統合失調症の人が仕事を続けるには?就労の現実と工夫を現場が解説

統合失調症の人が仕事を続けるには?就労の現実と工夫を現場が解説 障害・特性別の働き方

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「統合失調症でも仕事を続けることができるのだろうか」「せっかく就職できても、また症状が出たら怖い」——そんな不安を抱えて、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。統合失調症の仕事を続けるための方法と、就労の現実について、支援現場の視点からわかりやすく解説します。この記事では、向いている仕事の特徴、オープン就労・クローズ就労の選び方、職場での配慮の求め方まで、具体的な情報をまとめています。

結論・要点まとめ

統合失調症があっても、仕事を続けている人は全国に多くいます。大切なのは「自分の状態に合った環境を選ぶこと」「支援を上手に使うこと」「無理のないペースで積み上げること」の3点です。一人で抱え込まず、就労支援のしくみを活用することが、長く働き続けるための近道になります。

統合失調症と就労——現実はどうなっているの?

統合失調症は、厚生労働省の調査において、精神障害者保健福祉手帳所持者の精神障害の種類として最も多く回答された疾患です。就労を希望する場合には、症状や体調に合わせた働き方や職場環境を検討することが重要です。
一方で、「就職したい気持ちはあるけれど、続けられるか不安」という声が支援現場でも非常に多く聞かれます。

出典:厚生労働省

統合失調症の特性として、陽性症状(幻聴・妄想など)が落ち着いた後も、意欲の低下・疲れやすさ・集中力の波といった陰性症状や認知機能の変化が残ることがあります。これらは症状の現れ方に個人差が大きく、「調子の良い日」と「そうでない日」の幅が広くなりやすいのが特徴です。

ただし、適切な治療を続けながら、自分に合った環境と支援を組み合わせることで、統合失調症の仕事を続けることは十分に現実的な目標です。大切なのは「フルタイムで完璧にこなすこと」ではなく、「自分のペースで、安定して働き続けること」です。

統合失調症の人に向いている仕事の特徴

「どんな仕事が合うか」は人によって大きく異なります。ただし、支援現場で多くの方の就労を見てきた中で、以下のような環境・仕事の特性が合いやすいケースが多い傾向にあります。

向いている仕事の特徴

負荷が安定していてルーティンが多い仕事

毎日の業務内容が大きく変わらず、手順がある程度決まっている仕事は、見通しが立てやすく安心して取り組みやすいとされています。たとえば、データ入力・ファイリング・清掃・軽作業・仕分けといった業務が挙げられます。「今日何をすればよいか」が明確なことが、調子の波を小さくするうえで助けになります。

人との接触が選べる仕事

対人関係のストレスが疲労につながりやすいと感じる場合、接客や密なチームワークが必須ではない職場環境が向いていることがあります。一方で、「人と話すことが好き」「支え合える職場が安心」という方もいるため、自分の特性をよく振り返ることが大切です。

短時間・パートタイムから始められる仕事

最初からフルタイムを目指す必要はありません。就労継続支援A型では、原則として利用者と事業所が雇用契約を結び、最低賃金法などの労働関係法令が適用されるため、地域別最低賃金以上の賃金が支払われます。短時間から始めて体力・リズムを整え、段階的にステップアップするルートを選ぶ方も多くいます。
※一定の要件を満たし、都道府県労働局長の許可を受けた場合には、最低賃金の減額特例が適用されることがあります。

出典:厚生労働省

仕事選びの参考:特性別の環境チェックリスト
確認したいポイント 自分に合う環境
疲れやすい・休憩が必要 短時間勤務・休憩が取りやすい職場
急な変更が苦手 業務内容が安定・ルーティン多め
騒音・刺激に敏感 静かな環境・個室あり
コミュニケーションが負担 一人作業が多い・指示が明確

オープン就労とクローズ就労、どちらを選ぶ?

統合失調症で仕事を続けるうえで、多くの方が悩む大きなテーマが「職場に障害を伝えるかどうか」です。これをオープン就労(障害を開示して働く)クローズ就労(開示せずに働く)と呼びます。

オープン就労とクローズ就労

オープン就労のメリット・デメリット

  • 【メリット】合理的配慮を求めやすい(休憩の取り方・業務量の調整など)
  • 【メリット】障害者雇用枠での採用でミスマッチが起きにくい
  • 【メリット】症状の波があったときに職場に理解を求めやすい
  • 【デメリット】求人数が限られる場合がある
  • 【デメリット】自分のイメージや扱われ方が変わることへの不安

クローズ就労のメリット・デメリット

  • 【メリット】求人の選択肢が広い
  • 【メリット】「障害者」という目で見られることへの抵抗感が少ない
  • 【デメリット】体調が崩れたとき、支援を求めにくい
  • 【デメリット】無理をしすぎて症状が悪化するリスクがある

どちらが正解というわけではなく、自分の状態・職場の文化・サポートネットワークの充実度などを総合的に考えることが大切です。迷ったときは、支援者(就労支援員・相談支援専門員など)と一緒に整理することをおすすめします。

統合失調症の仕事を続けるための6つの工夫

仕事を続ける6つの工夫

支援現場で実際に「長く働き続けている方」に共通して見られるポイントをまとめました。

① 体調の「サイン」を自分で把握する

調子が崩れ始める前に現れる自分だけのサイン(睡眠の乱れ・食欲の変化・特定の考えが頭を離れないなど)を把握しておくことで、早めに対処できます。これを「クライシスプラン」や「元気回復行動プラン(WRAP)」として書き出しておくと、支援者とも共有しやすくなります。

② 「休む日」をあらかじめ設計する

体調に波があることを前提に、週の中に余白を作っておくことが大切です。仕事のある日にすべてのエネルギーを使い切らないよう、「7割の力で動く」という感覚を持つことが、統合失調症の仕事を続けるうえでの基本姿勢になります。

③ 職場に「合理的配慮」を求める

2024年4月から、改正障害者差別解消法により、民間事業者による障害者への合理的配慮の提供が義務化されました。なお、雇用分野では、障害者雇用促進法に基づき、事業主による合理的配慮の提供は2016年4月からすでに義務化されています。「メモを取る時間をもらいたい」「急な業務変更のときは事前に一言声をかけてほしい」など、具体的に伝えることで職場環境を整えやすくなります。何を求めればよいか迷う場合は、就労支援スタッフと事前に整理しておくとスムーズです。

出典:障害者雇用促進法

④ 「つながり」を途切れさせない

医療(主治医・精神科デイケアなど)・福祉(相談支援・就労支援)・職場の3つのつながりを保つことが、統合失調症の仕事を続けるための安全網になります。一つの場所だけに頼らず、複数の支援者に状況を共有しておくことで、何か起きたときに素早く対応できます。

⑤ 通院・服薬を生活の軸に置く

「調子がいいから」と自己判断で服薬を止めることは、症状の再燃リスクにつながることがあります。薬や通院に関する判断は必ず主治医に相談してください。服薬スケジュールを職場のルーティンに組み込む(例:昼休みに飲む)など、仕事と治療を両立させる工夫も役立ちます。

⑥ 就労支援のしくみを積極的に使う

就労移行支援は、一般就労を目指す障害のある方が原則として2年間利用できる障害福祉サービスです。就職後も、就労移行支援事業所による職場定着支援を6か月以上受けることができ、その後は必要に応じて「就労定着支援」を利用することもできます。「いきなり就職は不安」という場合は、まず就労移行支援や就労継続支援A型で働く感覚を取り戻すことも有効な選択肢です。

出典:厚生労働省

現場からのひとこと

支援現場で多くの方の就労に関わってきた中で感じるのは、「仕事を続けられるかどうか」よりも「どんな環境で、どんなペースで働くか」の設計が、長期定着のカギを握っているということです。統合失調症の仕事を続けるためには、最初から完璧な状態を目指すより、「小さな成功体験を積み重ねること」のほうがずっと大切です。

また、就職直後よりも「半年〜1年後」に離職リスクが高まるケースをよく見てきました。慣れてきたタイミングで気が緩んで休息が減る、という流れです。支援者とのつながりを就職後も維持することを、ぜひ意識してみてください。具体的な活用方法は、支援スタッフにいつでも相談してください。

よくある質問

Q1. 統合失調症でも障害者雇用枠で働けますか?

はい、働けます。精神障害のある方が障害者雇用率制度上の対象となるには、原則として精神障害者保健福祉手帳(1〜3級)の交付を受けていることが必要です。手帳の取得条件や申請方法については、お住まいの市区町村の担当窓口または相談支援事業所にお問い合わせください。

出典:厚生労働省

Q2. 症状が安定していない時期でも働くことはできますか?

症状の安定度合いや主治医の意見によって大きく異なります。まずは主治医や支援者に現在の状態を共有し、「今の自分に合った活動量はどのくらいか」を相談することが大切です。就労移行支援や福祉的就労(就労継続支援B型など)は、症状が安定しきっていない段階でも利用できる場合があります。

Q3. 職場にどこまで病名を伝える必要がありますか?

法律上、病名の告知は義務ではありません。オープン就労の場合でも「精神障害があり、◯◯の配慮をお願いしたい」という形で、病名を具体的に伝えなくても配慮を求めることができます。どの程度開示するかは、支援者と相談しながら決めることをおすすめします。

Q4. 一度離職してしまったら、また働くことは難しいですか?

離職経験は決してマイナスだけではありません。「どんな環境が合わなかったか」「どんなサインが出ていたか」を振り返ることで、次の就労をより安定したものにできます。就労移行支援などを活用して、再就職に向けたステップを一緒に考えることができます。

Q5. 家族として、どう支えればいいですか?

「見守る」こと自体がとても大切な支援です。焦りを感じさせるような言葉(「早く働かなければ」など)はかえって負担になることがあります。家族向けの相談窓口(家族会・相談支援事業所など)を使いながら、支援者も交えて話し合う機会を作ることをおすすめします。

まとめ|次にやること

統合失調症の仕事を続けるために、まず取り組んでほしいことを3つにまとめました。

  • ① 主治医に「就労について相談したい」と伝える——現在の状態で働くことへの意見をもらいましょう。
  • ② 地域の就労支援機関に相談する——就労移行支援・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など、あなたの状況に合った窓口があります。
  • ③ オープン就労・クローズ就労の選択肢を知る——どちらが自分に合っているか、支援者と一緒に整理してみましょう。

一人で全部考えようとしなくて大丈夫です。支援者・医療・職場という複数の「つながり」を活かしながら、あなたのペースで一歩ずつ進んでいきましょう。

「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。

はたらく森(A型・就労移行)の見学無料で相談できます。


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監修者

この記事の監修者

監修:雨宮久美子

サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」

就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。

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