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「就労移行支援とA型事業所、どっちが自分に合っているんだろう?」――そう迷って検索したあなたへ。どちらも障害のある人が利用できる就労支援のサービスですが、目的・給料の有無・対象となる状態・利用期間が大きく異なります。この記事では、就労移行支援とA型どっちを選ぶかで悩む方に向けて、制度の違いをわかりやすく整理し、「自分はどちらが向いているか」を判断するための視点をお伝えします。
結論・要点まとめ
まず結論を3行でお伝えします。
- 一般企業への就職を目指すなら就労移行支援、働きながら安定した環境を確保したいなら就労継続支援A型が基本的な目安です。
- A型には雇用契約に基づく賃金が発生しますが、就労移行支援は訓練期間のため賃金はなく、交通費・昼食費等のみ事業所によって補助される場合があります。
- どちらが「正解」かは一人ひとりの状態・目標・タイミングによって異なるため、支援員への相談が大切です。
就労移行支援とA型、制度としての基本的な違い

まず、2つのサービスが障害者総合支援法のどういう位置づけにあるかを確認しましょう。
就労移行支援とは
就労移行支援は、一般企業への就職(一般就労)を目指す人のための訓練・支援を行うサービスです。ビジネスマナー、パソコン操作、体調管理、コミュニケーションなど、働くために必要なスキルを身につけながら、求職活動のサポートも受けられます。
- 利用期間:原則2年以内(最大1年の延長が認められる場合あり)
- 対象:就労を希望する原則65歳未満の障害のある方で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる方
- 賃金: なし(訓練のため雇用契約を結ばない)
- 利用料: 世帯収入に応じた自己負担(無償になる場合が多い)
就労継続支援A型とは
就労継続支援A型は、雇用契約を結んで働きながら支援を受けるサービスです。一般企業でそのまま働くことが難しい状況にあっても、事業所内で配慮のある環境のもと、実際に業務をこなし賃金を得られます。
- 利用期間: 原則なし(継続利用が可能)
- 対象: 就労移行支援を利用したものの一般企業への就職に結びつかなかった方、特別支援学校卒業後に就職活動をしたものの雇用に結びつかなかった方、企業などを離職して現在雇用関係にない方など
- 賃金: 雇用契約に基づいて働くため最低賃金法が適用され、原則として最低賃金以上の賃金が支払われます
- 利用料: 世帯収入に応じた自己負担
一目でわかる比較表
| 比較項目 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 一般就労への移行 | 雇用契約のもとで継続就労 |
| 雇用契約 | なし | あり |
| 賃金・給料 | なし | 原則として最低賃金以上 |
| 利用期間 | 原則2年以内 | 原則なし |
| 主な活動内容 | 職業訓練・就活支援 | 実際の業務・就労継続 |
「就労移行支援 A型 どっちを選ぶか」を考える3つの判断軸

制度の違いを知ったうえで、「では自分はどっちなのか」を考えてみましょう。以下の3つの軸が、判断の手がかりになります。
①今の目標が「一般就労」か「安定した就労継続」か
最も大切なのは、あなた自身が今どこを目指しているかです。
将来的に企業に就職して働きたい、スキルを身につけて転職につなげたいという気持ちがあるなら、就労移行支援が選択肢の中心になります。一方、今の体調やペースで無理なく働き続けることを優先したい、まず安定した雇用環境で自信をつけたいという場合は、A型の環境が合うこともあります。
就労移行支援とA型どっちが「ランクが上」というわけではありません。それぞれが異なる目的のためにあるサービスです。
②「給料があるかどうか」が生活に影響するか
就労移行支援では賃金が発生しないため、利用中の生計をどう維持するかの確認が欠かせません。障害年金を受給している場合や、家族のサポートがある場合などは比較的利用しやすいですが、そうでない場合はハローワークの職業訓練給付や生活保護など他の制度との組み合わせについて相談が必要になることもあります。
A型では雇用契約に基づく賃金が発生するため、「働きながら収入を得たい」というニーズには応えやすい構造です。ただし、厚生労働省の令和6年度実績によると、就労継続支援A型事業所の平均月額賃金は91,451円(約9万1千円)で、生活費のすべてをまかなえるとは限らない点は念頭に置いておきましょう。
出典:厚生労働省
③今の状態・体力・スキルはどの程度か
就労移行支援では、就職後の定着まで見据えた訓練が行われます。ある程度継続して通所できる体力・生活リズムがあること、あるいはそれを目指して整えていく段階にあることが、利用を進めるうえでの一つの目安になります。
A型は実際に雇用契約を結んで働くため、一定の業務遂行能力が求められます。利用にあたっては事業所の見学・体験や、相談支援専門員との相談を通じて、自分の今の状態に合う環境かどうかを確認することが大切です。
なお、就労移行支援とA型どっちを使うかは、一度決めたら変えられないわけではありません。就労移行支援を利用した後にA型に移行するケース、A型で就労経験を積んだ後に一般就労を目指すケースなど、段階を経て使い方が変わることもあります。
よく混同される「就労移行支援で給料がもらえない」問題について
「就労移行支援は給料がもらえないと聞いた。A型の方がいいのでは?」という疑問はとてもよくあります。就労移行支援で給料がもらえないのは事実ですが、これは「損」ではなく、制度の設計の違いから来ています。
就労移行支援はあくまで「一般就労に向けた訓練の場」であり、受講料・交通費等を自己負担しつつ(低所得の場合は無償)、就職後の賃金を得るための準備期間と位置づけられています。一般企業に就職できれば、A型の賃金水準を大きく上回る収入を得られる可能性もあります。
つまり、就労移行支援とA型どっちが得かという短期的な収入比較よりも、中長期的に自分がどんな働き方をしたいかで考えることが重要です。
また、就労移行支援の利用中でも、障害基礎年金・障害厚生年金を受給している場合はその収入を維持できます。生活設計については、相談支援専門員や支援員にも遠慮なく相談してみてください。
現場からのひとこと
支援の現場でよく聞かれるのが、「就労移行支援とA型、どっちを選べばいいですか?」という質問です。正直なところ、書類上の条件だけでは判断できないことがほとんどです。その人の今の体調の波、生活リズム、家族関係、経済状況、将来への希望——これらを丁寧にヒアリングしたうえで、一緒に考えることが支援の出発点になります。
また、「就労移行支援を使ったけれど就職できなかった」という経験を持つ方がA型に移行してくることもあります。そうした方が、A型の環境で自信を取り戻し、改めて一般就労にチャレンジするケースも珍しくありません。どちらのサービスも、「その人のタイミング」に合って初めて力を発揮するものだと感じています。
よくある質問
Q1. 就労移行支援とA型を同時に利用することはできますか?
通常は、就労移行支援と就労継続支援A型のいずれかを利用するケースが一般的です。ただし市区町村が本人への効果的な支援のために特に必要と認めた場合には、両方のサービスを組み合わせて支給決定することがあります。なお、両方の支給決定を受けている場合でも、同じ日に就労移行支援と就労継続支援A型の両方を利用することはできません。迷う場合は、まず相談支援専門員や各事業所の見学・体験から始めることをおすすめします。
Q2. 就労移行支援の利用期間が終わったらどうなりますか?
就労移行支援の利用期間は原則2年です。期間内に就職が決まることが理想ですが、状況によってはA型・B型への移行や、一般就労後の就労定着支援の利用など、次のステップを支援員と一緒に検討することになります。
Q3. A型事業所はどんな仕事をするのですか?
事業所によって異なりますが、軽作業・データ入力・清掃・カフェ運営・農作業・製造補助など多岐にわたります。見学や体験利用を通じて、自分の興味や得意なことと合う環境を探すことが大切です。
Q4. 障害者手帳がなくても利用できますか?
障害の種類によっては、障害者手帳がなくても利用できる場合があります。たとえば精神障害のある方は、自立支援医療受給者証(精神通院医療)や医師の診断書などによって対象であることが確認され、市区町村の支給決定を受ければ利用できる場合があります。※障害種別によって確認方法や要件が異なるため、詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。
出典:厚生労働省
Q5. 就労移行支援を「卒業」した後にA型に入ることはできますか?
可能です。就労移行支援を経て一般就労に進まなかった場合や、就職後に離職してしまった場合などに、A型を利用するケースはあります。ただし改めてサービス利用の申請・支給決定が必要になります。支援員や相談支援専門員に状況を伝えて、一緒に次のステップを検討しましょう。
まとめ|次にやること
就労移行支援とA型どっちを選ぶかは、「一般就労を目指すか・安定した雇用環境で継続就労するか」という目標の方向性と、今の生活・体調の状況によって変わってきます。以下にポイントを整理します。
- 一般企業への就職を目指すなら → 就労移行支援を検討
- 雇用契約のもとで安定して働き続けたいなら → 就労継続支援A型を検討
- 給料の有無だけで決めず、中長期的な目標をベースに考える
- どちらが向いているか迷ったら、見学・体験・相談から始めるのが一番
次にやることとして、まずは気になる事業所のホームページを見たり、見学を申し込んでみることをおすすめします。また、お住まいの市区町村の障害福祉窓口や相談支援専門員に相談することで、あなたの状況に合った選択肢を一緒に整理してもらえます。一人で抱え込まず、使える相談の場を積極的に活用してみてください。
「読んだだけでは判断がつかない」というときは、人に相談するのが早道です。
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この記事の監修者
監修:雨宮久美子
サービス管理責任者
就労継続支援A型・就労移行支援
多機能型事業所「はたらく森」
就労継続支援A型・就労移行支援の多機能型事業所「はたらく森」にて、障害のある方の就労支援に従事。現場での支援経験をもとに、記事内容の正確性を確認しています。
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