き出せない」方が意外に多いということです。完璧な状態を待っていると、なかなか一歩が踏み出せません。むしろ「少し不安があるくらいの状態」で動き始め、支援者と並走しながら調整していくほうが、結果的にスムーズにいくケースを多く見てきました。
また、A型から一般就労に移行した後に「やっぱり難しかった」と感じて、再びA型や就労移行支援に戻ってくる方もいます。それは失敗ではなく、自分に合った働き方を探す過程の一つです。行き来しながら少しずつ積み上げていく——そういう柔軟なキャリアの描き方が、長く働き続けるためには大切だと現場では考えています。
よくある質問
Q1. A型から一般就労に移行する際に、法律上の条件はありますか?
法律上、「A型を〇年利用したら一般就労しなければならない」という規定はありません。ただし、事業所の運営方針や個別支援計画の見直しの中で、移行のタイミングについて話し合うことがあります。まずは担当支援員や相談支援専門員に相談するのが最初のステップです。
Q2. A型と就労移行支援を同時に利用することはできますか?
就労継続支援A型と就労移行支援は、市区町村が本人の状況や支援の必要性を踏まえて認めた場合には、複数の日中活動サービスとして組み合わせて支給決定されることがあります。ただし、同じ日にA型と就労移行支援の両方を利用して、それぞれのサービス報酬を算定することはできません。実際に併用できるか、A型から就労移行支援へ切り替える方が適しているかについては、市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援専門員と相談してください。
出典:厚生労働省
Q3. A型から一般就労した場合、障害者雇用の納付金制度の対象になりますか?
A型から一般企業などへ就職した場合、障害者雇用率制度上の対象となる障害者を企業が雇用していれば、所定労働時間や障害の程度などに応じて、企業の実雇用率に算定されます。一方、就労継続支援A型事業所の利用者は、障害者雇用率の算定対象から除外されています。なお、障害者雇用納付金制度は障害者本人に納付義務が生じる制度ではありません。一定規模以上の事業主が法定雇用率を下回った場合に、事業主が納付金を納める仕組みです。
出典:厚生労働省
Q4. 一般就労後に体調が悪化した場合、A型に戻ることはできますか?
一般就労後に状況が変わり、A型に戻ることは可能です。障害福祉サービスの利用は、本人の状態と支給決定に基づいて判断されます。「一度出たら戻れない」ということはありません。主治医や相談支援専門員に相談しながら、自分のペースで選択してください。
Q5. 就労定着支援はどこに申し込めばいいですか?
就労定着支援は、指定を受けた就労定着支援事業所が提供する障害福祉サービスです。就労移行支援事業所などを運営する法人が、就労定着支援事業所を併設している場合もあります。利用するには市区町村への申請と支給決定が必要で、一般就労後6か月を経過した方などが対象となります。一般就労が決まった段階から、利用している就労移行支援・A型・B型事業所の支援員や相談支援専門員、市区町村の障害福祉担当窓口などに「就労定着支援も利用したい」と相談しておくとよいでしょう。
出典:厚生労働省
まとめ|次にやること
A型から一般就労への移行は、準備と支援の積み重ねで実現できます。「今すぐ完璧に準備しなければ」と焦る必要はありません。まずは以下の三つを意識してみてください。
- 支援員や相談支援専門員に「一般就労を考えている」と伝える
意思を共有することが、全ての第一歩です。 - 自分の体調・生活リズム・希望する働き方を言語化してみる
紙に書き出すだけでも、状況が整理されます。 - ハローワークや障害者就業・生活支援センターに問い合わせてみる
情報収集は早めに始めるほど、選択肢が広がります。
A型から一般就労を目指す道のりは人それぞれです。焦らず、でも立ち止まらず——あなたのペースで次のステップを踏み出してください。この記事が、その一歩を考えるきっかけになれば嬉しいです。
「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。
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この記事の監修者
監修:雨宮久美子
サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」
就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。


